|
2004年4月3日(土)<朝刊>
明徳ナイン猛打覚醒 11点 山形振り切る
第11日は2日、甲子園球場で準々決勝残り2試合を行い、明徳義塾は東海大山形(山形)を2本塁打を含む15安打の打線の力で11―6。21年ぶり2度目の春ベスト4進出を果たした。3日の準決勝第2試合(午後1時半試合開始予定)で、劇的な逆転サヨナラ勝ちで東北(宮城)を下した済美(愛媛)と、初の決勝進出を懸けて戦う。県勢のセンバツ4強は1947年の城東中(現追手前)から数えて11回目で、85年伊野商以来。
明徳はエース鶴川が3試合連続の先発。四回まで無安打の立ち上がりは上々で、2回戦でもの足りなかった打線も早々加点した。東海大山形の先発左腕城間から初回に3点。三回にも梅田の左越え本塁打。四回には代わったエース佐藤淳を攻めて4点の計8点。申し分のない試合展開だったが、中盤東海大山形の反撃を受けて6失点。五回は鶴川が7―9番のヒット含む4連打で4失点。続く六回も下位打線に打たれた上に、内外野が相次ぎ2失策。2点差にされたところから、明徳は地力発揮。七―九回に田辺の6打点目になる犠牲フライや、野村の本塁打などで小刻みに3点を加え、逃げ切った。
春夏通じて初出場の済美は昨夏準優勝の東北と対戦。済美は九回、2点差に迫った二死一、二塁で3番高橋が大会史上3本目となる逆転サヨナラ本塁打を放ち、7―6で劇的なベスト4入り。春夏を通じて初めて3校が8強入りした東北勢は姿を消した。
3日は午前11時から愛工大名電(愛知)―社(兵庫)、済美―明徳の準決勝を行う。
【写真=中日新聞社提供】【明徳義塾―東海大山形】4回表明徳2死満塁、田辺が走者一掃の左中間二塁打を放ち、7―0とリードを広げる。捕手島貫(甲子園)
▽準々決勝(15時41分、2万4000)
| 明徳義塾 |
301 400 111 |
11 |
| 東海大山形 | 000 042 000 |
6 |
|---|
|
【評】明徳は、投手を含めた守りのミスを15安打11点の猛攻でカバーした。
公式戦初登板という東海大山形の先発城間の立ち上がりを攻めた。初回二死無走者からクリーンアップの3連打など4安打でまず3点。三回は梅田の左越え本塁打。四回には田辺の走者一掃二塁打。甘い球を見逃さない先制攻撃は見事だった。終盤は送りバントを絡めた追加点。攻めは最後まで正攻法だった。
エース鶴川は2試合連続無四球から、一転してコントロールが甘くなった。8点リードなのに要らない力みが見えて五、六回に計6失点。再び点差を広げた七回以降、何とか持ちこたえた。八回赤瀬の好守にも助けられた。
しかし守りの4失策はどうしたことか。風が強かったことは確かだが、踏ん張りどころで連鎖反応のようなミスで、リズムを崩したのは気に掛かる。
五、六回の東海大山形の猛攻は素晴らしかった。しかし、六回、6点目を挙げなお一死一、三塁の走塁ミスは痛い。再び明徳に流れを取り戻された。(西村)
「追いつかれまい」
明徳打線が覚醒(かくせい)した。6安打と湿った2回戦を忘れさせるように、2本塁打を含む15安打で11点。本来の出来ではなかったエース、4失策と乱れた守りを補う強打だった。
東海大山形先発は公式戦初登板という左腕城間。「まったくの予想外。しかし、ここまで来たら奇策は通用しないもの」と馬淵監督。その言葉通り、初回からいとも簡単に攻略した。
二死無走者から、いきなり幕が開いた。3番梅田が左前打で出塁すると、久保田は右翼線、田辺が左中間を破る連続タイムリー二塁打。鶴川四球に続き、7番野村も左前打。長短4安打のアッという間の3点だった。
相手エースがマウンドに上った後も、いったん火のついた打線は止まらない。四回の4点も二死走者なしから。松原ヒット、四死球の満塁で田辺が、再び左中間を割って走者を一掃。鶴川も続いた。甘い球を見逃さず、振り抜くバッティングの計8点だった。
