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よさこい鳴子踊りに「〜じんまもばんばもようおどる」という一節がある。しかし現実には近年、高知ではよさこい祭りでお年寄りの踊り子を見かけることはめっきり少なくなった。
昨年は正調を守り続けてきた高齢者の尼崎武善会が、二十五回出場を最後に踊りの輪から去った。「若い人ばかりで踊りにくくなりましてねえ」というコメントが、祭りから次第にお年寄りがはじき出されていく構図を示していた。
ところが札幌のYOSAKOIソーランに行くと、本家ではさっぱり見かけなくなったお年寄りがはつらつと踊っている。
象徴的なのが、その名も「婆(ばば)あYOSAKOIチーム」。平均六十歳、最高齢は八十二歳という文字通りおばあちゃん中心のチームで、函館市からことし初参加。つえを片手にもんぺ姿でコミカルな踊りを披露し話題を呼んだ。
「若者たちがあんまり楽しそうでしょう。めいどの土産に最初で最後と出てみたんです。参加したみんなが楽しかった、生きるかてを得たと言ってます。私たちでも踊れるんだということで、あちこちでお年寄りがやり始めたようですよ」
こう話すのは、代表で日舞のお師匠さんの望月すみ子さん(49)。勢いをかってメンバーはその後、地元で老人ホームや病院を踊り歩いているそうだ。
一つの世代が踊りの輪に加わると、それに刺激を受けた同世代がつられて踊り始める。そんな波及効果もYOSAKOIソーランの急成長の一因になっているようだ。来年は、おばあちゃんたちの奮闘に刺激を受けたお年寄りチームがどっと増えるかもしれない。
障害を持つ人のチームもある。「動夢舞(どんまい)」。車いすの踊り子が鳴子を握り、昨年初めて祭りに加わった。「動くことにハンディがあっても夢を持って踊ろう。大丈夫(ドンマイ)われわれにもできるんだ」。チーム名にはそんな思いが込められている。
代表の西村正樹さん(39)は道庁の公務員。二〇〇二年の障害者インターナショナル世界会議の札幌誘致に取り組んでいる。そのアトラクションに鳴子踊りを招きたいと長谷川岳さん(27)=YOSAKOIソーラン祭り組織委員会専務理事=に相談を持ち掛けたところ、「YOSAKOIは見るものでなく参加するもの。車いすでないと表現できない踊りがあるはず」と、逆に参加を促された。
これがチーム結成のきっかけ。「すべての市民が参加する、本当の市民の祭りにしたい。だから障害を持つ人にもぜひ参加してほしい」との主催者側の後押しで昨年、百六人が踊った。
「YOSAKOIは自分をアピールする場。障害を個性として発揮したかった」と西村さん。反響は大きかった。これが呼び水となり、ことしの祭りには養護学校チームが初参加。一般のチームにも車いすの踊り子が加わるケースがぼつぼつ出てきたという。
障害者参加のノウハウを先進地のYOSAKOIソーランに学ぼうと、ことしは本県から県肢体障害者協会の田村隆彦会長らが「動夢舞」に合流、視察がてら一緒に踊ってきた。
刺激を受けた田村会長らはことしのよさこい祭りで高知市民憲章推進協議会チームに参加。来年は、本家に障害を持つ人たちのチームを発足させたいと意気込んでいる。
七年前、南国から北国に伝わった祭りは今、北から打ち返しの大波がどんどん南に押し寄せているのである。
(社会部取材班)
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