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夏の高校野球 県大会ニュース


99年8月2日(月)<朝刊>

明徳、4季連続の甲子園

2年連続6度目の甲子園出場を決め、グラウンドで喜びをはじけさせる明徳ナイン(春野球場)

 明徳が四季連続で甲子園へ―。第八十一回全国高校野球選手権県大会最終日は一日、春野球場で決勝を行い、明徳義塾が8−5で高知を下し、二年連続六度目の県代表となった。明徳は春、夏で四季連続の甲子園出場となる。

 試合は、高知が初回、制球の定まらない明徳エース増田から四つの四球を選んで1点先制。しかし、明徳は三回、松元の右翼芝生席に入る本塁打で同点。さらに四回は、高知の先発森田投手から四本の二塁打を放ち3点を追加した。高知も七回、四番中平の2点適時打などで追撃したが、明徳は高知のリリーフ陣も攻めて三回以降毎回得点し、8−5で振り切った。

 七月十八日に開幕した大会は雨のため日程が五日間延長となり、甲子園出場全国四十九代表が決まる中、徳島県(代表校は徳島商)とともに最後になった。夏の甲子園大会は組み合わせ抽選が四日行われ、七日に開幕する。

 【写真】2年連続6度目の甲子園出場を決め、グラウンドで喜びをはじけさせる明徳ナイン(春野球場)


雨雲ついて声援 全国高校野球県大会決勝

 「よっしゃあ!」。甲子園への切符を懸け、二年連続で同じ顔合わせとなった一日の夏の全国高校野球県大会の決勝戦。追いすがる高知高校を振り切った明徳義塾高の応援席は、もみくちゃになって喜びがはじけた。声をからした控えのチームメートのメガホンが飛び交い、父母は肩をたたきあう。一方、二年連続してあと一歩で夢を逃した高知高応援席からは、「よくやった」と温かいねぎらいの拍手が選手を迎えた。

 「甲子園やあ!」 はじける明徳側

「やったー!!」。甲子園出場を決め歓喜する明徳義塾側スタンド(春野球場)  雨雲が垂れこめる中、明徳側スタンドには父母や野球部員らがぎっしり陣取った。押し出し四球で先制を許し、重苦しい滑り出しだったが、四回の連打で勝ち越すと、うねる歓声に火がついた。

 「ええぞー」。スタンドの最後列で重い校旗を支え持って叫んだのは野球部三年の寺島正清君=三重県員弁町。一時はレギュラー候補にこぎつけたが、二月に左足の靱帯(じんたい)を切ったという。「ブチブチーッって、ええ音しましたわ」

 しのぎを削ったライトの座は、ライバルの奥田選手に奪われた。その奥田選手が四回、勝ち越しの口火を切る会心の二塁打を放った。「よっしゃー庄三! 行けー! 走れー!」。寺島君は小躍り。夢中で拍手だ。

 「増田ー、お前にかかってるぞー」。最前列では増田投手の親友で野球部二年の内村英二郎君=神奈川県平塚市=が赤い鉢巻き姿で応援をリード。攻撃の時は一球一球、身をくねらせて叫ぶ。

 「うちはジンクスがありまして。ピンチの時は祈るのみ。チャンスの時は、みんなで大応援です」

 父母は終始ハラハラしながらの応援。四番の安並選手の母、静江さん(51)=高知市福井町=は「春は背番号10じゃったに。一回戦の応援に行ったらいきなり四番になっちょって」と祈るポーズ。五番の西岡選手の母、恵さん(41)=安芸郡田野町=も「心臓ドキドキ。ヒット一本でえいき」と傘の柄をぎゅっ。

 4点リードして迎えた九回。スタンドは「アイヤー、わっしょい!」の大合唱。寺島君が必死の形相で、校旗を風に向かって立てる。内村君は最前列で声をからす。ストレートがズドン。三振。「やったー、甲子園やぁー」。雨空を振り払う声が突き抜けた。

