神宮大会優勝を狙う―。「ことしのチームは強い」と評された明徳が掲げた昨秋の目標だ。しかし、四国大会準決勝敗退で影が薄くなった。ただ、ハードなひと冬を越えて「全国制覇を狙える戦力」の基本的評価は変わらない。
じっくり仕上げて甲子園をにらむこれまでの調整法ではなく、チームを早めにつくった。実戦形式の練習を中心で、1―3月の紅白戦7試合も例年より多め。徹底的に実戦勘を磨くことで、流れを止めきれなかった四国大会の負けに対応しようとしているようにも見えた。
大会前の練習試合は一昨年は関東、昨年は東海に遠征してこなしたが、これは疲れが残って逆効果だったという。ことしは13日の解禁日から学校のグラウンドで4試合、愛媛県で2試合をこなして、甲子園に乗り込む。
打線はここまで順調に上を向いている。昨秋より確実にレベルアップしてきた。水ものには違いないだろうが、3―5点は計算してもよいほど打ち込んだ。
“春は投手力”と、よくいわれる。上位進出を果たすための最重要ファクターであることは間違いない。経験豊富な鶴川はほぼ万全。松下建も1試合を投げ切るだけの力はついている。オーバー、サイドと違うタイプの両投手だけに目先を変える意味のリレーもあり得る。
1人に1試合任すか、2人で賄うのか、相手打線のレベル、適応力を見極めた上の判断になるのだろうが、全国レベルの投手を複数抱える意味は大きい。大会終盤の連戦を考えれば、有利に戦いを運べる。
馬淵監督の野球は、相手を徹底的に研究することから始まる。弱点を見逃さない分析力には定評があるところ。
あとはナイン、チームの精神面。1998年春のPL学園戦、同年夏の横浜戦に、昨夏の平安戦…。そして甲子園ではなかったが、昨秋の済美戦。目を疑うような負け方はもうしたくないはずだ。
現チームを見れば、その済美に味わわされた苦汁から、1月30日に甲子園出場が決まったときに流した涙まで、いろいろな「思い」「決意」が選手1人ひとりにある。「詰めは甘くないか」「一つ一つのプレーに集中しているか」―。勝てる試合は絶対に落とさないどん欲な気持ちを忘れず臨みたい。
今回も明徳が、優勝に十分手が届く位置にいることは間違いない。組み合わせにも比較的恵まれた。新チーム結成からここまでの山あり谷ありでタフさを身につけた。「結果的に四国大会でつまずいて良かった。つまずいたのが、四国大会で良かった」。そういう試合を甲子園でしてほしい。明徳球児の12回目の挑戦の幕は、いよいよ23日開く。
文・西村大典
写真・岡崎晴光
(おわり)