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8月12日(木)・朝刊
「よさこいの夏」沸騰

鳴子の音色が本物の夏を連れてきた。第四十六回よさこい祭りは十一日、待ちに待った「よさこい日和」に恵まれた。青空、太陽、汗、弾むリズム…。真夏の祭典の舞台装置が整って、百三十四チーム約一万五千人の踊り子のボルテージは一気に沸騰。祭りの熱気は夜に入って一段と高まり、いつ果てるともないストリートダンスが続いた。
【写真】左=燃えて、酔って、よさこい本祭りフィナーレ。祭りの熱気が寄る遅くまで渦巻いた(追手筋本部競演場)
全国の仲間なだれ込む
よさこいの夏がはじけた。長雨に泣かされ通しだった土佐の空に十一日、お待ちかねの夏の日差しが戻った。祭りの舞台の高知市は、日中の最高気温がぐーんと三一・六度まで上昇。暑さに踊り子の熱気が輪をかけて、年に一度のカーニバルはもう止まらない。燃えて、酔って、踊って、叫んで、十カ所の競演場は乱舞群舞が渦巻いた。さらにこの日は十二日の全国大会を控え、新たな県外勢が続々来高。夏のお楽しみはまだまだ続く。
全国津々浦々の「よさこい(YOSAKOI)」による初の「よさこい全国大会」に参加する踊り子たちが十一日、続々土佐路入りし始めた。飛行機やバスで遠路はるばるしゃく熱の本家にやってきた各チームだが、旅の疲れもどこ吹く風。「さーっ、着いたべーっ!」「よーっし、踊ったるでーっ!!」と早々に夜の本祭になだれ込み、激しい乱舞で沿道を魅了した。

全国大会に出場する県外組は十四チーム。十、十一日の本祭受賞チームと合わせ、三十三チームが十二日午後五時すぎから追手筋本部競演場、帯屋町筋、中央公園の三カ所で一斉に乱舞を始める。
このうち、最多の五チームが参加する北海道からは「そりゃ!阿寒」「北見薄荷童子」が十一日午後、空路相次いで到着。宿泊先で着替えると早速、競演場に向かった。
午後七時半すぎ、中央公園に現れた阿寒チームはアイヌの衣装あり、弓矢を持った狩人姿ありで、ある踊り子は「鉄パイプもあるし、祭りじゃなきゃ凶器準備集合罪だわーっ」とノリノリ。ステージから、カムイの衣装をまとった女性が「氷点下三〇度の生活が長い私たち。こんな暑い所で踊れて幸せ」とあいさつすると大きな拍手を浴び、タンチョウヅルをイメージしたダイナミックな北の踊りを披露した。
大阪南部の中学生ら六十人でつくる「夢舞隊&絆(きずな)」も同日午後にバスで到着後、早速、追手筋であいさつ代わりの踊り初め。貝塚三中の藤原慈子さん(14)は「高知のチームはどっこもめっちゃ張り切っとってすごいわ」。「今夜から踊るんは少々疲れるけど、私らも全国大会向けてテンション上げなあかん!」と目をくりくりさせ、次の競演場に向かった。
全国大会は競演後、午後九時すぎには各チームが追手筋本部競演場に集結。各賞発表の後、全チーム入り乱れての総踊りでフィナーレを迎える。
【写真】遠路はるばるやって来た全国大会参加チーム。旅の疲れを見せない本祭での熱演に大きな拍手が送られた(中央公園競演場、写真は「そりゃ!阿寒」)
「よさこい外交」活発 県庁など続々表敬
よさこい祭り期間中、県庁や高知市役所には県外からの表敬訪問が相次ぎ、「よさこい外交」が活発に展開されている。十一日には「よさこい近松隊」として初参加した尼崎高知系県人会の玉川悦弘会長らが県庁知事室に橋本大二郎知事を訪問。今後の交流を呼び掛けた。
よさこいには今年、本祭と全国大会を合わせて県外から二十七チームが参加。いわば分家筋に当たるその関係者が、あいさつや地元の祭りへの支援のお礼に次々と表敬に訪れている。
県庁には鳴子踊り初日の十日に片山善博鳥取県知事が訪れたのをはじめ、札幌商工会議所や札幌市幹部ら北海道のYOSAKOIソーラン祭り関係者、北海道高知県人会、日本クラウンよさこい連の関係者が相次いでやってきた。
十一日に訪れた尼崎高知系県人会は、約四百人の会員の半数近くが県外出身の高知ファン。玉川会長は橋本知事に「尼崎市と高知県の文化交流を通じてお互いの地域振興を図りましょう」と握手を交わした。
全国大会のある十二日も、北海道の千歳市長や阿寒町長の一行の表敬訪問が予定されている。
皆を応援します