 【写真】「やったー!!」。甲子園出場を決め歓喜する明徳義塾側スタンド(春野球場)

 「よう頑張った」 ねぎらう高知側

「よう頑張った」と選手に拍手を送る高知高の応援団(春野球場)  「行っけー、行け行け、行け行け高知!」――祈るような声援が続いた三塁側の高知高応援席。スタンド中央に陣取った選手の母親たちは目を赤くはらし、声をそろえ、息子たちを励まし続けた。試合終了後、スタンド前に整列し、ぺこりと頭を下げた選手たち。母親たちは涙をぬぐい「お疲れさん」「頑張ったねえ」と拍手でねぎらった。

 高知の1点先行で始まった決勝戦。応援席は一回表から活気づいたが、中盤以降は明徳義塾を追う展開に。五回、七回、九回に得点を追加したものの、ついに及ばなかった。

 グラウンドには、がっくりひざをついたまま立ち上がれない選手の姿も。「悔しいでー、こんなに悔しいことないでねー」と四番・中平選手の母親の律子さん(48)=高知市一宮。涙で目を真っ赤にして繰り返した。

 中平選手の愛称は「ゴン君」。七回表に追撃の二点打を放ち、「やっぱりゴン君が打ってくれたー」とスタンドが沸き返る場面もあった。父親の省一さん(49)は試合後、「打ち負けたなー」とぽつりつぶやいた。

 幡多郡大月町から毎試合応援に駆け付けたのは、キャッチャー浅井選手の母親、寿美子さん(50)。目を潤ませて「よう、今まで、頑張ってくれました」。サード黒石選手の兄は同じえんじ色のユニホームで平成七年春の甲子園に出場。兄弟出場の夢はかなわなかったが、母親の文子さん(46)=高知市みづき二丁目=は「お疲れさんと一言、言ってあげたい」と目を細めた。

 【写真】「よう頑張った」と選手に拍手を送る高知高の応援団(春野球場)



99年7月30日(金)<朝刊>

高校野球県大会 ついに8月決勝

 二十九日に開かれる予定だった第八十一回全国高校野球選手権県大会第八日は雨のため四日続きで中止。三十日に順延された。同日準々決勝残り2試合を行い、三十一日に準決勝、八月一日に決勝の予定。これで、昭和五十三年に一県一代表制になってから初めて決勝が八月にずれ込む異例の事態となった。

 大会は昨年より一日早い十八日に開幕したが、初日から雨の影響で開会式が三時間遅れ、第一日の日程を二日に分けて実施。その後も雨に悩まされ続け、休養日も取りやめるなど、当初二十七日の予定だった決勝が計五日間延びたことになった。



99年7月29日(木)<夕刊>

高校野球県大会 4日続きで順延に

 二十九日、春野球場で行われる予定だった第八十一回全国高校野球選手権県大会第八日は雨のため四日続いて中止。三十日に延期となった。


99年7月29日(木)<朝刊>

雨で異例の3日連続中止 初めての8月決勝へ

28日の春野屋内運動場は大会再開を待つ各チームが次々と訪れ、戦力の維持に万全を期した

 準々決勝の残り2試合が三日続けて中止となる異例の事態となった第八十一回全国高校野球県大会。当初二十七日までの日程が四日間延びた上、準決勝前の休養日も取りやめられている。二十九日の天気もはっきりしないだけに、昭和五十三年に一県一代表制となって以来初めて決勝が八月にずれ込む可能性も出てきた。

 過去雨に泣かされた大会を振り返ると、一県一代表となってから決勝が三十一日まで延びたのが五十五年の第六十二回と五十九年の第六十六回大会。特に高知球場で行われた五十五年は、高知商−明徳義塾の決勝が二日続きで順延された。しかも四国四県で全国高校総体が開かれた年で、同球場は八月一日からの女子ソフトボール会場となっていただけに、球場の手配をどうするかなど運営役員を冷や冷やさせた。

