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「よさこい」はしばしばウイルスや熱病にたとえられるが、「みちのくYOSAKOI祭り」実行委員長の高知大理学部四回生、三宅浩司さん(23)=宮城県亘理町出身=に言わせると一種の信仰だという。
高知で洗礼を受け、信者どころか今や東北への布教者と化した三宅さんの場合、「よさこい教」との最初の出合いは一回生の秋だった。大学の黒潮祭でたまたま鳴子踊りを見て、そのダイナミックさに「鳥肌が立った」のである。
翌年、セントラルチームに加わって札幌の「YOSAKOIソーラン祭り」に参加。初めて街頭で踊った。その体験を語り始めると、三宅さんの声は上ずる。それほど強烈だった。
「見られる喜び。道路の真ん中に立てる喜び。夜の白昼夢っていうか…。大気圏の外から見たレベルですごいと思った。踊り子のエネルギーが一つになって、むちゃくちゃ熱くって。そう、あの空間のエネルギーにほれたんです」
踊った者にしか分からない法悦の境地だろう。「この祭りを仙台に」。その衝動が三宅さんを走らせる。高知で、仙台で、手製の企画書とビデオを手にやみくもに夢を語って回った。
相手にされなかったり、やんわり断られたり、空回りが続いた。失望と挫折の繰り返しの末にやっとめぐり合った理解者が同祭り企画運営委員会事務局長の嶋津紀夫さん(58)。話が前に進み始めたのは昨年六月のこと。一人で動き始めてから八カ月がたっていた。
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五月二十四日。三宅さんの姿は仙台市の泉区民広場にあった。
大学の方は既に卒業に必要な単位を取得した。ゼミの教官の許しを得て二月から宮城に長期帰省中。秋の「みちのくYOSAKOI祭り」に向けて仲間たちと準備に励んでいる。この日、広場ではいろんなアーティストによるパフォーマンスが行われており、その場で祭りをPRしようという趣向だ。
顔にペイントを施した赤と黒の衣装の一団が、広場に並んだ。「何事?」と市民の目が集まる。いきなり踊り始めた。
「ソイヤソイヤ!」「ヨイヤサ!」「ハアー、ドッコイショ!」。激しい踊りに「すごい」「かっこいいじゃん」の声が漏れる。打ち振る鳴子を見て「あれ何?」の声も。
「この秋、祭りを開催します。見ての通り、よさこいは踊りの祭りです。多くは語りません。思いは踊りで伝えます。興味を持った人、声を掛けてください」
マイクを握った三宅さんの表情が輝いている。踊り終えた実行委の仲間たちも晴れ晴れしている。心底打ち込んでいる、という感じがひしひしと伝わる。
高知から取材に来た、ということでメンバーたちが集まってきた。
「参加の動機? 踊り好き集まれって呼び掛けに、あ、私のことだと思ったんです」「参加できる祭りって仙台にないんですよ。七夕にしても見るだけで、観光客はともかく地元民はあまり楽しくないし…」「三宅と会って、とりあえず熱いやつだな、面白いなと」「踊りって本能でしょ。原始から受け継いだ言葉以前のものって感じ」
「よさこい」を仲立ちにつながった仲間たち。薬科大のある女子学生は、こんなことを言っていた。
「お互いの存在意義を確かめ合ってる、というのかな。ほら、私たちって学校と家の往復で終わっちゃって、友達同士でも別に同じ目標があるわけじゃないでしょう。でも、今は苦しい時、楽しい時を共有しながら前に進んでる。よさこいって、今の若い人の状況を反映している。そう思いません?」
(社会部取材班)
【写真】赤と黒の衣装で「みちのくYOSAKOI」をPRする実行委のメンバー(仙台市の泉区民広場)
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