2005年8月6日(土)<夕刊>
開会式に滑り込みセーフ! 前夜にユニホーム到着
出場が決まったと思ったら、はや開会式。高知高の甲子園は何もかもが慌ただしい。6日朝、甲子園を行進した同校の選手たちが着ていた真新しいユニホームもそう。この試合用ユニホームが仕上がったのは開会式前日の5日夜。「なんとかしましょう」と胸をたたいた業者さん、通常なら10日かける作業を、わずか1日でやり切った。
多くの場合、甲子園出場チームはユニホームを新調する。予選の激闘で汚れ、傷むからだ。もちろん「出場の記念」という意味合いもある。通常なら県大会終了後、10日間ほどかけてユニホームを作るという。
ところが高知高の場合、出場が決まったのは4日午後。大会開幕まで1日半しかなかった。開会式に間に合わせるには正味1日しかない。
「大丈夫やろうか。間に合うろうか」。誰もがこんな不安を持った。
「何とかします。私、走りますんで」
同校のユニホームを引き受けているスポーツ用品メーカー、ミズノ四国営業所の中妻春夫さん(40)は出場が決まった4日夕、同校野球部の関係者に威勢よく答えた。
答えたものの、自信があったわけではない。なにせ、正味わずか1日。「できるかどうか、半々の気持ちだった」と中妻さんは打ち明ける。
翌5日は「綱渡りみたいな作業」(中妻さん)に追われた。朝、高知市北端町の同校で選手全員のサイズを測ると、胸の「KOCHI」の文字は高松市で取り付け、岡山県総社市では帽子を生地から縫い上げた。
大会本部が統一している背番号が西宮市の宿舎に届いたのが夕方。それを大阪市内に持っていってユニホームに縫い付けた。ストッキング、アンダーシャツ、スパイク、ユニホーム、帽子…。完成順に宿舎へ運び込み、最終的にすべてそろったのは午後9時20分。開会式への出発まで10時間を切っていた。
選手たちは真新しいユニホームを早速試着。一度は脱いだ背番号を再び背負い、「気分が引き締まります!」。
引き締まった選手たちの表情を見て、「正直、よくできたと思う」と中妻さん。忙しかった一日を振り返り、ほっと胸をなで下ろしていた。
高知高の初戦まで、残された時間はあと4日。時間との戦いはまだまだ続く―。
【写真説明】ぎりぎりで間に合った! できたばかりのユニホームを試着する選手たち(5日夜、西宮市の宿泊先)