 高知、徳島両県で代表を争った南四国大会の時代にさかのぼると、四十五年、高知球場での同大会が二日順延となり、八月三日に高知商−土佐の県勢同士による代表決定戦となった。甲子園開幕まであと五日しかなく、勝った高知商が泥だらけのユニホームのまま、その場で壮行会が行われたエピソードもある。また昭和二十五年には四日間雨で中止。参加校は十七校と現在の半数ほどだが、大会は開会から閉会まで十日間かかった。

 敵か味方か、目前のライバルとは別の見えない要素がこうした天候だ。二十九日の予報も雨模様だけに、連日空を見上げて思案に暮れる武市隆県高野連理事長は「ベストコンディションでプレーさせたいのはやまやまだが、二十九日はできることなら開始時間を遅らせてでも開催したい。だれかお天気にする方法を教えてほしい」とまさに天に祈る気持ちだ。

 四国の他三県は、徳島が三日間延びて休養日を取りやめるという。香川は延期が二日間、愛媛は一日間。いずれも高知県大会ほどの事態にはなっていない。

 【写真】28日の春野屋内運動場は大会再開を待つ各チームが次々と訪れ、戦力の維持に万全を期した



99年7月28日(水)<夕刊>

高校野球は順延 春野球場

 二十八日、春野球場で行われる予定だった第八十一回全国高校野球選手権県大会第八日は雨のため三日続きで中止。二十九日に順延された。



99年7月27日(火)<夕刊>

高校野球また順延 春野球場

 二十七日、春野球場で行われる予定だった第八十一回全国高校野球選手権県大会第八日は雨のため二日続きで中止。二十八日に順延された。二十八日に準々決勝の残り2試合を行い、二十九日に準決勝、三十日に決勝を行う。


99年7月27日(火)<朝刊>

伝統の一戦も水入り 高知打線VS高知商左腕に注目

26日朝、前夜来の雨で水びたしの春野球場。当初設定されていた準決勝前の休養日が取りやめられた

 二十六日行われる予定だった第八十一回全国高校野球選手権県大会第八日は雨で中止、順延された。不安定な天候でも第三日目以降は連戦だった熱戦も水入りとなった。

 準々決勝の残り2試合で注目のカード、高知−高知商の伝統の一戦の焦点は高知商投手陣対高知打線か。高知商は背番号10の左腕森山が2試合先発し計8回を1安打無四球無失点と好投。安芸工戦では10連続奪三振と大会記録を五十年ぶりに更新した。これまではもう一人の左腕長友、右腕の尾神の三人の継投できているが、高知打線をにらんだ起用は二人の左投手が主になろう。

 高知打線は主力四人が左打者。過去2試合で左の一番谷村と六番明神が各5安打するなど総じて打線は活発。今大会で左投手と対戦してはいないが、さほど苦にしていない。高知商が高知工戦で上位五番まで四人の左打者を並べ、高知の右下手投げエース森田を意識した打順を組んいるだけに、ある程度の失点は覚悟して打ち勝つ構えだ。

 当然、県大会の頂点に立ち甲子園出場を狙う両校だが、ともに3連戦は意識せず目前の勝負にまずは集中。「うちの野球をするだけ」(高知商正木監督)、「選手の気持ちの持続を注意したい」(高知中村監督)などと意欲を燃やしている。

 甲子園初出場を目指す岡豊、対する高知東を含め、休養日が設けられるようになった平成四年の第七十四回大会以来、初のケースとなる3連戦に挑むのは果たしてどのチームか――。

 【写真】26日朝、前夜来の雨で水びたしの春野球場。当初設定されていた準決勝前の休養日が取りやめられた



99年7月26日(月)<夕刊>

高校野球は順延 春野球場

 二十六日、春野球場で行われる予定だった第八十一回全国高校野球選手権県大会第八日はグラウンドコンディション不良のため中止、二十七日に順延された。同日の春野球場は未明から激しい雨が降り、試合実施か延期かを判断する午前七時すぎには球場は水浸し。大雨注意報も出ていたため、中止を決めた。その後も八時から九時半ごろにかけて雨が降った。また準決勝前日の二十七日に設けていた休養日は取りやめ、二十八日に準決勝、二十九日に決勝を行う。



