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2002年8月11日(日)<朝刊>
明徳8犠打飛で完勝 田辺が酒田南抑える
明徳完勝で2回戦へ――。第3日は10日、甲子園球場で1回戦4試合を行い、5年連続9度目出場の郷土代表、明徳義塾は酒田南(山形)を攻守に寄せ付けず5―0、エース田辺が完封して2回戦に進んだ。
明徳は三回、三振振り逃げの山田が一気に二塁に進み、バントと投ゴロで生還して先制。七回には山田の右犠飛で、八回はスクイズでしたたかに追加点。投げては田辺が散発5安打、酒田南に三塁を踏ませない好投。九回にも適時打と、一塁走者挟殺の間に三塁走者がかえるなどして2点を挙げた明徳が、最後まですきを見せず完勝した。
明徳は2回戦、この日勝った青森山田(青森)と、第8日第4試合で対戦する。
【写真】【明徳義塾―酒田南】8回表明徳義塾1死三塁、投前梅田のスクイズで筧(右端)が生還。投手小林(左端)、捕手塚部、次打者山口(甲子園)
【評】中盤まで走者を出しても簡単にかえさない投手戦は、試合巧者の明徳がじりじりと主導権を握った。結局、明徳が11安打を奪い、終盤に引き離した。エース田辺は5安打2四球を許したが、甲子園2度目の完封を果たした。
明徳は三回、振り逃げに始まり三塁に進んだ山田が、森岡の投ゴロの間に好走塁して無安打で先制。七回は先頭山口が右前打。犠打、今村の中前打で好機を広げ、山田が右犠飛を決めた。
3点目の欲しい八回は、一塁筧が犠打と暴投で三進し、梅田が2―2からスクイズ。フィルダースチョイスを誘い、ここも無安打で得点。犠打を随所で使った。九回は今村の三塁ベース直撃二塁打に、沖田の内野安打、森岡の右前打で4点目。一、二塁間で森岡が挟まれる間に、沖田が本塁生還し突き放した。
エース田辺は一回いきなり四球を許したが、捕手筧の二塁けん制刺殺などバックにもり立てられた。球威のある速球で押し、中盤からカーブも交ぜたコンビネーション。特に五回以降は三人で打ち取る好投で、つけ入るすきを与えなかった。(土居)
明徳が初戦突破 連続記録を更新
明徳義塾が1回戦で酒田南を5―0で下し、夏の甲子園で9大会連続の初戦勝ちで大会記録を更新した。
明徳は1984年に竹内茂夫監督が率い、夏の甲子園に初出場して初戦突破。馬淵史郎監督は90年に就任し、今夏で8度目の出場。そのすべてで1回戦を突破した。
馬淵監督は春も6回率い、初戦はすべて勝っている。「ノンプロ時代を含めて、初戦で負けたことがない」と馬淵監督。記録からも初戦に強い「馬淵野球」が浮かび上がってくる。昨夏までの8大会連続初戦勝ちは静岡商とタイ記録だったが、今回で単独1位となった。また、今回で県勢の夏の甲子園通算勝ち数は、71勝となった。
研究されていた
明徳義塾・馬淵史郎監督の話 随分、研究されていた。好投手に当たるとあんなゲームになり、バントしかない。田辺は県大会の時に疲労がたまっていたが、きょうはよく投げた。課題としては打線が研究されていても、もっと打たないといけないですね。
寂しい試合に
酒田南・西原忠善監督の話 バッテリーは明徳の上位に対しても、逃げずによく抑えたが、守備で支え切れなかった。打線は田辺君の直球狙いだったが、完ぺきな力負け。点を取れる雰囲気もつくれず、寂しい試合にしてしまった。
明徳義塾・森岡良介主将(バントを多用した勝利に)「こういう野球は得意です。うれしいけど、次の試合に向け、すぐ頭を切り替えたい」
明徳義塾・筧裕次郎捕手(好リード)「向こうが直球を狙いにくるのが分かったので、二回からカーブ主体に切り替えた。田辺はインコースのボールが良かった」
力の差を感じた
酒田南は三塁も踏めず完敗。西原監督は「ちょっと力の差を感じた。真っすぐ狙いでいかせたけど、力負けした」。