旭競演場に、他チームを懸命に応援する男性五人組がいた。鳴子を振り、思い切り体を動かしながら「頑張ってー、頑張ってー、頑張ってー」と大声援。交通整理する警察官にも「お疲れさまです」。
その名は「リハビリレンジャー」。高知学園短期大学と高知リハビリテーション学院の合同チームから生まれた異色グループで、服部亮君(19)ら全員同学院の一年生。約百二十人の踊り子のうち男性は三十人ほど。「女性パワーには負けない」と七月の練習開始直後に結成した。
自分たちの踊りが終わると、次に踊るチームの名前を叫びながら「頑張ってー」。沿道の観客にも「ありがとうございます」と一言。服部君は「チームとか関係なく、みんなで盛り上がりたい。祭りが終わっても元気を与え続けたい」ときっぱり。他のメンバーも「高知のみんなをリハビリ(元気に)し続けます」。
【写真】他チームを応援するリハビリレンジャーの面々(旭競演場)
冷たいビール人気
よさこいにゴーストバスターズ登場? 正体はビールの売り子さん。背中に約二十キロの生ビールが入ったリュックを背負い、「よく冷えたビールいかがですか!」と大声で繁華街を売り歩いた。
注文を受けると、背中のタンクから伸びたチューブでコップにつぐ仕組み。汗が噴き出る暑さの中、お客さんはひっきりなし。踊り終えた踊り子たちがおいしそうに一気飲み
「すごい熱気ですね」 芸能人も続々

おなじみの芸能人も、続々とよさこい祭りにやってきた。高知市出身の高知東生さんと高島礼子さん夫妻はプライベートで見物。南国市出身の島崎和歌子さんは今年もスポンサーのチームでひと踊り。タレントの篠原ともえさんはテレビ番組収録のため若者チームに入ってボーカルを担当。「しのはらでしゅー」と身をくねらせて観衆にアピールした。
「僕も十年くらい前に踊ったし、こいつ(高島さん)にいっぺん見せたくて」とひょっこり訪れたのは高知さん。追手筋本部競演場の審査員席のやぐらから十日夜に見物した。
席に上がるなり「すごい熱気だねー」と二人。高知さんは踊っている後輩を見つけると、頭上からビールをじょわーっ。「端っこで見ようと言ったけど、こいつがどうしても見たいって言うから。無理言って席構えてもらいまして」。高島さんも「ほんとすごい。感動しましたー」と関係者に何度も礼を言っていた。

篠原さんは、NHK総合テレビで八月二十八日夜に放映される「土曜特集『うたと踊りの大冒険』」の収録で、踊り子チーム「DROORS(ドロワーズ)」に交じってよさこいを体験することになった。
十一日午後、地方車に乗って帯屋町アーケード街に手を振りながら登場。Yの字の髪形に黄色の衣装で笑顔を振りまくと「かわいいー」と大声援。篠原さんは「よっよっよさこい、しっしっしのはら、ゆうひょう(優勝)ひまひょー!」と扇子をあおぎながら大きな声。ユニークなボーカルで若者たちの激しいダンスを引っ張った。
四国銀行チームにはCMキャラクターの島崎和歌子さんが浴衣姿で十日に参加、笑顔いっぱいでうちわを配った。このほか、タレントの羽賀研二さんもRKC高知放送のラジオ中継のゲストで来高。「圧倒されますねー」と十、十一日とよさこいを伝えた。
【写真】右上=「懐かしい、最高」と見物する高知東生さん(右)と妻の高島礼子さん(追手筋本部競演場)
【写真】左下=地方車の上から笑顔を振りまく篠原ともえさん(高知市丸ノ内1丁目)
2つの「h」
春野の「h」と北海道の「h」。二つのhを合わせてできたチームが「h2」。メンバーは吾川郡春野町と北海道の若者約八十人。昨年は「春野&北海道連合チーム」として初参加。今年はチーム名を変えて気分一新だ。
春野と北海道の橋渡しをしたのが同町在住の仁淀消防署消防士、山脇教弘さん(26)。北海道での大学時代にYOSAKOIソーランで三年踊ったが、一つ感じたのが、北海道には高知の一部のチームしか紹介されていないということ。
郷里で就職後、「高知にはもっといろんなチームがあるんだよ」と呼び掛けたところ、北海道の踊り子たちが集合。合同チームがまとまった。
北海道の踊り子は七日に来高。地元メンバーとバーベキューをしたり、地方車を作ったりと和気あいあい。キャッチフレーズは「ただひたすら楽しもう」で、音楽はヒップホップ。気がつけば「h3」…。
名物羽根飾り
「菜園場商店街踊り子隊」の名物は、リオのカーニバル風の華やかな羽根飾り。十年目となり、菜園場振興組合は「よさこいが近づくと問い合わせがたくさんくる。プレッシャーがかかります」。
観客の期待にこたえ、年々羽根飾りは派手に、巨大化する一方。ことしのテーマは「愛」。ダチョウの羽根で作った白地に赤い縁取りのハート形。踊り子が背負うと二メートル近くになる。約四十万円かけ、香港に発注した。
十年間、羽根飾りを背負って先頭で踊っているのが“てるちゃん”こと尾崎照久さん(38)。激しいロックに乗り、派手な羽根飾りに負けない踊りに観客は拍手かっさい。
「楽しんでもらってうれしい」と、てるちゃん。関係者は「大きさはこれが限界。また一年間、アイデアを考えないかん」と思いは早くも来年に。
比から11人
フィリピンのベンゲット州から須崎市に来ている農業研修第二期生の十一人が「SUSAKI−4H−CLUB」に参加。ササと鳴子を手にほのぼのとした踊りを楽しんだ。