99年7月24日(土)<朝刊>

高知商森山 50年ぶり県新記録「10連続K」

高知商・森山展行投手

 第81回全国高校野球選手権県大会第五日、春野球場での3回戦第3試合・高知商−安芸工戦で、高知商の森山展行投手が五十年ぶりの県新記録となる連続奪三振記録「10」を達成した。

 妙な緊張感はなかったが、記録の予感もなかった。五十年ぶりに連続奪三振記録を塗り替えた高知商の左腕、森山は淡々と少し首をかしげた。

 初回一死から始まった“三振ショー”。二番安岡の空振りから、四回に同じ安岡から再び三振を奪うまで球はインフィールドに飛ばなかった。

 「速球がしっかり指にかかっていました。体も軽かったし」と森山。10三振のうち9個が空振り。安芸工打線のバットが止めようとしても回ってしまった感じだ。170センチ、64キロ。フォームに威圧感はないが、「それだけ手元で伸びてきていたでしょう」と正木監督。走り込みで球威が増している。

 「一年生の時に見た大会パンフレットで知っていました」と森山。これまでの記録「9」をちゃんと頭に刻んでいた。が、四回を終えベンチに帰って、チームメートが「ナイスピッチング」と声をそろえてくれるまで意識の外に置いていた。六回降板も予定通りだ。

 「名前が残るのはうれしいですね」と森山。初めて笑みが漏れたあと、「でも90点。まだやることがありますから」。言わずもがな。もちろん、それは甲子園出場だ。

 ▽連続三振奪取 高知商・森山展行投手が23日、春野球場で行われた第81回全国高校野球選手権県大会3回戦の安芸工戦で「10」を達成。50年ぶりに県記録を更新した。これまでの記録は昭和24年同大会で安芸・富田幸四郎投手が1回戦・室戸戦でつくった「9」。

 【写真】高知商・森山投手



99年7月20日(日)<朝刊>

2日延びた「平成の好カード」明徳−土佐戦

プレーボールを前に小雨の中ともにグラウンド整備する明徳、土佐両校の選手たちだったが…。好カードは2日続けて流れた(春野球場)

 十九日、雨で順延となった第八十一回全国高校野球選手権県大会第二日。開幕日の好カードとなるはずだった明徳義塾−土佐戦はこれで二日延びた。特にこの日はオーダー票交換、試合前のノックも終え、プレーボールを待つばかりで雨脚が強まった。

 先発メンバーで目を引いたのは明徳投手が背番号12の三木田であった点。主力に左打者の多い土佐だけに左腕エース増田の先発が大方の予想だったが、馬渕監督は調子のいい二年生右腕を抜てきした。

 「一番腕が振れているし、本人も予想してたんじゃないか。三年になったら増田とエース争いするだろう」と馬渕監督。三木田は先ごろの練習試合で今大会第4シードの中村を1死球だけの無安打無得点に抑えている。また、増田は五月に故障(左胸骨疲労骨折)したのが尾を引いて、万全の状態ではない様子。投手陣の最近の調子を最重視しての監督決断で、「ここにきて奇策はないが、結果的に土佐の予想を裏切ったかもしれない。きょうやりたかったが、気持ちを切り替える」と少し残念さをのぞかせた。

 一方、土佐の三木監督は「増田君でくるかと思って打撃マシンは左のカーブだけを設定して打ち込んだ。でも打撃投手はオーバースロー、横手投げも打ってきた」と右投手となってもさほど気にしていない。「開会式前日まで選手は硬くなっていたけど、二日続きの雨で肩の力が抜けた。(エースの)上治にとっても良かった」と前向きにとらえた。

