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2002夏の高校野球 県大会戦評

―最終日―   2002年7月28日(日)

 夏の甲子園代表は5年連続で明徳義塾――。28日、春野球場で明徳―高知の決勝を行い、昨年と同一カードの決戦は、堅実な攻守を見せた明徳が7―4で高知を下し、5年連続9度目優勝で県代表となった。

 明徳田辺、高知福本の両エースが先発。明徳は三回、四死球と暴投の無死一、三塁で山田が右犠飛。無安打で先制すると、さらに、四球などの二死一、二塁で筧が右中間2点二塁打。さらに、五回にも高知二番手森田から2点を奪った。

 高知は五回、溝渕、大迫の連打でつくった二死二、三塁で明神が中前に2点タイムリー。七回には熊巳が一塁横を破る二塁打と失策で三塁に進み、内野ゴロでかえって3点差と、次第に追い上げた。

 しかし、明徳は八回、沖田の適時三塁打で1点追加。エース田辺は九回もヒットと盗塁、適時打で1点を失ったが、結局9安打されながらもビッグイニングを許さなかった。内野も最後は三塁ゴロ併殺で締めるなど堅守だった。

 明徳は、春夏通算19度目の甲子園出場。全国大会は8月8日開幕で、組み合わせ抽選は同5日に行われる。

▽決 勝

(春野球場)
明徳義塾 7−4 高  知
明徳義塾 004 020 010
高  知 000 020 101

 【評】高知9安打、明徳8安打。だが、結果は逆だった。高知先発の福本は前日完投の疲れが残っていた。三回、明徳は制球に苦しむ福本から四死球と暴投で無死一、三塁のチャンスをつかみ、右犠飛でそつなく先制。筧、田辺は高めの直球を見逃さず連続二塁打。ボール球を振らず、好球を見逃さず、安打2本で4点を挙げた。五回は2番手の森田から山口が押し出しの四球を選び、泉元がスクイズ、2点を追加した。八回も二死から左前打の山田が二盗後、沖田の右中間三塁打で1点をダメ押し。打線が上位、下位を問わず好機をものにして、高知を振り切った。先発田辺は毎回のように走者を背負いながらも、要所はコンビネーションよく投げ、大量点を許さなかった。

 高知は記録に残らないミスが痛かった。三回表二死二塁で田辺の邪飛を外野手が捕球できず、直後に適時二塁打を浴びた。打線は五回から田辺をとらえ始め、追撃態勢に入ったが要所で一本が出なかった。(宇田

 明徳 昨秋の敗戦生かす 岡豊破りピンチに強さ

 校歌が流れた後、スタンドに向かい万歳をして喜ぶ明徳ナイン。ベンチ前に帰った選手で、馬淵監督と一番先に握手したのはエース田辺だった。

 馬淵監督は決勝に臨み、田辺に「勝つピッチングに徹せよ。昨年の秋にやられたところを利用しろ」と指示していた。秋の四国大会県予選決勝はシーソーゲームで高知にサヨナラ負けしていた。

 この日の田辺は連投ながら球威があり、打者を追い込んでは外角のスライダーで三振を奪った。疲れが見えた中盤以降は、やや内に入った球を高知打線にはじかれ失点。それでも五回に2失点して、マウンドに来た伝令ににやりと顔をほころばす余裕も見せた。田辺は「秋はスライダーだったけど、今度はコンビネーションで戦った」と要所では低めに投げて抑えた。

 一方、相手先発を左腕福本と予想。この2カ月間、特に左投手で打撃練習を行い、練習試合も左投手のいるチームと多く戦った。昨秋の福本との対戦はカーブ狙いだったが、直球にやられた。今度は逆に、ベース寄りに立ち、投げて来るだろう内角ストレートが狙い。福本は連投疲れからか前日の球威もない。三回、四死球につけ込み、犠飛や連打で4点奪い主導権を握った。

 後半、高知に当たりが出ただけに、三、六回のピンチを抑えたのも大きい。馬淵監督は「棺おけから帰ってきた」と、準々決勝の岡豊戦を振り返る。絶体絶命のピンチで一昨年秋の高知東戦がよぎったナインもいた。決勝での逆境を捕手筧は「岡豊の九回裏無死満塁がしのげたので、そんなに思わなかった」。主将森岡は「絶対負けない気持ちがあった。全然怖くなかった」とピンチでの強さが加わった。

 馬淵監督は「夏に勝つには、実力だけでなくプラスアルファがいる」。閉会式の傾いた日差しに、輝く涙と汗を見せるナインは、逆境をくぐり抜け、また一回り成長していた。(土居