しかし、攻めのタフさを見せつけたのは、この猛打ではなく終盤。2点差にされて漂う嫌な雰囲気を振り払う七、八回の1点ずつの得点ではなかったか。
七回は失策の走者をアウト1つと引き換えにバントで送った攻めが、押し出しに結びついた。八回は「4番目の打者」を自任する久保田が送りバント。田辺のこの試合6打点目になる犠牲フライを呼び込んだ。なりふりかまわず、加点する姿には、勝ち試合を落としてきた過去のひ弱さはない。主将田辺は「目の前で済美がすごい勝ち方をしたので、ぶざまな試合をするわけにはいかない。みんな気合が入ってました」。
優位予想でも何がおこるか分からないのが高校野球であり、甲子園。どうにか勝った印象を与える試合でも、ナインの「追いつかれまい」の強い意識を感じさせられた。
馬淵監督は「これで四国のチームが、最低でも準優勝旗を持って帰れる。もちろん済美にリベンジしたい。残る力を出し切ります」。引き揚げるナインも「あすは絶対に勝ちます」と口をそろえた。(西村)
【写真=中日新聞社提供】【明徳義塾―東海大山形】1回表明徳2死一、二塁、野村(中央)が左前タイムリー。1塁側ベンチも沸いた
神経使い疲れた
明徳義塾・馬淵史郎監督の話 非常に嫌な展開だった。東海大山形の打者は思った以上に、振りも打球も鋭く、下位も気が抜けなかった。神経を使いすぎて疲れました。(準決勝の)済美はお互いに手の内を知り尽くしている相手。力を出し切ります。
夏につながる
東海大山形・武田宅矢監督の話 (先発の)城間には、ひと回り、ふた回り抑えてほしいと思ったが、明徳は甘い球をしっかり待っていた。打線は中盤にようやくポイントをつかめた。甲子園球場で3試合戦えたことは、夏につながると思う。
明徳義塾・森岡左翼手(2安打)「まだまだ難しい球に手を出している。(準決勝の)済美には四国大会で負けているので、絶対に勝つ。そのためにやってきた」
明徳義塾・鶴川投手(9回6失点)「直球で押しすぎて打たれてしまった。力で抑えようと考えたのが悪かった」
守り乱れ「悪夢よぎる」
「一瞬、済美戦(昨秋の四国大会)と横浜戦(1998年夏の甲子園)が頭をよぎりました」。8―0から2イニングスで2点差に詰め寄られた馬淵監督が口を開いた。
エース鶴川の出来がいまひとつの上、堅いはずの守りが4失策。記録に残らないミスも出た。
鶴川は四回まで今甲子園3試合で一番の出来に見えた。球を低めに集め、無安打に抑えた。それが「初安打を許して、少し投げ急いだ」(鶴川)。コースをついた球がシュート回転して真ん中に入った。五回4失点、六回は2失点。東海大山形の強い打球が左に右に飛んだ。
試合途中、継投策も考えていたという馬淵監督は「8―6になったとき、松下建に代えようと思った」と明かす。松下建も2度ブルペンに行き、準備はできていた。しかし打線が七回に1点を加えると、馬淵監督は「(ここでエースが)簡単にマウンドを降りるのはどうか。また、降ろしたらいかん」。思い直して続投を決めたという。
「目の前の打者を打ち取る」。鶴川は豊富な経験を生かして崩壊のふちで、何とか持ちこたえた。田辺は「秋までならあそこで崩れている。冬場の鍛錬の成果ですかね。『落ち着いていけ』というと、球がまたコースに来だした。あとは絶対に抑えてくれると思ってました」。
松原が、赤瀬が、西山が、梅田が失策をおかした。八回の攻撃前には珍しくベンチ前で全員座って円陣を組んだ。「落ち着け! 何をバタバタしとるんや」。最近、試合ではおとなしい馬淵監督だが、げきを飛ばした。
この日のような訳の分からないミスが出るようでは、準決勝、決勝は苦しい戦いを強いられるだろう。しかし「完ぺきではなくてもいい。泥臭くても勝たんといかん」と馬淵監督。出るべきミスは全部吐き出したつもりで、ここから2試合、ぶつかるしかない。(西村)
|