 きょう二十日、再度オーダー票を交換するが、注目は明徳先発。「本人(三木田)に聞けば行きますと言うだろうが、こちらで判断してあげないと」(馬渕監督)。平成元年以降、甲子園のかかった大会で、両校の対戦は大会の行方を占う重要なゲームとなっている。夏五度、秋一度の対戦のうち平成九年、明徳がコールド勝ちした以外はすべて延長戦。もつれにもつれる「平成の好カード」だ。対戦成績は明徳の4勝2敗。好勝負を期待したい。

 【写真】プレーボールを前に小雨の中ともにグラウンド整備する明徳、土佐両校の選手たちだったが…。好カードは2日続けて流れた(春野球場)



99年7月19日(月)<夕刊>

高校野球雨で順延

 十九日に春野、高知両球場で行われる予定だった第八十一回全国高校野球選手権県大会第二日は雨のため中止。二十日に順延された。


99年7月19日(月)<朝刊>

夏の高校野球県大会が開幕 甲子園へ全力プレー誓う

史上最多の33校が出場した第81回全国高校野球選手権県大会の開会式(春野球場)

 第八十一回全国高校野球選手権県大会は十八日、春野、高知両球場で開幕。甲子園を目指し、曇り空を振り払う熱い戦いが始まった。

 前日からの雨で、春野球場での開会式は三時間遅れの正午から。日程も一日延長して始まった。高知西高ブラスバンド部の演奏に乗り、史上最多の三十三校選手が元気いっぱいの入場。半世紀ぶりに部が復活した高知農選手も、真新しいユニホームで堂々の行進だった。

 式では野町幸一県高野連会長が「甲子園に続く空の下、土と汗にまみれながら培ってきた練習の成果をいかんなく発揮し、さわやかな感動を与えてください」と激励。さらに吉良正人県教育長らの祝辞にこたえ、中芸の松崎正成主将が「この雄大な高知を舞台に、悔いのないよう全力でプレーすることを誓います」と力強く選手宣誓した。

 会期は雨の影響で一日延長され、二十八日まで。開幕戦は今大会唯一の一回戦となる高知東−大方商戦で、高知南の野島由貴マネジャーが始球式を行い、熱戦がスタートした。

 【写真】史上最多の33校が出場した第81回全国高校野球選手権県大会の開会式(春野球場)

 33校 熱戦に火ぶた

 第八十一回全国高校野球選手権県大会は十八日、春野球場での開会式に続いて高知球場との二会場で開幕。前日からの雨の影響で日程を一部変更、1回戦1試合と2回戦1試合を行った。

 第二日は十九日、3試合を行う。また当初第二日以降のカードは第三日以降に順延となり、二十八日が決勝、準決勝前日の二十六日が休養日となる。


チームの精神的支え 大方商・福島二塁手

「楽に、楽に」。初回のマウンドに上がるエース津野(左)に声をかける大会一小柄な選手福島

 昨年夏、大方商の新チームに残ったのは七人だけだった。つらく長い冬を覚悟していたチームの精神的な支柱になったのが、大会一小柄ながら、ひたむきな努力家、背番号4の福島の存在だ。

 身長134センチ。中学時代はずっと補欠でヒットを打った記憶がない。送球も塁間がやっと届くぐらい。入部してきたとき、中山監督は「いずれはレギュラーで使う。福島のせいで負けるチームにはしない」と決意した。

 その後の成長ぶりは、ナインにやる気を起こさせただけでなく、監督にも「アイツに負けたくない」と“ライバル心”を燃やさせた。チームは一カ月で練習試合を25試合もこなした。夜遅くなり、監督は部長と手分けして車で選手を送って帰ることも多かった。

 迎えたこの日のゲーム。エース津野が持ち味を十分に出した粘りの投球だったが、ミス絡みで四回まで4失点。2点差を追う苦しい展開だ。五回、快音を発した先頭福島の打球が左翼へ。「やった」と思ったのもつかの間、左翼手のグラブに収まった。七回裏の守りから二年水野と交代。三塁コーチャーズボックスでゲームセットを迎えた福島は、「これで終わったのか…」。重い足取りになるのをこらえ、元気を出してホーム前に整列した。

