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2001年3月28日(水)<朝刊>
高知 6回鮮やか集中打 岡山学芸館の追撃阻む
高知 7−1 岡山学芸館
| 岡山学芸館 |
001 000 000 | 1 |
| 高 知 |
000 005 20× | 7 |
【評】高知福山は被安打4で10奪三振、打線は六回に5安打などして一挙に5点を奪って逆転。守りも中堅宮尾の好プレーなどで盛り上げた。投、攻、守がかみ合い、序盤の嫌なムードを跳ね返した。
五回まで、安打は大迫の1本だけの高知。しかし、一番から始まった六回、左腕池崎を、的を絞った打撃でノックアウト。福本の右前打、川村、甲藤の左前打と打線がつながり同点。ここで、五番土居が真ん中のストレートを逃さず、左中間二塁打して逆転した。さらに、福山の高いバウンドがラッキーな内野安打となり、光富がスクイズを決めて4−1。宮尾のサードゴロは野手エラーを誘い、1点加えて流れを取り込んだ。
七回は先頭大迫が出塁し、福本四球、川村の犠打で一死二、三塁のチャンス。甲藤、土居が外野手前に落として2点を加えて、ダメ押し。高知は持ち味の大技小技を決め、岡山学芸館を突き放した。
福山は外に内に制球良く投げた。シンカーのコントロールに悩んだが、直球が切れ、カーブも良かった。野手は失策ゼロで、福山を支えた。(土居)
【写真】後半鮮やかな集中打で岡山学芸館を下して、うれしい初戦突破を果たした高知ナイン(甲子園球場)
高知・宮尾中堅手(七回のピンチで好捕。百メートル11秒台の快足)「気持ちで捕れた。陸上より甲子園の方が目立てる」
高知・甲藤左翼手(背番号1、六回に同点打)「ここで打たなきゃ四番じゃないと思って打った。(登板はなかったが)自分だけの甲子園じゃないので…」
主砲土居 復活の3打点
一年から主砲を任されてきた土居。しかし、これまで結果が残せず、中村監督に「おまえは四番の役目を果たしたか」と問われた。悔し涙を胸に秘め、冬場に率先して打撃練習を重ねた。その成果が、夢の甲子園で爆発した。土居のバットが、勝ち越し、ダメ押しの3打点をたたき出した。
5安打など集中打で5点を奪った六回のこと。一死一、二塁の好機に五番土居は打席へ。「意地でもランナーを返す」と打席に立った。2球目は狙い通りの真ん中のストレート。コンパクトに振り切ると、左中間を深々と破り、白球がワンバウンドでフェンスに当たった。川村、甲藤と生還。流れを呼び込む、主砲の復活宣言となった。
甲子園入りと同時に、急病で入院。練習にも二十六日になってやっと合流したばかり。「焦りは無かったけど、目いっぱいの気持ちでした」(土居)。最悪の場合は代打要員かと心配されたが、練習でフェンスオーバーを連発してアピール。試合当日、甲子園球場に入ってから、中村監督にスタメン出場を告げられた。
中村監督は「治療に当たった医師から、間に合うと言われ、彼に勇気も与えてもらった。入院の間にウエートトレーニングができたことも良かった」。高知中の監督時代から、五年間育て上げた土居の一打だけに喜びもひとしお。
昨秋まで捕手だった川村に「信頼している」と捕手を任せ、自身はファーストへ。野手からの難しい送球もしっかりキャッチし、守備でもチームを盛り上げた。
報道陣からの質問に、「みんながつくってくれたチャンス」と、何度も繰り返した土居。ナインにとっても主砲の一打は大きかった。「次の試合も自分のためでなく、チームのために打ちたい」と、穏やかな表情で締めくくった。(土居)
先発福山が的中 リズム良く好守誘う
初戦の先発、選ばれたのは福山だった。福山、甲藤の二枚投手のうち、中村監督は県、四国大会で勝ち進む原動力となり、テンポが良く守備陣が守りやすい福山を選択した。「投手のリズムを攻撃に生かしたかった」(中村監督)。大味な岡山学芸館の打線だけに、立ち上がりに乗せてはまずい、との判断もあっての決断だったろう。
