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2000年3月29日(水)<夕刊>
明徳、初戦を快勝 上宮太子に9−3
明徳義塾が有力校上宮太子に初戦快勝―。第五日は二十九日、甲子園球場で1回戦を行い、第1試合は県代表明徳義塾が上宮太子を9−3で破った。
明徳は初回一死から田山の内野安打、清水の右中間三塁打で1点先制。二回は失策で2点を追加して優位に立った。
明徳打線は上宮太子の好投手亀井の速球に振り負けず、快打を連発。五回は先制三塁打の清水が一塁線を破る二塁打で出ると、バントで確実に送った一死三塁に、木下が左前打してさらに1点追加。七回には再び清水が右翼スタンドぎりぎりにライナーで入る2点本塁打を放ち6−3。九回にも3点を加えて突き放した。
明徳のエース三木田は二回に1点を失い、五回は内野失策や強風に打球があおられる不運な内野安打などで走者を背負い2失点。しかし、制球の良い変化球に時折、速球をずばり投げ込んで上宮太子に的を絞り切らせない。バックも左翼田窪、右翼内村らが大きな当たりを好捕してもり立てた。八回二死満塁のピンチも三木田はしのいだ。
明徳は毎回、全員の15安打。投打歯車ががっちりかみ合った。明徳は五季連続の甲子園出場でいずれも初戦突破となった。
【写真】<明徳義塾−上宮太子>1回表明徳義塾1死一塁、清水が上宮太子先発・亀井から右中間へタイムリー三塁打を放って1点先制。捕手箸尾谷(甲子園球場=共同)
「やった。次も頑張って!」 笑顔はじける応援団
二十九日の第七十二回選抜高校野球大会第五日第一試合に登場した郷土代表の明徳義塾は、優勝候補の大阪・上宮太子に終始先手を取って快勝。寒風を忘れさせる会心の試合運びに、バス十七台で駆け付けた約千七百人の応援団の笑顔がはじけた。
一回表、清水選手の三塁打で幸先良く1点を先行すると、明徳応援席は一気に盛り上がった。「格好だけでなく、大きな声を出せ。声で敵を圧倒しろ!」。野球部の飯野勝副部長が、制服姿でチアリーダーを務める部員たちを集めてげきを飛ばす。初回から押せ押せムードだ。
その裏、先発三木田投手が無難な滑り出し。母親の千春さん(42)=大阪府泉佐野市=は「とにかく、打たれやしないかと不安で不安で。全力を尽くして頑張ってほしい」とほっとした表情。
二回の攻撃では、中学生時代から三木田投手のチームメートの田窪選手がヒットで出塁。相手エラーでホームを踏み、一気に流れを引き寄せた。母親の緑さん(45)=泉佐野市=も「子どものころから甲子園にあこがれて、明徳に進んだ子です。最高の場所でヒットを見せてくれてうれしい。悔いのないようにやってもらいたい」と笑みをこぼす。
明徳義塾の吹奏楽部は、海外の姉妹校などとのジョイントコンサートと日程が重なったため、この試合は欠席。代わって大阪市の北陽高校ブラスバンド部二十人が友情演奏を担当した。
手嶋正雄顧問によると「明徳側から頂いた曲目はほとんどが初めて。一週間ほど練習してきました。昭和六十年に伊野商が優勝した時も応援演奏してます」と話す。明徳応援団恒例の鳴子踊りに合わせたよさこい節でも息の合った演奏を見せた。
九回表にだめ押しの3点が入り、その裏、上宮太子の攻撃をピシャリと無得点で抑えると、応援席は歓喜が一気に爆発。新入生の陸上部員、藤原真衣さん、中沢沙織さん、上田真梨子さん、粟飯野理絵さんも「やった。次も頑張って!」と喜びを分かち合い、この勢いを二回戦にと盛り上がった。
【写真】優勝候補の上宮太子を破った明徳義塾のアルプス席は沸き立った(甲子園球場)
2000年3月29日(水)<朝刊>
きょう上宮太子と初戦 雨避け調整万全