 大会が始まる前、見知らぬ中学球児の母親から学校へ電話があった。新聞で福島の身長を見たらしく、「うちの子は背が伸びなくて野球をやめたがっている。あの身長でレギュラーなんですか」といった内容だった。応対した学校職員は「もちろん、本当です。本当に頑張ってますから、ぜひ練習を見に来てください」と答えた。

 この日の福島のしっかりしたプレーを見れば、その中学球児の悩みは氷解したかもしれない。「野球をやめようとは思わなかった。努力することだけはだれにも負けない」。そう言えるだけの自信が福島にはある。小さな選手の存在が、限りなく大きく見えてくる。

 【写真】「楽に、楽に」。初回のマウンドに上がるエース津野(左)に声をかける大会一小柄な選手福島



99年7月18日(日)<朝刊>

最多33チーム熱戦へ 県大会きょう開幕

開幕を待つ春野球場。各チームが割り当て練習で最後の調整に励んでいた  第八十一回全国高校野球選手権県大会は十八日、春野、高知両球場で史上最多の三十三チームが参加して開幕する。4季連続甲子園出場を狙う優勝候補の筆頭明徳義塾に、岡豊、高知、中村のシード校をはじめとする二番手集団がいかに戦うか。またこれに伝統校の高知商、好投手を擁する宿毛、春季4強の追手前などノーシード校も序盤から絡むだけに、白熱したゲームが期待される。

 大会前日の十七日まで高知、春野両球場で割り当て練習が行われ、各チームとも最終調整。十七日は室戸、清水など遠隔地のチームも顔を出し、会場の感触をつかもうとクッションボールの処理や連係プレーにたっぷりと汗を流していた。

 十八日は午前九時から春野球場で開会式を行った後、同球場で大方商−高知東など3試合、高知球場では正午から2試合が行われる。

 【写真】開幕を待つ春野球場。各チームが割り当て練習で最後の調整に励んでいた



99年7月17日(土)<朝刊>

全国高校野球県大会 あす開幕 最多33チーム参加

 第八十一回全国高校野球選手権県大会は十八日、大会最多の三十三チームが参加して春野、高知両球場で開幕する。4季連続の甲子園を狙う第1シード明徳義塾を優勝候補筆頭に、岡豊、高知、中村のシード校、さらに高知商など巻き返しを期す伝統校も上り調子。これら二番手集団を加えてレベルの高い優勝争いが期待される。組み合わせ、日程は別表の通り。

 明徳はエース増田の復調で投手陣が締まったのが心強い。PL学園との招待試合で制球が定まらなかった増田だが、以後の練習試合では一日2試合を含めて5試合に先発、瀬戸内戦で完封するなど調子を上げている。三木田、浅川との継投でも、失点は2、3点までと計算が立つ。昭和三十三、三十四年の春夏出場の高知商に並ぶ「4季連続甲子園」へ手ごたえは十分だ。

 明徳に初戦で挑む県体優勝校の土佐は、昨年秋季大会の準々決勝で延長にもつれる接戦を演じた。栗田、谷井、松本と上位に左打者が多い土佐打線が明徳増田をいかに攻略するか、土佐エース上治の投球術にも期待がかかる。

 第2シードの岡豊は2戦目の窪川−宿毛の勝者との対戦が大きなヤマ場となる。窪川、宿毛とも秋季大会8強だが、特に宿毛投手陣は注目。エース中川のほか、大会屈指の速球派右腕東がおり上位を狙う戦力が整った。チーム打率2割8分と最近の練習試合でやや下げている岡豊だが、勝負強さは健在。岡豊打線−宿毛投手陣の攻防は見ごたえあるゲームになりそうだ。

 第3シード高知も戦力充実。最近の練習試合では昨秋の四国大会準決勝で敗れた鳴門工に4−3、4−1で連勝。エース森田はミス絡みで3点失ったが、ピンチで踏ん張る自信を得たのが何よりの収穫だ。打線は左打者を主軸とするだけに、準々決勝での対戦が予想される高知商戦が面白い。高知商は森山、長友の両左腕、右の尾神の三投手をいかに起用するか。例年より負け試合が込んでいたがここにきて土佐に7−2、伊野商に12−0で勝つなど戦力を上げてきた。

