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99年8月17日(火)<朝刊>
▽2回戦 99年8月16日(月)
長崎日大 6−5 明徳義塾
| 明徳義塾 |
000 302 000 00 | 5 |
| 長崎日大 |
310 000 010 01X | 6 |
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【戦評】五回のスリーバントスクイズ失敗など中盤までの好機で裏目に出たベンチさい配、2失策の守りのミス、長崎日大リリーフ山中を攻めきれなかった打線、明徳義塾らしい試合運びができなかったゲーム。九、十回のピンチを踏ん張っても流れは戻らず、十一回一死三塁から捕逸によるサヨナラ負けという思いがけない結果になった。
明徳は初回一死満塁の先制機を強攻でつぶすと、その裏、先発に立てた左腕増田はカーブを狙い打たれ3失点。終盤になるとロングリリーフとなった明徳三木田に疲れが見えたのに対し、長崎日大山中は六回の代わりはなの2失点から完全に立ち直った。七回以降明徳打線は狙い球の読みが外れて打たされてしまい、5イニングをすべて三人で切って取られた。
明徳は4点を追う四回、平峯、倉繁の連続タイムリーで一気に追い上げ、六回には松元の左前適時打などで一時は5−4と逆転する底力を見せた。三木田も9イニング2失点は、よく踏ん張ったと言えよう。(森)
投手力不安 打線に焦り
「最後まで監督は強気でなければいけませんでした。ちぐはぐでした。気持ちの面でも逃げ切ろうと消極的になったのが敗因です」と振り返った明徳馬渕監督。初戦負けなしの甲子園13勝を挙げている監督でさえ、さい配に弱気と強気が交錯するものなのだろうか。

1点を追う五回一死二、三塁では清水にスリーバントスクイズを指示し失敗。初回一死満塁で強攻策が実らなかったこともあるが、「二年生に出すべきサインじゃない。監督の失敗」とうなだれた。さらに終盤は長崎日大二番手山中を攻略できない。代打を送ってゲームを動かそうと思案したが、「1点のリードで守りを固めたい意識があって」、消極的になったという。
馬渕監督を悩ませた根本にあったのは、やはり投手力の不安だったに違いない。前日のブルペンでは増田の50球の投げ込みで、半分以上は捕手の構えたミットには納まらなかった。しかし左打者が多く、足の速い選手が多い長崎日大を考えれば、投球動作の大きい三木田は足でかき回される恐れもある。増田は左腕だしけん制もうまい。何よりその勝負強さに最も信頼を置いているエースの先発起用は当然だった。
しかし、頼みの増田の早々の降板は大きな誤算。好投の三木田もいつかは捕まるとみなければいけない。不安のある投手陣を少しでも早く援護しようと打線に焦りが生まれたのは、初戦の栃木南と同じだ。「三木田が抑えてくれていたんで、点取らくなちゃと思って。気持ちだけが空回りした」と倉繁。球種の読みは外れ、狙い球を絞りきれなかった。「九回、十回のピンチをしのいだら十一回は流れを持ってこないと。それをしてやれなかった」(馬渕監督)。思いがけない形の結末にも、「選手は本当によくやってくれたんですが」とねぎらった。
【写真】応援団にあいさつし、泣きながら引き揚げる明徳ナイン(甲子園)
打で活躍も悔しさ 井上捕手
延長十一回裏一死三塁、明徳のピンチ。三木田のこん身のストレートが狙った外角低めとは逆の内角高めにすっぽ抜けた。捕手井上のミットをはじいてバックネットに転々。サヨナラ負けとなる三塁走者が走り抜けたホームベース付近で突っ伏した井上。痛恨のパスボールとなった。
![[長崎日大−明徳義塾]6回表明徳1死二、三塁、松元がリリーフ山中から同点にする左前タイムリーを放つ。捕手山内(甲子園)](parts/kosi9926.jpg)
