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2003年8月7日(木)<朝刊>
夏の甲子園きょう開幕 明徳ナイン臨戦態勢
甲子園の明徳義塾ナインは6日午前、甲子園での開会式リハーサル。その後、午後4時から西宮市の津門中央公園野球場で約2時間の調整を行った。普段は半分以上の時間を割くフリー打撃は30分足らずと短め。その分、シート打撃などで実戦感覚を磨くことに時間を費やした。横浜商大高を見据えた練習が、攻守で本格化してきた。
「1度失敗しても、2度3度と走ってくる」(馬淵監督)。ビデオなどで横浜商大高の情報を分析した明徳は早速、“足”を封じる策を練った。
好調を持続している右下手湯浅はブルペンで約100球。大半をクイックモーションの再確認に費やした。また、左打者の多い相手打線をイメージ。相手が苦手と思われるコースに投げ込んだ。明るい材料は鶴川。甲子園入りして初めてシート打撃に登板。レギュラー組を相手にヒット性の当たりは1本だけだった。速球、変化球とも低めに集まった。「鶴川いいですよ」と審判役を務めた飯野コーチ。馬淵監督も「打者相手にマウンドに立つと、鶴川は良くなる」と手応えを感じた様子。
打撃陣も横浜商大高エースの給前を攻略しようとテーマを持って臨んだ。「だいぶ相手のイメージができてきた」と4番山口。この日は、ある狙い球を絞るパターンを試したという。鶴川にはてこずったが、投手が代わると沖田、久保田らが鋭い当たりを放ち、馬淵監督も「いまひとつだった打線が、まあまあの状態になってきた」。
“足攻め”も攻略の有効な糸口。練習前のミーティングで相手エースの癖も頭に刻み込んだ。一死一塁設定のシート打撃では、走者が積極的に盗塁を試みた。リードが小さい選手や、スタートが遅いケースでは馬淵監督から「盗む気持ちがあるんか」。容赦のない声も飛び出し、ピリリとした練習を終えた。
【写真】横浜商大の“足”を警戒してクイックモーションを確認した湯浅(手前)と鶴川(西宮市の津門公園野球場)
優勝旗「本当に重い」 開会式リハーサル先頭行進に喜び実感
6日、甲子園球場で行われた開会式リハーサルで、前年優勝校の明徳義塾は49校のはなを切って行進した。「自分たちの前に誰もいないのは、気持ち良い」と山口。夏の甲子園では県勢初の“先頭”行進。ナインは優勝旗を全員で返しに来た喜びを実感した。
ただ、30キロ近くある優勝旗を持つ主将沖田だけは別。163センチと小柄な主将は大優勝旗が地面をこすっては大変と必死。「沖田の腕がぴくぴく震えてました」と“証言”するのは、真後ろを歩いた副主将川崎。予行演習後に沖田は腕に湿布を貼るほどで、「本当に重いんです。感慨に浸る余裕なんてありません」。
馬淵監督の採点は「85点」。躍動感に欠けていたという。毎朝の朝礼で行進をしているナインだが、午後の練習終了後にもう1度チェック。優勝旗の「重さ」に恥じない行進でスタートを切りたい。
初戦かく戦う 明徳、横浜商大高監督「対談」
甲子園は開会式リハーサルの6日、スタンドのあちこちで選手の入場行進を見守る監督の対戦校別「対談」が行われた。明徳義塾の馬淵史郎監督と横浜商大高の金沢哲男監督も顔を合わせた。試合は第3日第3試合。初戦にかける意気込みを聞いた。
―相手チームの印象は。
馬淵監督 「きのう3試合分のビデオを選手と一緒に見ましたが、機動力を使ってくる。(エースの給前君は)コンビネーションとテンポが非常に良いですね。だから守りのリズムも良い」
金沢監督 「相手は高校野球の“チョモランマ”。うちは“富士山”くらい。対戦できて光栄です。ただ、うちと同じで2年生が5人出ている。昨年の優勝チームと違って、発展途上でしょうか」
―どんな試合展開を予想されますか。
馬淵監督 「初戦が予想通りいったためしがない。四回ぐらいまで手も足もでん試合もあった。ほんと初戦は難しいです。でも、打ち合いにはならんでしょう。両方の投手がしっかり投げれば、3、4点以内の勝負になるのでは。ただ、3試合目は(グラウンドが荒れて)イレギュラーも多く、エラーがある。どちらに出るか。ミスした方が負けでしょう」
金沢監督 「(高知県大会)決勝のビデオを見ましたが、うちの打線は目いっぱいで3点ぐらい。ピッチャーが3点以内に抑えることが絶対条件。6年(5季)連続の明徳さんに対し、うちは10年ぶり。初出場のようなもの。緊張感の中、どれだけ地に足をつけてやれるか。立ち上がりをいい感じで入りたい」
―警戒する選手は。
馬淵監督 「もちろん4番でエースの給前君。まず、バッターとして打たれたらいかん。気持ちよく投げさせないように注意したい。(神奈川県大会決勝で3打点を挙げられた)横浜は、なんで一塁が空いてるのに歩かせなかったんだろう。5番打者も要注意なのかもしれない。こちらは足を使った攻撃をしないと崩せないでしょう。これが『四国のエンドラン』という攻めを見せたい。ただ足が使えるランナーが出るかどうか」
金沢監督 「やはり1番の沖田君。完ぺきには抑えられない。2、3本のヒットは覚悟している。でも沖田君を出してもいい。後続をいかに抑えるかでしょう。大切なのは1本打たれた後。外野はフェンスの前ぐらいまで下がらせようかと思っている」
―試合への抱負を。
金沢監督 「神奈川の7試合は上を見ないで、1戦1戦やってきた。甲子園でもそうしたい。(試合の)9日までにやることをきっちりやりたい。うちは挑戦者ですから」
馬淵監督 「うちだって挑戦者。この1年、優勝旗を全員で返しに行こうでやってきた。九十九パーセント、目的は達成しました。あとは思いきりやるだけ。“浜っ子”の洗練された野球に対し、“山ザル”の泥臭い野球でぶつかる。高知県、須崎市、(県内で負けた)31校の代表として全力を出し切りたい」
◇
ともに社会人野球出身の監督。相手の分析も細かく進めている様子がうかがえた。その上で、腹の探り合い。昨夏の覇者を持ち上げる金沢監督と、挑戦者としての姿勢を堅持したい馬淵監督で、“ジャブ”の応酬が続く。
馬淵監督 「うち(の先発)がサイド(投手)やったら、左(打者)が増えるんですか」
金沢監督 「増えません。それよりも左打者の質が違う。明徳が“特上ちらし”ならうちは“並”です」
馬淵監督 「外野手がいいですよね」
金沢監督 「いや、たまたま守備位置がはまっただけ」
馬淵監督 「でも、あんだけ極端な(守備)シフトは、甲子園では怒られるんじゃないかな」
最後を締めたのは、優勝監督だからこそ言える一言。
馬淵監督 「勝ちたい勝ちたいと思うたら、勝てんのですわ」
【写真】健闘を誓い、握手する明徳義塾・馬淵(左)、横浜商大高・金沢両監督(甲子園球場)
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