|
8月12日(土)・夕刊
鳴子踊りでフェリー客を見送り トラック業界チーム
よさこい祭りの本祭がフィナーレを迎えた十一日夜、高知市の高知港フェリー岸壁で、大阪高知特急フェリーの出航に合わせて「とらっく『高知県トラック協会』」チームが鳴子踊りを披露した。十一年前から続く見送りの踊り。離岸するフェリーの乗客からは「ありがとう!」と拍手のあらしがわき起こった。祭りの交歓風景が、ここにも一つ―。
トラック業界関係者でつくる同チームは、フェリーとは何かと縁が深い。このため十一年前のよさこい祭り初参加以来、チームの出発式や解散式は毎年同岸壁で実施。それに加え、「日ごろ業界がお世話になっているお礼に」とフェリーの見送りを続けている。
午後九時二十分の出航を前に、岸壁に停泊したフェリーのデッキは、船内放送で踊りの見送りを知った乗客でいっぱい。競演場での踊りを終えた同チームの地方車が到着すると、「待ってましたー!」の声と拍手が飛んだ。
ライトアップされた岸壁に約八十人の踊り子が整列。「皆さまを送るために参上しました。気合入れていくぜよ!」の声で、和風の踊りが始まった。
「ハッハッハ、ソレ、ソレ、ソレ、ソレー」。二日間の疲れを感じさせない笑顔とメリハリの利いた動き。その最中に出航を知らせる汽笛が鳴り、船がゆっくり離岸していく。大感激の乗客から「ありがとうー!」のお礼と拍手のあらし。踊り子も船に駆け寄り、手を振り合った。
見送りの踊りの後、そのまま岸壁で解散式。同チームの夏は終わった。余韻に浸る踊り子の一人は「見送りは反響がよくてうれしいし、自分たちも感動するんですよ」。
毎年この情景を見ている同フェリー取締役貨物営業部長の竹田晴雄さんも「乗客からの問い合わせも多いし、毎年楽しみしてくれている人も多い。観光PRにもなっているようです」。県トラック協会の中沢章匡・青年協議会会長は「もっと乗客の皆さんに感動してもらえるよう、レベルを上げていきたい」と話していた。
【写真】フェリーの乗客を鳴子踊りで見送る踊り子ら(高知市桟橋通6丁目の高知港フェリー岸壁)
8月12日(土)・朝刊
みんなが主人公 「よさこい」本祭燃えてフィナーレ
酔った、燃えた、夏がはじけた―。第四十七回よさこい祭りは十一日、本祭の鳴子踊り競演がフィナーレ。高知の街を包んだ興奮と熱気は夜にかけて最高潮に達した。百四十四チーム約一万六千四百人の踊り子たちは、連日の猛暑をものともせず、われを忘れて乱舞群舞。「まだまだいくぞー!」「最高の踊り見せてよー!」。地方車からの絶叫に「おー!」と鳴子の波が揺れ、終わりを知らない熱気が夜更けまで渦巻いた。十二日は今世紀のよさこいを締めくくる後夜祭と全国大会。よさこいの夏は終わらない。
【写真】舞って酔ってはじけて燃えて。熱気と原色が競演場に渦巻いた(追手筋本部競演場)
岡山からも障害者チーム
岡山から「知的障害児ももぞの学園チーム」が初参加した。高知のよさこい祭りで障害者チームが活躍したというニュースを聞き、「ぜひ踊ってみたい」と出場を決めた。本番。一心不乱。そしてみんな笑顔、笑顔、笑顔。引率した山崎静男さん=高知市=は「祭りはみんなが主人公なんですね。見てください、あの笑顔!」。
沖縄エイサー参上
沖縄伝統芸能「エイサー」のグループ「琉球國祭り太鼓」が参上。メンバーは初めて見るよさこいに目を丸くして、「町全体が祭り会場になっている」。「沖縄も負けてられない」と「はーいーや」の掛け声で太鼓を打ち鳴らし、飛んだり跳ねたりのダイナミックな踊りを披露した。
【写真】勇壮に太鼓を打ち鳴らすエイサーの一団(追手筋本部競演場)
ペギーさん初踊り
「南国土佐を後にして」を歌って四十一年。名誉高知県人で歌手のペギー葉山さんが県庁チームに特別参加し、初めて鳴子踊りを踊った。
昨年はよさこい全国大会の審査委員長を務め、「踊ることは素晴らしい。来年はぜひ踊りたい」とコメント。「長い間歌う方だったけど、祭りなんて参加しないと面白くないのよね」と、ことしは約束通りの参加となった。