この回、長崎日大先頭的野が中前打と盗塁、犠打で三進。三番山中を迎えて明徳義塾ベンチがタイムをとった直後の一球だった。「打者勝負か、敬遠で塁を詰めるか、みんなで決めろ」という伝令に対し、「逃げたくなかった。自分が勝負を決めた」と井上。「サイン違いじゃない。打者勝負は間違ってないと今でも思う。予想外の高めだったけど、それでも止められたと思う」
栃木南との1回戦と合わせ、打っては7安打と大活躍。この日は2安打でチャンスメークしたほか、逆転の5点目となる内野ゴロで打点も挙げている。しかし、昨年夏、サヨナラ負けの横浜との準決勝では最終回、野選でピンチを広げただけに、「また自分のせいで負けた。今は何も分からない。悔いが残る」と一人で責任をかぶる姿が痛々しかった。
【写真】[長崎日大−明徳義塾]6回表明徳1死二、三塁、松元がリリーフ山中から同点にする左前タイムリーを放つ。捕手山内(甲子園)
「いい試合ありがとう」 惜敗の選手に温かい拍手
またも悔しいサヨナラ負け――。十六日、甲子園球場で行われた第八十一回全国高校野球選手権大会第九日の2回戦で県代表の明徳義塾は、長崎日大と対戦。延長にもつれ込む熱戦の末、5−6で敗れた。序盤の劣勢を中盤に盛り返し、一度は逆転にスタンドが沸いたが、サヨナラの瞬間には観客もぼう然。しかし、すぐに「いい試合だった」「泣くなよう」と、精いっぱい戦った選手にねぎらいの声が飛んでいた。

立ち上がりの思わぬ劣勢に観客席も沈みがち。しかし四回に平峯康二、倉繁一成選手の連続タイムリー打が出ると、それまでの重苦しさを吹き飛ばすように喜びを爆発させた。
倉繁選手の母、秀子さん(41)=岡山市=は「1回戦の後で電話をくれた時は『試合で打てんかった』と、心なしか元気がなかったのでひと安心です。一試合でも多く勝って、甲子園に長くいてほしい」。後輩に当たる岡山市の少年野球チームの子供らも、メガホンを鳴らして声援を送った。
これで一気に押せ押せムード。六回には松元政樹選手が同点打。母の千代子さん(44)=東大阪市=も「最後の甲子園になるので、精いっぱい楽しんでやってほしい」と笑みがこぼれる。
さらに井上登志弘選手の内野ゴロで逆転。後輩の野球部員に交じって応援していた今年卒業のOB・関本大介さん=プロレスラー=も「このチームは強いっすよ。このまま行ける」と、太い腕でメガホンを振る。
一点リードの終盤。スタンドの熱風にも負けず「三木田、三木田」の声援がかすれ気味に一層高まる。同級生の女子バレー部新チーム主将、石谷可奈さんも部員十二人と一緒に「ふだん見るより素敵。とにかく頑張れ」と必死の応援。
しかし、八回に追いつかれ、延長十一回決勝点を奪われると、総立ちだった満員のスタンドから「あーっ」と落胆の声。空を仰ぎ、がっくりひざをつく姿も見られた。しかし、あいさつに来た選手には「いい試合をありがとう」「気を落とすなよ」と温かい拍手が送られた。
【写真】11回裏、2年連続のサヨナラ負けにがっくりうなだれる明徳義塾高応援席(甲子園)
明徳OBが深層水飲料販売
甲子園球場の外では大会期間中、室戸沖の海洋深層水を使った清涼飲料水やミネラルウオーターの売店が店開き。「甲子園に全国から人が集まるので、絶好のPRの機会」と室戸市の深層水利用企業が自社製品を中心に並べている。
売り場担当の住田亮太さん(26)は明徳義塾高野球部OB。外野手だった九年前の夏、県予選決勝で高知商に敗れ、甲子園への夢を断たれた。
「選手には深層水飲料を差し入れて『絶対勝て』と言いました」と店番ももどかしげにラジオで応援したが、思わぬサヨナラ負けに「勝てる相手と思ったのに。張りがなくなった」と寂しそう。「でも惜しい試合だった。よく頑張った」と後輩をねぎらっていた。
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