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2002夏の高校野球 県大会戦評

―第5日―   2002年7月24日(水)

 明徳義塾が苦しみ抜いて、室戸は完勝4強入り――24日、春野球場で準々決勝2試合を行い、5年連続の甲子園を狙う明徳義塾はあわやサヨナラ負けのピンチを何度も切り抜け延長十二回、6―4で健闘の岡豊を下した。室戸は追手前に7―0、八回コールド勝ちして2年連続で準決勝に進んだ。

 第1試合、明徳―岡豊は、4―4の同点で迎えた九回裏、岡豊は無死満塁の絶好のサヨナラチャンスは内野ゴロと左フライ、タッチアップ失敗の併殺で逸機。十一回裏も二死満塁としたが、これも実らなかった。明徳は十二回、押し出し四球と泉元の右前打で2点。その裏、岡豊は再び二死満塁として食い下がったが、明徳エース田辺の力投の前に屈した。3時間14分の熱戦だった。

 第2試合、室戸―追手前は、室戸が追手前エース山崎を序盤で攻略。二回に二塁打3本などで3点。三回は戎井の2点適時打でリードを広げた。室戸の左腕エース細松は8回を九奪三振、4安打散発。室戸は終盤も小刻みに得点して、コールドに持ち込み完勝した。

 第6日は25日、同球場で別表の準々決勝残り2試合を行う。

▽準々決勝

(春野球場)
明徳義塾 6−4 岡  豊
明徳義塾 210 010 000 002
岡  豊 000 020 200 000
(延長12回)

 【評】野球の神様は明徳にほほ笑んだ。明徳田辺は同点の八回一死三塁のピンチにスクイズ失敗を誘い三塁走者挟殺で零封。九回、失策絡みの無死満塁も三塁ゴロで一死。浅い左飛で離塁した三塁走者を挟殺し岡豊の猛攻を瀬戸際で食い止め、傾いた流れを引き戻した。打線は序盤こそ長短打で4点をたたき出したが六回以降は沈黙。十二回、四死球と失策での無死満塁から押し出しと適時打で2点をもぎ取り試合を決めた。

  岡豊田島は変化球を低めに集め終盤明徳打線をほんろう。打線も15安打と攻めに攻め最後まで好機をつくるもあと1点が遠かった。(青木)

 明徳 絶体絶命しのぐ

 同点の九回裏、無死満塁。明徳もここまでか。だれもがそう思っただろう。

 しかし、明徳は踏みとどまった。主将森岡はマウンドに集まったナインに、「おれらはどこにも負けない練習をやってきた。開き直って思い切りやろう」とげきを飛ばす。田辺と筧は「最後の夏。悔いのないよう、真っすぐで押そう」と開き直る。後続打者を直球一本で詰まらせ、ピンチを切り抜けた。冬場の走り込みで速さを増した田辺の直球が、土壇場で生きた。

 八回裏一死三塁のスクイズを三振ゲッツーに仕留めたのにも、裏付けがある。三塁走者がスタートを切ったのを見た田辺は、外側にスライダーの握りのままで外した。筧は同時に腰を浮かし、外に逃げる球をつかまえた。「カーブならワンバウンド、スライダーなら横に外して、バットに当てさせない」。練習試合で何度も試し、前夜も2人で確認し合ったプレーだった。

 明徳らしからぬ試合だった。五回無死三塁を逃してから、流れは岡豊。明徳は十一回までヒットが一本も出ない。田辺は変化球が決まらず15安打も浴びる。七回には内野守備のミスで同点に追い付かれる。186球目の三振で試合を終わらせた田辺の、「初めて」というガッツポーズが苦しさを表していた。

 大会前から馬淵監督は「一度はしんどい試合がある」と話していたが、しんどいなんてもんじゃない。「3度くらい、死にかけた」と同監督。だが、苦しみ抜いた試合はナインの自信につながる。「吹っ切れた。もう気持ちだけは負けない」と田辺。一度“死んだ”人間は強いかもしれない。(早崎)

 遠かった「1点」

 岡豊のサヨナラ勝ちは目前だった。同点で迎えた九回裏、先頭の楠本がフェンス直撃の二塁打。続く土居智は敬遠。一、二塁として3番田島の送りバントを筧がポロリ。無死満塁で4番。スタンドがどよめく。流れはできているように見えた。だが山中監督には迷いがあった。

 八回裏一死三塁の場面。スクイズを失敗した。明徳バッテリーに読まれ、一瞬にしてチェンジ。

 4番の金子は明徳田辺から2安打。勝負させた。三塁ゴロで本塁封殺。「スクイズさせてたらもっと違う結果だったかも」と山中監督。だが、まだ一死。チャンスは続く。五番大谷智にも、そのまま打たせた。左翼へ飛球が上がった。さい配が当たったかと思われた。タッチアップした楠本が一瞬足を止めた。勢いよく飛び出したが、ランナーコーチが「止まれ」と手を広げていた。三本間で挟まれて併殺。「走塁は全部まかせてあった。コーチの判断に悔いはない」。1点は遠かった。

 延長戦に入ったが、もう田島は限界だった。握力はなくなり、肩は既にパンク状態だった。十二回、押し出しの四球を出したところで代えた。田島は「176球も試合で投げたのは初めて。スライダーはよかったと思うけど途中から球威が落ちて…」とうなだれたが、山中監督は「どう料理するかは、僕の手の中にあった。全部、僕の作戦ミスです」。

 もし九回、楠本の打球があと数十センチ高かったら、あと一本がでていたら…。惜しい場面は多かったが、山中監督は「負けるぐらいなら、いい試合なんかしない方がいい」。負けはしたが、王者明徳を十分に脅かした。「こいつらともう一回やり直しです」。次の対戦でどんな試合を見せてくれるのか、楽しみになる一言だった。(宇田)


(春野球場)
追 手 前 0−7 室  戸
追 手 前 000 000 00
室  戸 032 001 01X
(8回コールド)

 【評】室戸はエースが無失点、打線は11安打と追手前を寄せ付けず、八回コールド勝ち。二回に二塁打3本を含む4安打で3点を先制。三回にも溝渕の二塁打に敵失が絡んだところで戎井が右前2点適時打。六回、八回と1点ずつ追加点を挙げサヨナラ勝ち。打線の好調ぶりを見せつけた。エース細松は初回3者連続三振と最高の立ち上がり。伸びのある直球と決め球のスライダーで快調に飛ばし、八回を4安打に押さえ込んだ。

 追手前山崎は前日の完投の疲れからか、球威がなかった。交代した高橋佑、東野も室戸の勢いを止められなかった。(宇田)


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