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灼 ―よさこい進化論―
<15>
第2部 「ソーラン」を訪ねる
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企業顔負けの運営

 よさこいは年々進化する祭りといわれるが、YOSAKOIソーランの進化のスピードは、本家をはるかにしのぐものがある。その秘密は舞台裏をのぞくとよく分かる。拡大路線をひた走る企業顔負けの徹底した経営戦略に裏打ちされているのだ。

YOSAKOIソーランの生みの親の長谷川さん。祭りの進化をここまで導いてきた(札幌市中央区の事務局)

 「十チーム千人の参加でスタートした時から、このままシンプルな形で続けるか、それとも時代に対応しながら全体を巻き込んでやっていくか、そのどちらかしかないなと直感的に思ってました。やるなら後者だと。僕らはその方法論しかとれなかった」

 札幌市のシンボル、時計台の隣にある北海道経済センタービルの五階。YOSAKOIソーラン祭りの事務局で、祭りの生みの親である組織委員会専務理事の長谷川岳さん(27)がにこやかに説明する。

 例えば機構面。たしかにきっかけになったのはよさこいだが、実は祭りの運営にあたっては青森のねぷたや徳島の阿波踊り、博多どんたくなど全国の名だたる祭りを一つ一つ徹底的にシステム分析。生かせるものはどんどん吸収してきた。

 「こうして構築してみれば一つの祭りですが、実は全部いろんな祭りから取り入れているんです」

 昨年はブラジルのリオのカーニバルも視察。ポルトガル語のマニュアルブックを入手して翻訳し、綿密に分析したという。

 祭りの組織立て自体、この七年間で二回衣替えした。最初は学生の実行委員会の主催でスタートしたが、その後これをバックアップする行政や経済団体、企業からなる普及振興会が発足。さらにことしは学生による実行委と、普及振興会を名称変更した組織委員会、それに参加者ネットワークが大実行委を構成する組織立てになっている。

 一方で、公式グッズの販売などあの手この手で自主財源体質への転換にも躍起だ。ことしは初めて有料桟敷席を導入。また踊り子を対象に浅く広く運営協力を求めようと、月刊の機関紙を年間千二百円で購読してもらう試みも始めた。

 その成果は予算の内訳に現れている。第一回の祭りは千三百万円の予算のうち企業の協賛金が八〇%、補助金が二〇%を占めた。それがことしは二億四千万円の予算中、協賛金比率は二五%、補助金は〇・五%にまで圧縮できたという。

 「もし企業の協賛金に頼りきった運営だったら、拓銀(北海道拓殖銀行)の崩壊で間違いなく祭りがふっとんでいたでしょうね。今後ですか? はい、NPO(非営利組織)法案の成立を受けて、法人格の取得を目指しています」

 話を聞くうち、祭りというよりベンチャー企業の若手経営者を相手にインタビューしているような気分になってきた。一方で、改革の必要性が叫ばれながら一向に緒に就かないわがよさこいが、のんびりした村祭りのように見えてくる。

 「いや、効率のいいシステムという点ではよさこいが一番ですよ。だって事務局はあの小人数でしょう。全国の祭りを調べたが、あんなにシンプルなシステムはない。まさに究極の運営です。やっぱりルーツは超えられませんよ」

 長谷川さんのこの言葉、果たして喜んでいいのだろうか。

                                 (社会部取材班)

 【写真】YOSAKOIソーランの生みの親の長谷川さん。祭りの進化をここまで導いてきた(札幌市中央区の事務局)


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