一期生も昨年のよさこいを体験して帰国。ことし六月のベンゲット祭りには同チームの四人が現地を訪れ、一期生と一緒に鳴子踊りを披露した。観客は異国の不思議な踊りにびっくりした様子だったが、大きな拍手が起きたという。
練習は七月からスタート。当初ぎこちなかった研修生の踊りも、ほとんど毎日の練習で手先の細部の動きまでできるようになり、自信を持って本番に突入。升形競演場では、テンポのいい曲に合わせて笑顔いっぱいで踊った。
研修生のメディオス・ベスプリさん(24)は「振り付けを覚えるのが大変。フィリピンの踊りの方がずっと単純です。でも、本当に楽しい」。十一人は「身も心もすっかり高知人です」と声をそろえ、高知の夏を思い切り楽しんでいた。
【写真】フィリピンからの研修生11人がササと鳴子を持って楽しく踊った(升形競演場)
シンガポール人も
一昨年、シンガポールで開かれた物産展「高知フェア」でのアトラクションをきっかけに、よさこいに魅せられた現地の女性五人が自費で来高。「旭食品」チームで念願のよさこい出場を果たした。
シンガポール日本文化協会に所属するリディア・タンさん(30)ら五人。旭食品チームがシンガポールで鳴子踊りを披露した高知フェアと昨年のチンゲイパレードで踊りを体験。すっかりよさこいに熱を上げ、今回の来高となった。
一人は旅行中のねんざで急きょ出場できなくなったが、残りの四人は六日から一日二時間、特別メニューで特訓。本番ではほかの踊り子たちから「練習はそれほどでもなかったのに、本番は完ぺき」とお墨付きをもらう踊りを披露した。
タン・リーチンさん(30)は「練習の時間が足りなくて困ったが、踊れて最高にうれしい」と願いがかなって満足げ。
よさこい大賞に旭食品
ことしの各賞は次の通り。
よさこい大賞=旭食品▽金賞=サニーグループ、セントラルグループよさこい踊り子隊、鳥取県よさこい踊り子隊▽銀賞=京町・新京橋“ゑびすしばてん連”、ほにや、帯屋町筋▽審査員特別賞=高知工科大学、高知シニア(高知市老人クラブ連合会)、てんてこ舞よさこいバリアフリー実行委員会▽地区競演場連合会奨励賞=四国開発グループ、富士通グループ、十人十彩(じゅうにんといろ)、アートウェイブ、高知大丸踊り子隊、山田太鼓、無国籍、阿うん―あうん―、上町よさこい鳴子連
以上十九チームは十二日夜の後夜祭・全国大会に出場する。
☆★☆ ☆★☆ 声、声、声 ☆★☆ ☆★☆

★「家にはのれんができるくらい鳴子があります。寝室とトイレにはよさこいのポスター。今年のも絶対欲しい」=十年続けてよさこいを見に来た大阪府福島区の会社員、新川靖己さん(52)と明美さん(46)。播磨屋橋で、記念撮影中。
★「ダイナミックな踊りはもちろん、高知の風土、人間性がいい」=兵庫県加古川市の高橋則康さん(63)。カメラ趣味の仲間四人と。
★「荘厳な踊りですね」=一人で旅行中の鳥取県米子市の専門学校生、大床純基さん(19)。地図を片手に、帯屋町交番前で。
★「大学院の研究で本山町に来たんですけど、見てるうちに踊りたくなって、本山に居残って、『本山町さくら』で踊っちゃいました」=東京都豊島区の大学院一年、寄藤晶子さん(24)と宇都宮市の大学院一年、増山絢さん(22)。ひろめ市場で自分用に買った記念の鳴子を持って。
★「帰るのが悲しい。よさこいはすっごい楽しい思い出。ダンスでみんなにパワーをあげたり、もらったりね!」=外国人中心のチーム「こうちくらぶ」で踊ったイギリス人、ベッキー・ホットチンさん(24)。二年間暮らした高知から、十七日の帰国を控えて。
★「よさこい最高! カメラマン魂が揺さぶられます」=丸亀市から祭りを撮影に来た会社員、増田まさふみさん(52)。望遠レンズのカメラを持って中央公園競演場で。
★「音響に圧倒されます」=茨城県から帰高した娘さん親子と高知市一宮、無職、北添数雄さん(69)。中央公園競演場で。
★「チームの衣装と化粧がユニーク。見てると踊りたくなります」=丸亀市の主婦、石原弘子さん(50)。中央公園競演場で。
★「おばあちゃんたち、すごい! 私もずっと毎年踊りたい」=高知シニアチームを見ながら小学一年から踊っている小学五年、岡田遥さん(11)。
★「高知に帰ってもなんちゃあ娯楽がないきー、よさこいがいい暇つぶしになった」=東京土佐寮チームに参加した法政大三年、百田幸生さん(21)。
【写真】青空戻った!炎天下の踊りに鳴子のリズムがひときわ高くとどろいた(追手筋本部競演場)
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