この期待にこたえる福山−川村バッテリーの150球だった。制球力のいい福山は、内外と厳しいコースをつき、10奪三振の被安打4。三回には外のストレートが真ん中に入り、若竹に左中間ホーマーで先制を許すが、ここから踏ん張った。捕手川村は「本塁打されて、福山はかえって気を引き締めた」。若竹との三、四巡目は、低め中心に外角やカーブを投げて、内野ゴロに打ち取った。
決め球のシンカーがベース手前で落ち、苦しみ、二死を取ってからもたつく場面もあったが、甲子園での完投は自信につながっただろう。ことし初めに左足首を骨折。走り込みができなかったが、スタミナ面での心配も払しょくした。
七回はゲームの流れを左右する、値千金の中堅宮尾のファインプレー。宮尾は「打った瞬間、取れると思った」と言うが、真後ろに伸びる難しい飛球。俊足を生かしてバックし、グラブの先端でキャッチ。フェンスに激突した。中村監督も「あれが抜けていたら…。素晴らしいプレーです」と絶賛。失策ゼロ。それ以上のバックの盛り上げ、チーム力で岡山学芸館を下した。(土居)
【写真】150球の熱投。岡山学芸館を散発4安打1点に抑え、喜ぶ高知福山
校歌に感動 中村監督
高知の中村監督は「まず一つ勝とうとやってきたから」と話し、込み上げてくる熱いものを必死にこらえた。
高知の二年生だった一九七二年春、甲子園に出場したが初戦で敗退。高校時代に聞けなかった校歌は監督として聞く。「ジーンときました」。そう言った後は「福山がよく踏ん張った。土居はよく打った。バックの守りもよかった」と、選手への感謝の言葉を並べた。
子供らよくやった 岡山学芸館・松浦監督
岡山学芸館の松浦監督は一九七三年夏に高知商を率いて以来の甲子園勝利はならなかった。それでも「初出場なのに子供たちはよくやった」と選手たちをねぎらった。
二十八年ぶりに甲子園に戻ってきて敗れた相手はくしくも長年ライバルとして戦った高知だった。「自分としては意識はしなかった」と言うベテラン監督は「相手は優勝経験もある伝統校。胸を借りて勉強させてもらうつもりだった」と勝者をたてた。
初戦に強い高知勢
高知が岡山学芸館を下したことで、高知県勢として春は六年連続で初戦を突破した。
選手権大会も含めれば高知県は一九九五年夏の高知商以降負け知らず。十二季連続で校歌を聞いていることになり、初戦では抜群の強さを発揮している。
やったぞ高知 甲子園スタンド「黒潮香る」大合唱
甲子園球場で二十七日行われた第七十三回選抜高校野球大会二回戦で、郷土代表の高知高が岡山県の岡山学芸館高を7−1で破った。好投した福山雄投手が最後の打者を外野フライに打ち取ると、応援席は「やったー」「強いぞー」と寒さを忘れ大喜び。「黒潮香る−」と十五年ぶりの校歌の大合唱が、ナイター照明輝くアルプススタンドにこだました。
高知からは、生徒や選手の家族ら約五百人がバスで甲子園入り。卒業生らも詰めかけ、千人を超した。大相撲大阪場所を終えたばかりのOB、土佐ノ海関も姿を見せ「甲子園は素晴らしい雰囲気。せっかくの大舞台だから勝ってほしい」とエールを送った。
先発は福山投手。父の富久伸さん(48)=土佐清水市=が「あこがれの舞台で持っている力を十分発揮してほしい」と見守る中、一回表を零点に抑えると大きな拍手がわいた。
しかし、序盤は打線が不発。ホームランで先取点を奪われる苦しい展開。ランナーを許すたび、「福山頑張れ」と声援が飛ぶ。
重苦しい空気を破ったのが六回裏。四連打で逆転すると、選手が寄せ書きしたユニホームを着た宿泊先「旅館しぐれ」のアルバイト、細田貴子さん(20)も「すごい、やった」とジャンプして叫ぶ。寄せ書きに「絶対勝つ」と記した光富大祐選手がスクイズでダメ押し。さらに相手エラーで5点目が入ると、応援の野球部員らが乱舞した。
七回表にはセンターへの大飛球を、宮尾真太郎選手が背走して捕る大ファインプレー。鳴子を振っての大声援にこたえて九回を守り切ると、「よっしゃー」とひときわ大きい歓喜の声が響いた。
【写真】6回裏、一気の集中打での逆転にわく高知高校応援席(甲子園球場)
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