 高知 「力尽くした涙ふけ」 2枚エース継投実らず

 完投はできない。試合前から福本には分かっていた。肩の故障明けの左腕エースに、前日の完封劇の疲れが残っていた。痛めた個所とは違う部分に違和感があった。だが、最後の夏に悔いだけは残したくない。中村監督の「いけるか」の問いに、迷いなく「いきます」と答えた。中村監督は「3点取られたら代える」と目標を与え、福本の前向きな気持ちに託した。

 初回はほぼ真っすぐ一本。ブルペンで「走っていない」と感じたストレートで、あえて押した。逃げたら、つかまる。明徳打線はボール球を見極め、甘い球を逃さない。だから、強気に攻めた。主砲森岡を内角速球で内野ゴロゲッツーに仕留めた。

 だが、三回の初球が死球。球が高めに浮き、カーブも決まらなくなる。肩で大きく息をした。強気に攻めたいはずが、それを支える球威、制球がままならない。二死から筧、田辺に連続長打を浴びたのは、ボールが先行した後の甘く入った球。3点で継投のはずが、4点を失った。

 序盤のエース降板。春までの高知なら気落ちしたかもしれない。しかし、そうはさせない右腕森田の存在があった。昨夏の新人戦。明徳戦に先発しながら一死もとれず降板。9月に腰と背中を痛め、投げられない時期もあった。「福本に迷惑を掛けた」思いが、冬の練習を支えた。そして春以降、福本がいない間、マウンドを守った。県外強豪校にも好投。130キロ前半の速球が140キロに伸びた。中村監督も「2枚エース」として全幅の信頼を置いた。森田の成長が、福本を「いけるところまで飛ばす」気持ちにさせた。

 結果は敗れたが、高知ナインはゲームセットの瞬間まで全員で反撃。福本が打って投げた昨秋の四国大会から一回り成長していた。

 涙に目をはらすナインに中村監督は「力は尽くした。涙をふけ」。そう声をかけ、下級生には「3年も続けて同じ相手に負けたら、許さんぞ」と念を押した。下級生たちは、この涙の悔しさは忘れたらいけない。岡豊、室戸をはじめ、県内各校の「打倒明徳」への取り組みはすでに始まっている。(早崎

 つき大事にしたい

 明徳義塾・馬淵史郎監督の話 (三回の)4点で守りに入りそうで、5点目が本当に欲しかった。(五回の)6点目が大きかった。田辺はよく前半をしのぎ、後半もここ一番で低めに投げた。継投を考えた方が負けと思った。センバツで負けて以来、40試合以上負け知らず。つきを大事にしたい。春に残したことを夏やるぞと選手に話した。

 走者置いて1本出ず

 高知・中村敏彦監督の話 福本には「3点で代える」と言っていた。よく投げてくれたが、明徳打線は甘い球を逃さず、高い球を打たれた。打線は打者によって狙い球を分けていた。相手のリードが単調になったこともあって、中盤から後半にかけて狙い球をしぼった。いい感じでとらえだしたが、走者を置いてあと一本が出なかった。

 野球でも重要 “ハーフタイム”

 五回裏が終了すると、グラウンド整備が行われる。およそ5分間の小休止。猛暑の中で選手は火照った体を少し冷まし、後半戦へと向かう。

 同じように、サッカーだとハーフタイムがある。選手交代を行ったり、戦略の立て直しを図る。試合を進めるうえでポイントにもなる「時間」だが、その意味では野球もまたそうである。

 五回裏に高知が2点を返して、「ハーフタイム」に入った。2点を返したことで、高知は気持ちが前向きになれ、疲れを感じなかっただろう。整備の傍らで軽いキャッチボールすることで体も気持ちもリラックス。終盤にかけての追い上げは、そこに始まっていたと言っていい。

 一方、明徳はどうか。4点差があり、まだ余裕はあったのではないか。これが2点差に追い上げられていたらそうはいかない。気持ちの上で守りに回って、せっかくの休息がそうならない。それだけ五回表の2点の追加点が重要な意味を持っていたと言える。

 その2点、押し出し四球とスクイズによるもの。無死満塁から一死後、7番山口へ高知バッテリーはスクイズ警戒で、結局カウントを悪くして押し出し四球。8番泉元には初球を外し、2ボール。それまで打つ気満々だった泉元が一塁ベンチを瞬間振り返る。馬淵監督からさっとサインが出た。

 スクイズバントは小飛球となったが、捕手のミットの先に当たって落ちた。選手、ベンチの呼吸がぴたり合っていた明徳がつきも呼び寄せた。(堀見


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