|
YOSAKOIソーランとは何か。自問自答しながら札幌を取材して歩いた。
始まりは平成三年夏、高知でよさこいの熱気に触れた北大生が味わった体がふるえるほどの感動に由来する。その感動をベースに鳴子とソーラン節を組み合わせ、全国各地の祭りのエッセンスを抽出して融合。時代性を加味し、企業の経営感覚で仕立て上げたのがYOSAKOIソーランだといえる。
よさこいとは親子関係にあるが、決して忠実なクローンではない。風土や歴史など南北のさまざまな違いを反映し、独自の進化の道を歩んでいる。二つの祭りはこの七年の間にかなり異なるものになってきている。そう感じた。
YOSAKOIソーランはどこに向かうのか。これについては組織委員会専務理事の長谷川岳さん(27)がプランを描いている。
実は北海道では二〇〇〇年夏、世界の民俗芸能を一堂に集めた「ワールドフォークロリアーダ」が札幌を中心に開催される。民族文化の継承と振興を目的に、「CIOFF(シオフ)=国際民族芸能組織委員会」が主催する文化のオリンピック。第一回は一九九六年にオランダで開催された。
日本は二番目の開催地で会期は七月二十日から約二十日間。七十三カ国から約二千人が参加し、札幌に集まって歌や踊りなどの競演を繰り広げる予定。これをYOSAKOIソーランと合体させたいという。
「祭りのすそ野は広がったが、文化レベルを高めないと。これからの運営はチームリーダーの感性いかん。世界の文化との交流が大事です。高知をルーツとする北海道の祭りを世界に発信したい。二〇〇〇年は再スタートの年です」
目は世界に向いている。
◇
規模ではとうに本家を追い越した。情報発信力も求心力も、影響力も上かもしれない。北海道の「YOSAKOI」は全国各地へ広がり、世界へも発信しようとしている。「よさこい」は影が薄いのではないかと思った。
だが、違った。
「原点は高知です」「あそこにすべてがある」「あこがれてます。一度は高知で踊りたい」。札幌をはじめ全国各地で会った踊り子たちは、そう口をそろえた。
例えば札幌のジャズダンススタジオ代表、神内佳緒里さん(34)は言う。
「高知へ行ってみてすごい感動でした。あの暑い中でこんなに多くの市民が踊ってる。これが本物か。ほんとにこんなのがあるんだって。長谷川君の言ってた『鳥肌が立つ』ってこれか、という感じ。これをやりたかったんだと分かった」
同じく音楽照明企画会社を経営する坂元啓子さん(50)はこうも言う。
「みんな高知に行きたがるんですよ。道端で差し入れのジュースもらってグーッと飲んで。そんなのこっちにないもの。札幌はイベントだけど、高知のは祭り。こっちで賞取って本場に踊りに行きたいって、それが励みになってるみたい」
「一体、よさこいのどこがそんなにいいんですか」と重ねて尋ねると、複数の人が笑った。
「あなた、踊ったことないんでしょう」「それじゃあ分からないよねえ」「せっかく高知にいるのに。もったいない」。なるほど、そうかと思った。
―鳴子の音が高まってきた。四十五回目のよさこいの夏がやってきた。祭りが始まる。連載第三部は、記者が踊りの輪に入って祭りを内側からリポートする。
(社会部取材班)
=第2部おわり=
【写真】札幌市のシンボル、大通公園。ここもYOSAKOIソーランの舞台の一つだ |