2005年8月11日(木)<朝刊>
取り戻せなかった「打」 スライダーに14三振
「とにかくボール球を振るな。スライダーをしっかり見ろ。それだけやったんですけど…」。甲子園通路のインタビュー台上の島田監督は、県大会決勝のときのように目を真っ赤にして話した。
日大三のエース大越がスライダーを多投することは織り込み済み。そのほとんどがボール球になることも分かっていた。だからベンチの指示は「しっかり見極めて、ボールになる球は振らずカウントを取りに来る球を打て」。
中谷、山本幸、富永の3人の左打者は左腕にうまく対した。初回の中谷、山本幸のヒットは外寄りの直球をセンター方向へはじき返したもの。問題のスライダーには手を出さず、直球狙いだった。二回の富永もサードライナーに倒れたものの、外角球を左翼方向にジャストミートした。
ところが、期待の右打者は苦しんだ。ひざ元スライダーへの対応ができなかった。岡本部長は「追い込まれて振るのは仕方ないが、早いカウントから振るのはまずい」と言うが、相手捕手が何度三振球をそらし、一塁に転送したことか。それほど切れのあるスライダーだった。
初回一死一、三塁の先制機に、続く右打者2人の予想を上回る切れが、そのスライダーにあった。ストライクに見えながら、鋭く落ちてワンバウンドになる球で連続三振。チャンスを逃してしまった。
2点を返した五回、二神のタイムリーを含めた7―9番の3連打はいずれも直球。笹岡、二神の右打者は球筋に逆らわずライト方向に打った。「さあ!反撃」と思わせるのに十分な攻めで後半に期待を抱かせたが、六回以降はまた空振り、空振りに逆戻り。結局、14三振を喫した。
甲子園入りしてからは練習時間のほとんどを打撃練習に充て、左投手の打ち込みも続けていたのだが、やはりバッティングは短期間で取りもどせるものではなかったのか…。(井上)
【写真説明上】【高知―日大三】1回裏日大三2死二塁、右前打で二塁走者千田(左から2人目)が本塁を狙うが、富永のダイレクト返球でタッチアウト。捕手下司、背番号1は二神(甲子園球場)
【写真説明中】【高知―日大三】5回表高知無死一、二塁、笹岡がチャンスを広げる右前打を放つ。右は日大三・大越投手
高知・下司捕手 (二神について)「立ち上がりが悪かったけど、90点ぐらいの出来。球の切れは地方大会と変わらなかった。(甲子園でバッテリーが組めて)感無量です」
高知・勝賀瀬三塁手 (4番。無安打に終わって)「期待に応えられなくて悔しい。球の見え方は地方大会と変わらなかった。相手投手の球の切れが予想以上に良かった」
日大三・中山主将 (明徳義塾に代わって出場の高知に)「高知は明徳といい勝負をしているので油断はなかった。(自分たちは)いまいちの内容だった」
日大三・江原左翼手 (二回に3ラン)「中飛か中堅手の頭越えだと思った。チームを勢いづけるいい一発だった」
二神に脱帽
夏の甲子園を制した経験を持つ日大三の小倉監督は「負けたらどうしようかと思った」と初戦突破に安堵(あんど)の表情。
相手は明徳義塾に代わって出場の高知ということもあり、勝利の味もひと味違うようだ。
二回に4点を挙げたものの、七回まで追加点を奪えない苦しい展開。
「中盤で点を取りたかった。うちが打ちあぐねたと言うよりは、(高知の)二神君の出来が非常によかった」と脱帽していた。
【写真説明下】【高知―日大三】5回表高知無死満塁、二塁ゴロの中谷(右)が一塁ヘッドスライディングで併殺をまぬがれる。この間に三塁走者が2点目のホームイン。一塁手田中洋