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2002年8月20日(火)<朝刊>
明徳投打に会心の運び 中軸が5長打 田辺完投
明徳、会心の試合運びで大会大詰めへ――第12日は19日、甲子園球場で準々決勝を行い、快進撃で勝ち上がった郷土代表、明徳義塾は広陵(広島)に7―2で快勝。4年ぶり2度目の4強入りした。
明徳―広陵は第1試合。前日の第3試合が常総学院(茨城)との厳しい試合だった明徳は、打線が序盤沈黙。しかし、エース田辺が力投の一方、四回には3番森岡の左越え二塁打を足掛かりに田辺自身が中前に先制打。
目覚めた打線は六回、森岡、筧の連続長打と6番以下の梅田、山口も連打で計3点。八回表に広陵1番黒川に2点本塁打されるとすぐさま裏に、中軸が長短3連打、さらにスクイズも決めて3点追加。田辺も直球主体に広陵を2点だけに抑えた。
第12日の20日は午前11時から、智弁和歌山―帝京、明徳義塾―川之江の準決勝を行う。(この項一部共同)
【写真】【広陵―明徳義塾】6回裏明徳義塾無死一塁、森岡が中越え三塁打を放つ
【評】序盤の投手戦は、明徳田辺に軍配が挙がった。打線も広陵西村を2巡目からとらえ、六回までに4長打など8安打、4点。八回もリリーフ陣から3点を奪いダメ押し。田辺が好投し、中軸らがしっかり打って快勝した。
明徳は四回、森岡が高めの球をレフトオーバーの二塁打。田辺はカーブを投手の足元をゴロで抜く先制の中前打。投げる田辺はやや甘い球も見えたが、得点してからは厳しいコースを突いた。広陵打線が、早いカウントで打って出てきたのも連投だけに有利に働いた。
打順のいい六回は、沖田が死球出塁し、森岡、筧の連続フェンス直撃弾で2点。梅田は低め変化球にスクイズ空振りし走者を失うが、直後に失敗帳消しの三塁打。山口が中前打し、欲しかった4点目を奪った。
野手は森岡の遊ゴロ処理など、好フィールディングで無失策。八回、田辺は低め直球を2ランされたが、これは打者黒川がうまかった。
八回に2点を失い、明徳はすぐ反撃。2番手重森から筧、田辺の長打など3連打。8球で降板させた。スクイズによるダメ押し点も加えて3点。流れを保ち続けた。(土居)
目先で精いっぱい 明徳義塾・馬淵史郎監督の話
田辺は甲子園に来て、きょうが一番良かった。田辺が4試合目なので、内外野にしっかり守れと言ったが、野手もきちんと守れた。森岡、筧が打つ、いい形が見えだした。4強に残れただけで幸せで、目先で精いっぱいです。
先に点欲しかった 広陵・中井哲之監督の話
うちの西村が前半いい投球をしていたので、1点先に取りたかった。打てなかったことに尽きる。逆に明徳打線は真ん中に浮いた失投を見逃さず、思い切り振ってきた。守備も落ち着いていた。力負けです。
明徳義塾・梅田三塁手 (六回スクイズ失敗の打席で三塁打)「気落ちせずに思い切っていったのがよかった」
明徳義塾・山口一塁手 (六回に適時打)「六回に打てたのがうれしい。あれでチームが乗ったと思う」
広陵・西村投手 (先発で7回4失点)「最初抑えることができたので、いけるかなと思ったが…。甘く入ったところを打たれた」
広陵・重森投手 (2番手で3失点)「いい球を投げても打たれた。相手の打線はすごかった」
「いい形が見えだした」 優勝戦線へ大きな望み
「森岡、筧が打つ、いい形が見えだした」と馬淵監督。エース田辺も安定し、中軸が活発。これからの戦いに、最高の要素が並んだ。
序盤は投手戦だった。三回を終わり、相手の右腕西村はまだ30球しか投げていない。1球目や早いカウントでのヒッティングが多い。連戦の疲れもあるはず、もっと投げさせたい。馬淵監督は「1ストライク取られてからが打席のつもりで、余裕を持っていけ」とナインに指示した。
さすがに森岡、筧らは初球の甘い球を逃さず打ったが、四回からの打撃はほとんどが1ストライク後。球数を多くさせた持久戦は、四回の3安打、六回の4安打につながった。それにしても、期待の中軸が活発だった。森岡は三塁打、二塁打、シングル。筧は二塁打2本。田辺も二塁打にシングル。6番梅田も三塁打とシングル。優勝戦線に合わせるように、打線状態が上向いてきた。
安打ばかりでない。六回、八回は犠打で手堅く三塁に進めてスクイズ。六回は失敗したが、その後の連打で欲しかった4点目。八回は2点を奪われた直後だけに、相手にダメージを与えたかった。山口が1球目スクイズをファウルしたが、2球目のサインもスクイズ。これを成功させて、相手を打ちのめした。
1回戦では7犠打を成功させたが、ここ一番での堅実な戦法はこの試合でもそのまま。馬淵監督は7点目のスクイズを、「今大会は大逆転がよくあったから。絶対に取りに行くべきでしょう」と、試合のつぼを外さない。
田辺が本調子で、森岡、筧らが打てば、優勝に絡める力は十分ある。後はこの堅実な戦法や投打の調子を、残る2試合で保ち続けられるかだ。(土居)
田辺 今大会一番の内容
エース田辺は六回二死二、三塁のピンチ、今大会で初めて筧のリードに首を振った。カーブを断って、投げたのはアウトローの直球。三振。捕手筧は「ストレートに自信があったのでしょう」。この試合は特に外角直球が良く、各コースも突いて押していた。
その前の攻撃で、二塁走者を捕手けん制で刺殺された。守りの六回もピンチ。嫌な雰囲気に、三振の1人前の打者の時、野手がマウンドに集まったほど。馬淵監督は「流れが一番来ていた。三振取ったのが大きい」と、田辺の踏ん張りを見ていた。
七回まで散発3安打。1回戦に続く完封がちらついた八回、ちょうど100球目の球を1番黒川に左越え2ランされた。それでも筧は、「あそこの球を打たれたら仕方ない」。その後は、球を低く低く集め、追撃を許さなかった。
強豪相手に被安打6にとどめ、4奪三振、2四球。田辺は「甲子園に来て一番良い内容だったけど、ホームラン打たれたから」と悔しそう。
前日の3回戦で134球を投げた上の連投。これまでの3試合ともほぼ完投している。内外野の堅い守りを指示した馬淵監督だが、「連投の疲れが逆に、力が抜けたよう。きょうが一番良かった」と投球内容を褒めた。
田辺は試合が終わるごとに反省し、自分に課題を与えてきた。1回戦は立ち上がり。2回戦は追い込んでからの変化球。3回戦はセットポジションでの球威。準々決勝はそれらを頭に刻み投げ、ほぼ合格点。もう課題はないか聞けば、今度は「スライダーのコントロール」と即答する。
連戦に継投も当然あるだろうが、「考えていません」。「ぎりぎりまで」と、シュートを温存している。「1球が勝負を左右する」と集中しながら、最後まで投げ抜くエースの意地を見せた。(土居)
【写真】最後の打者を二塁ライナーに打ち取り、喜ぶ明徳義塾エース田辺
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