県から送られてきたビデオを参考に踊りのけいこ。ところが「左右が逆になるから覚えるのに苦労したわ。来年からは、後ろ向きに撮ったビデオも作っておいてほしい」。
追手筋本部競演場では、橋本大二郎知事のすぐ後ろで踊りを披露。最初は「うまくなんて考えずに、なんとか合わせて踊りたい」と言っていたが、さすが歌手特有のリズム感で見事な踊りを見せていた。
初めての踊り子体験に満足そうなペギーさん。十二日の全国大会では立場を変え、昨年に引き続いて審査委員長を務める。
デビ夫人も称賛
テレビでおなじみのデビ夫人がよさこい見物に来高。十日夜、追手筋本部競演場の桟敷席で間近に踊りを眺め、「若者が自分を楽しく表現し、青春をおう歌している。情熱に触れて元気をもらいました。素晴らしい祭りですね」と目を見張った。
高知の知人に「よさこいにぜひ一度」と招待を受け、自身の化粧品のPRを兼ねて初来高。個性的なチームの競演を目の当たりにし、「フィルムをすぐに使い切っちゃいました」。
よさこいは青少年犯罪の抑制につながるのでは、と私見を披露。「いろんな人と練習する中でコミュニケーションが深まり、友情も生まれるはず。ああいう形で情熱を発揮し、不満を発散させれば、犯罪に走るような精神状態にはならないんじゃないでしょうか」
これを交流に生かさない手はない、とも。「よさこい節は全国で歌われている。もっともっと全国で招待し合い、いい刺激を与え合ってはどうでしょう」
“分家筋”の表敬続々
県庁や高知市役所にはことしも県外からの表敬訪問が相次ぎ、“よさこい外交”が活発だ。
ことしのよさこいには県外から本祭に十三、全国大会に十七チームが出場。祭り期間中は、これら“分家筋”の祭りの関係者らが橋本大二郎知事や松尾徹人市長にあいさつに訪れたり、競演場で親交を深めている。
北海道からはYOSAKOIソーラン祭り組織委員会会長の杉岡幸三郎・札幌商工会議所副会頭らが来高し、十日に県、市を訪問。松尾市長は同日、知寄町競演場での鳥取県よさこい鳴子踊り子隊の出発式で、森田隆朝・米子市長と親交を深めた。
橋本知事の出身地の岡山からは石井正弘知事が来高。同日夜、追手筋本部競演場で県庁チームに飛び入り参加して踊った。実は、事前に知事公邸で手ほどきを受けたらしい。
全国大会のある十二日夜は、長崎県佐世保市からの参加チームの激励に光武顕市長が来高する予定。
高知は最高
「高知は最高! 来年も来ますよ!」と話すのは兵庫県加西市の主婦、時本淑江さん(58)。娘のあさひさん(29)が、インターネットで知り合った高知市民によさこいを紹介され、家族と友人の四人で来高した。
ところが、あさひさんの友人が財布を落とし、みんなげんなり。「行くだけいってみよう」と中央公園交番へ行くと、あきらめかけた財布が届いていた。しかも中身はそのまま。「関西ではまず見つからん」と淑江さん。「高知の人は踊りのように情熱的で、親切。絶対また来ます!」
好評「あったか高知隊」
飛び入りで県外観光客が参加できる「あったか高知踊り子隊」は、十、十一日とも昨年を上回る人が参加。踊りたくてうずうずしている観客に、踊り子体験の機会を提供した。
昨年まで両日とも定員を百五十人としていたが、定員オーバーで断るケースがあったため、ことしは一気に二百五十人に拡大。両日とも約百六十人が参加し、「お断りする人が出なくてよかった」と関係者をほっとさせた。
母親とドライブ旅行中の高松市の大学生、大野真由美さん(24)は「帰る準備をしていたら、パンフレットで知って。思い切って参加して良かったー。熱気にのまれましたー」と親子で笑顔全開。
チーム情報入力に汗
各競演場の本部テントでは、携帯電話やパソコンで各チームの居場所などをリアルタイムで伝えるための入力作業が行われ、高知工科大の学生アルバイト四十人が十一カ所で打ち込み作業を続けた。