「三十分以内に雨降るぞ! はよ、やれよ!」。馬渕監督の声がグラウンドに響きわたった。上宮太子との決戦目前。だが、空模様が怪しい。一分一秒が惜しい。1回戦最高のカードといわれる大舞台に向け、最後の調整が二十八日、宿舎間近の西宮市、津門中央公園野球場で行われた。
◆報道陣続々◆
「こりゃ、昼から雨や。雨の降らんうちにやっとかんと」。兵庫県の降水確率は、午前中五〇%、正午から八〇%。本降りの可能性が高い。前日夕方の段階で、馬渕監督は早めの準備を指示した。
明徳の割り当て練習時間は、午前九時から三時間。球場までは歩いて七分。だが、一時間も前に宿舎を出発。球場前で少し待つと、管理人が到着。五十分も前から練習を開始できた。雨に泣かされる「春」。五年連続出場で、打つべき手は分かっている。
練習はいつも通りフリー、シート打撃、ノック。だが、いつもと違うのは、報道陣の多さだ。高知からのテレビクルーが二組、新聞も本紙を含め三社。「先発は三木田ですか、増田ですか?」「速球対策は?」。監督の動きを追ってカメラが動く。「いよいよ本番」の雰囲気だ。
◆睡眠4時間◆
マネジャー、橋本龍太(新3年)は、この日もチームの世話に動き回った。練習準備、監督らの指示伝達、夜間の洗濯、こまごました作業。これに加えここ四日ほど、相手チームのビデオ分析が加わり、極度の睡眠不足状態だ。
重兼知之コーチ(25)、捕手の木下、河口とともに見て、床につくのは午前一時すぎ。最終チェックの二十七日夜は、重兼コーチと二人で午前一時四十分までまとめ、朝は五時半起床だった。
マネジャーになることは、二月に決意した。甲子園の近所、宝塚市出身。中学から明徳に来ている。「甲子園のベンチ入りしたかった。実力不足で、このままじゃ、メンバーに入れないし」
二塁手希望。勇気のいる決断。「やってる時はしんどいけど、充実感がいい。ポジションはあきらめたわけじゃないんです。ふだんは練習にも入ってる。夏は目指します」
161センチとチーム一の小柄だが、甲子園への思い入れは人一倍。睡眠不足状態は、負けるか勝ち続けて優勝するか、のどちらかまで続く。
◆気持ちよく終了◆
「ほら、見てみい。すっごいタイミングや」。馬渕監督が言った。午前十一時二十分。練習終了直後の会見中に、計ったかのように雨が落ちてきた。雨粒は見る見るうちに大きくなった。「三十分」の“予言”は外れたが、気持ちよく太子戦に向けた最後の練習を打ち上げた。
【写真】上宮太子戦を翌日に控え、打ち込みで仕上げる明徳ナイン(西宮市、津門中央公園野球場)
硬さなくいい仕上がり 太子打線抑えられるか
二十八日の練習終了後、上宮太子戦へ向けての手ごたえを馬渕監督が語った。(以下談)
選手の大きなけがもなく、いい状態で臨める。調整は非常にうまくいった。大会五日目で難しい日程だったが、練習不足もなくできた。いつもより気は楽です。リラックスしすぎるのも、ちょっと心配だが。
相手は優勝候補なんで思い切ってぶつかれる。硬さは全くない。強敵には違いないが、初戦はあまり力が出せないもの。逆に向こうが硬くなるかも。今大会を見て、ほとんどの試合が「勝負」になっている。うちもそうなりそうだ。
亀井投手は、何回もビデオを見て研究した。スピードボールだけなら負けない。直球だけなら5、6点は取れるでしょう。でも、そんなに打てないはずだ。変化球がいいし、フォークもあるらしい。緩急を使われると、攻略は難しい。どれくらいうちの投手陣が上宮太子打線を抑えられるかがカギでしょう。
投手は決めているが、名を言うことはできない。(28日は)三木田は70球、増田は80球ぐらい投げた。二人とも経験があり、打たれたらすぐに継投できる。ただ、先発が五回まで抑えられないと、勝負にならないでしょう。要は四球、失策、野選が出た方が負け。
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