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競演場連合会会長の岡崎直温(48)らが昨秋旗揚げした「よさこい総研」は、週一回のペースで会合を続けた。出席者は十人から二十人ほどだったが、仕事の後、飯抜き酒抜きで二時間もの間「よさこい」を語るのは、実際かなりエネルギーがいることだった。
会では折に触れ、祭りの運営に関する不満が出た。その一つは「主催団体の『よさこい祭振興会』は祭りの変革に積極的ではない」ということにあった。確かに、踊り子の要望が強い競演場の移転問題一つ取っても、かねて論議に上がりながら結論は出ていない。
「毎年毎年、祭りの後に反省会はするが、結局増えたのは規制だけ。肝心なことが前に進まん」。メンバーはそう言った。
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とはいえ、いつも不満や愚痴ばかり口にしていたわけではない。メンバーがとりわけ夢中になったのが、「よさこいの将来」が話題に上った時だった。口調に熱がこもった。
ある時は、広告会社のメンバーが「YOSAKOIジャパン」という企画を提案した。よさこいの全国ネットワークを整備し、その中心に高知を据える―そういう計画である。背景には、本家をしのぐ規模に成長した札幌の「YOSAKOIソーラン祭り」があった。「このままではリーダーシップを札幌に取られてしまう」という危機感である。
「やっぱり長谷川岳(YOSAKOIソーラン祭り組織委員会専務理事)はすごい。ガンガンやりゆう。それに比べて高知はなーんも。いくかよ、これで…。いかんいかん、自分らあでやらにゃあ、なあ」
帯屋町二丁目商店街理事長の岩目一郎(46)は、時々自嘲(じちょう)気味にそんなことを言った。商売人の岩目は「外貨や、外貨」が口癖だ。「よさこいを経済的に生かしたら、ものすごい市場が開拓できる。人が動く。モノも金も動く。狭い所でちょろちょろしたちいかん」と繰り返していた。
一方の岡崎には、地区競演場が全体の運営の中で「軽視されている」という思いが強かった。「よさこいは、お城を中心にぐるぐる回る盆踊り」が持論。「けど、その競演場が高齢化や財政難であえぎゆう。それやに祭りの運営費はほとんど本部競演場の分。これじゃあ祭りの土台が崩れる」と訴えていた。
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ただ、「総研」は議論を目的にした場ではない。提案し行動する。それが旗印だ。彼らの議論は頻繁に脱線もしたが、ちょっとした話から実を結んだものも少なくない。
例えば今春、高知商工会館で初めて開いた「メーキングよさこいフェア」。既存の踊り子チームには祭りの最新モードを提案。新チーム結成を考えている人にはそのノウハウを提供する企画。県外からも大勢の人が来た。
祭り本番期間中には、全国からはせ参じた関係者に呼び掛け、高知市で初の全国交流会を開催。あらためて「本家高知」をアピールした。最近は全国各地の祭りや地域イベントに踊り子隊を派遣し、交流にも力を注いでいる。
ただ、「総研」にはいつもストレスのようなものがたまっていた。「壁」と言ってもいい。主催団体でない分、自由に発言や行動はできたが、彼らが望む祭り本体の改革にはずばりと切り込めないもどかしさがあった。振興会とのコミュニケーション不足もあって、両者の関係はぎくしゃくしていた。せっかくの全国交流会にも振興会事務局の姿はなかった。
「振興会と一緒にできんかなあ」「話してみたら」「今のままじゃ無理よ、無理」。不満やあきらめ、期待がぐちゃぐちゃになり、おりのように積もっていた。
一方の「よさこい祭振興会」にもまた、別の悩みがあった。
=文中敬称略
(社会部・山岡正史)
【写真】「よさこい総研」が主催した全国交流会。各地との交流をどう進めるかも“本家”のテーマになっている(8月10日、高知市南はりまや町1丁目の料亭)
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