サービスは、よさこい祭り競演場連合会が十、十一の両日、踊りの開始から午後十時ごろまで実施。追手筋本部競演場前では同大物質環境科三年、谷脇礼奈さん(21)ら二人が、次々と到着するチームの名前を確認しながらノートパソコンに入力した。
「有名チームの今いる場所を知りたがる人が多い。チームリーダーが、どの競演場が空いているかを調べるのにも役立っているようです」と谷脇さん。「来年はアルバイトでなく、踊る側に回りたい」と汗をぬぐった。
給水所でサポート
旭競演場。踊り終えた踊り子たちが、バスに乗る前に給水所のテントに駆け寄る。「はい、はい」と冷えたお茶を手渡すのは旭街鳴子踊り実行委員会の田村常義さん(67)ら。バケツに巨大な氷と水を入れ、朝九時から踊りが終わる午後九時までひたすらお茶を作り続ける。スタッフは五十人。キューと飲み干す汗だくの踊り子に目を細め、「元気に踊ってもらうのが一番」。
大賞に旭食品
ことしの各賞は次の通り。
よさこい大賞=旭食品
▽金賞=京町・新京橋“ゑびすしばてん連”、セントラルグループよさこい踊り子隊、十人十彩
▽銀賞=NTTドコモ高知支店、高知大丸踊り子隊、高知信用金庫
▽特別賞=帯屋町筋、鳥取県よさこい鳴子踊り子隊、高知工科大学
▽地区競演場奨励賞=グローイングカンパニー、MYCAL(マイカル)、富士通グループ、ほにや、四国開発グループ、アートウェイブ、サニーグループ、安芸東陣(新人賞)、上町よさこい鳴子連(子供チーム)
▽地方車奨励賞=(社)高知県建設業協会、富士通グループ、高知信用金庫 地方車奨励賞を除く十九チームは、十二日の後夜祭、全国大会に出場できる。
☆★☆ ☆★☆ 声、声、声 ☆★☆ ☆★☆
★「今年初めて祭りを見ました。何か熱気が肌に刺さる感じです。きょう帰るのが残念」=踊り子を撮影するため、愛媛県から日帰りでやって来た酒井健治さん(37)。
★「想像した以上のすごい迫力、とにかくエネルギッシュ。高知にはこんなにたくさん若い人がいるんですね」=帯屋町アーケード街で、日帰りツアーで訪れた広島県呉市の福永惇子さん(65)。
★「あっちもすごい楽しそー。まあどっちも楽しいろうね」=旭競演場で、他チームで踊る友達を応援していた「MOGA/MEDIA CROSS」の西山彩さん(18)。
★「高知えいですね。うちは人数少ないけど、負けませんよ。若さでアタック!」=梅ノ辻競演場で踊り終わった直後の「関西地区大学連合」の橋本恭邦さん(21)。
★「踊りがうまいし、迫力満点。来年は絶対踊りたい。でも子どものチームはいやや。大人のチームでかっこよく出たいが」=万々競演場で小学生の高知市中万々、森沢僚介君(10)と同市万々、谷口雅哉君(10)。
★「単身赴任の夫は県外出身だけど名前は慎太郎。長男は椋真(りょうま)。ちょっと出来過ぎ? 久しぶりに親子そろってうれしー」=「あったか高知踊り子隊」に参加した高知市出身で千葉県野田市の辻本千佐さん(31)。
★「親せき、息子、孫みんな出てます。毎年よさこいで元気もらっています」=万々競演場で高知市百石町、北村幸子さん(77)。
★「今年で四回目やねん。高知で踊らな夏じゃない。最高ですわ。頭のヒマワリええやろー」=京都チーム「櫻嵐洛」で踊った京都市北区、大学生、松尾大輔さん(22)。
★「踊り子を運ぶバスや地方車が道路を占領して、通行車両が迷惑。もっときちんと交通整理を」=高知新聞社へ電話で佐川町の調理師(33)。
★「昼休みに見物です。踊るには体力が持ちません。短時間だけ踊るチームがあったら、主婦も参加できるのにね」=梅ノ辻競演場で伊野町、薬剤師、大黒多江子さん(30)。
★「初参加です。家でビデオ見て練習しました。妻に盆踊りやと笑われながらも頑張りました」=「安芸子ども会連合会」の高知市介良、小学校教諭、平野大輔さん(25)。
|