4年連続出場で、一昨年に1勝を挙げた。レベルアップのためには実力で上回るチームと対戦して、力をつけていくしかないと、指揮官は自らに言い聞かせているという。
山形勢初のベスト8入りを期待されたが「新チームをつくったときはひ弱でどうなるかと思った。存分に楽しませてもらった」とナインをねぎらった。
田辺立ち上がりに不満 打線ヒット出ずとも得点
馬淵監督は試合前、「田辺が三回まで無失点なら、完封の力もある。酒田南は3点ぐらい取るチームで5―3、6―3だろう」と予想した。
エース田辺の好投で、最良のスコアで初戦を勝ち抜けた。田辺は「変化球は当ててくる感じだった。カーブで追い込み、真っすぐで押そうと思った」と話す。馬淵監督は「田辺がよく投げてくれた」と評価し、ストレートが走り球威があった。
しかし、田辺の自己評価は80―90点。3度目の甲子園だったが序盤、「ホームを近く感じ、抑えが効かなかった」と言う。四球は一回の2個だけ。完封にも、マイナス原因として立ち上がりを挙げた。それでも万全の調整で臨んだ今大会。「今度は(全試合)最後まで1人で投げきる。竹内、鶴川の出番はありません」と汗びっしょりの顔でほほ笑んだ。
田辺を援護したい打線だったが、酒田南の先発小林からなかなか連打を奪えない。1番山田は「打てない時に、どれだけ点を取るかといつも言われている」。走塁で先制点を挙げた。また、犠打でチャンスをつくり、得点をじわり重ねた。2点ではまだ不安だった八回、室内練習場でもスクイズの練習をしていた梅田が、見事に決めた。チームワークと集中力で酒田南を突き放した。
一回の捕手筧と遊撃森岡での二塁走者のけん制刺殺、九回に森岡が二盗で挟まれてしまうと、粘る間に沖田が本塁を陥れた。これは練習で、あうんの呼吸として身に付けたもので、これまでの試合でも折々、見せた技。大舞台での落ち着いたプレーに、成長の跡が垣間見えた。
試合後の各社インタビューでは、優勝候補の声もちらほら出た。「優勝」まで断言する選手ばかりではないが、汗びっしょりのナインの目標は「今夏こそ」だろう。(土居)
【写真】散発5安打で完封した明徳義塾エース田辺
1番山田 "足技"で先制点奪取 骨折押しキーマンに
大会前、「打てなくてもチームに貢献して、得点できる1番になりたい」と話した明徳山田。三回、その山田の“足技”が光った。
「何とか出塁したい―」との思いが、打席から伝わった。4度のファウルで粘ったが、ついにバットが空を切った。しかし、三振振り逃げ。一塁ベースに近づくと、ランナーコーチは二塁を狙えと指示。ちらっと振り返るとボールはバックネットの方へ。50メートル6秒0の俊足で、迷うことなく二塁を奪った。
沖田のバントで三塁まで進むと、主砲森岡が2球目をピッチャーゴロ。しかし、投手が一塁に投げるのを見るや、本塁へ猛ダッシュ。一塁手が返球する間もなく、先制点を奪っていた。
七回は山口を右犠飛でかえして2点目。一回の先頭打者安打など2安打して、酒田南のエース小林を揺さぶった。
県大会ではいまひとつの山田だったが、この試合では言葉通りの大活躍。センバツに負け、夏に向けた40試合以上で負け知らずのチーム。馬淵監督はつきを大事にして、打順を変えなかったが、本舞台で勝ちを呼び込んだ。
実は山田は左手首を骨折しながら、テーピングして出場している。昨秋の四国大会で一塁にスライディングした。その時は痛かったが骨折とは思わず、冬に実家に帰って、医者に診てもらい分かった。「ショックでした。でも、同じけがでやってる選手もいると聞いて…」
完全に治すには手術しかないが、春、夏の甲子園を棒に振りたくはなかった。そして、明徳野球部には100人以上が後ろに控える。負けることはできない。「初めは痛かったけど慣れた。けがは皆ある、限界までやる」と挑戦してきた成果を、最後の夏に披露する。(土居)
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