2005年8月8日(月)<朝刊>
日大左腕想定し”特打ち”
朝の開会式から夜の甲子園練習までの長い一日が明けた7日、甲子園の高知ナインは西宮市の津門中央公園球場で2時間の割り当て練習を行った。残された時間はわずか。1分でも1秒でも長くと、終了時間ぎりぎりまでボールを追った。
前夜の甲子園練習のノックでは特にミスは見当たらず、大学のセレクションに向けてある程度のピッチングをしていたというエース二神も順調に仕上がっている。守りにはある程度めどが立った感じだが、打線はどうか。この日の練習の4分の3、約1時間半をバッティング練習に充てた。
高知は普段からマシンを使っていない。10日の初戦で対戦する日大三の左腕大越対策でマウンドに上がったのは、OBら大学生左腕2人。スピードに目がついていかない感じの打者もおり、まだ速球に振り負ける場面が目についた。
ただ、相手は大学生。岡本部長も「ちょっとピッチャーが良すぎた」。今は打てるとか打てないではなく、とにかくバットをたくさん振ることが大事といい、ヒット性の当たりが少なかったことは特に気にはしていない様子。手早く後片付けして、ナインがグラウンドを出たのは割り当て時間いっぱいの午後4時ちょうどだった。
チーム全体の調整具合は、今までのところ問題なしだろう。島田監督も「県大会までに一度体はつくってあるので、あとは眠っている部分を覚ますだけ。一からつくるわけじゃないですから」。徐々に、不安はなくなりつつある。
【写真説明】初戦の相手、日大三の投手を想定して左投手を打ち込む高知ナイン。打者は勝賀瀬(西宮市津門中央公園球場)
エース二神に脚光「0点に抑えたい」
6日夜の「ナイター甲子園練習」で、大勢の報道陣が高知ナインの一挙手一投足を見詰めたが、途中からブルペン前に多くが集まった。
ほとんどの記者は代替出場の「話題性」を追って練習をチェックしに来たようだが、速球をコーナーにビシビシ決める背番号1を見ると、途端に目つきが変わった。「おい、このピッチャーええぞ」「こんなのがおったんや」。ひそひそ話が耳に入った。
背番号1はエース右腕の二神一人。県大会決勝延長十二回の力投は記憶に新しいが、彼抜きで高知の24年ぶりの甲子園出場はなかっただろう。
183センチから投げ下ろす速球。同じ腕の振りからのブレーキ鋭いカーブ。めったに投げないがフォークボールもある。その上コンビネーションがいい。捕手の下司は「ボールをすぐに返し、座ったらすぐサインを出す」テンポの良さ。打者に考える間を与えず打ち取ってしまう。
もともと二神は制球は悪いほうだった。昨秋までは四球連発で走者をため、押し出しか長打。「ダメ投手の典型」だった。大月中3年の2002年県中学選手権で2勝してベスト16に残ったのが最高という。また負け試合で四球を14個出してしまったこともあったという。「(高知)学園に入学したときも、『まあ1回でもベンチに入れたらええか』と。それが、まさかですよ。甲子園なんか」
ひと冬越えて“別人”になった。当人は「何も変わってないし、特別やったことはありません」というが、体つき、特に下半身のたくましさは秋と全く違う。走り込みなど陰の努力がうかがえる。
甲子園入りしてから毎日70球前後のピッチングを続けている。県大会終了後のブランクは特に感じさせない。夢舞台では、とにかくバックを信じて投げたいという。「ヒットは何本打たれてもいいから、0点に抑えたい。0点なら、絶対負けませんから」
【写真説明】ブルペンで調整を続ける高知のエース二神。後方は黒田(西宮市津門中央公園球場)