 第4シード中村は、練習試合で明徳三木田投手に1死球だけの無安打無得点試合を達成させてしまっただけに、県体8強の高知高専戦を乗り切って勢いをつけたいところ。これまでの森に代わって、調子を上げている坂本がエース番号をつける。練習試合の安芸工戦では坂本が完投し12−1で快勝した。中村のブロックで巻き返しに燃えるのが春季4強で昨年秋季大会のシード校、追手前。中村とは昨秋初戦で対戦、9−11で敗れているだけに準々決勝での再戦を期す。

 ほかに昨秋大会から8強以上の実績のあるチームを挙げると、春季と県体8強が伊野商、秋季8強が高知西、春季8強が高知東、須崎、中央。

 開会式は午前九時から春野球場で行い、選手宣誓は中芸の松崎正成主将が行う。



99年7月4日(日)<朝刊>

県大会組み合わせ決まる 初戦で明徳−土佐

 十八日に春野、高知両球場で開幕する第八十一回全国高校野球選手権県大会の組み合わせ抽選会が三日、岡豊高で開かれ、対戦相手が決まった。シード校は1位から順に明徳義塾、岡豊、高知、中村。大会最多の33校となった関係で、1回戦が大方商−高知東の1試合だけ。ほとんどが2回戦が初戦となる。第1シードの明徳義塾と県体(2校優勝)を制した土佐の初戦が最大の注目だ。

史上最多の33チームが参加して対戦相手を決めた第81回全国高校野球選手権県大会の組み合わせ抽選会(岡豊高)  昨年センバツから四季連続の甲子園出場を目指す明徳義塾と土佐は、昨年秋季大会の準々決勝で対戦。この時は5点差を終盤に追い付いた明徳が延長十二回でサヨナラ勝ちしている。今回も明徳左腕増田と土佐エース上治が持ち味を出した好ゲームが期待できる。明徳ゾーンではやはり初戦で対戦する伊野商、清水がともに県体八強の実績がある。

 第4シード中村のゾーンは、県体八強の高知高専、春季四強の追手前などが中村としのぎを削る。

 下ゾーンでは四十九年ぶり復活出場の高知農が第2シード岡豊と初戦で当たった。初戦で対戦する宿毛、窪川はどちらも秋季大会八強でまとまりのある好チーム。ほかに春季八強の須崎、高知東もいる。

 第3シード高知のゾーンはノーシードの高知商の両校が抜け出ており、ともに勝ち上がれば準々決勝でライバル対決だ。

 大会は二十七日まで九日間で、準決勝前の二十五日は休養日。選手宣誓は中芸の松崎正成主将に決まった。

 因縁の巡り合わせ

 ともに「当たる予感がした」と明徳馬渕、土佐三木両監督。初戦でぶつかる両校の最近の組み合わせは因縁めいている。

 決勝で対決し、延長の末明徳が甲子園行きを決めた平成八年。翌九年にはいきなり開幕戦でまみえ、明徳がコールド勝ち。そして昨年秋の準々決勝、延長の大接戦は、またも明徳が制した。

 「『甲子園を狙うなら、いつかは対戦する相手』と言いたいところだが、正直、当たりたくない相手。去年の秋に苦しんだからと言うより、やはり『夏』で怖いのが土佐のような伝統校なんです」と馬渕監督は渋い表情。一方の三木監督は、「去年の秋のこともあるし、選手は悔しい思いをしている。どうせ当たるなら、体力的にも初戦がよかった」。実績では明徳が大きく上回るが、気分的には挑みかかる土佐が上位に位置しているようにも見え、対照的だった。

 屈辱をばねに誓う

 伝統校の高知商が、夏の大会では平成五年にシード制が復活して以来、初めてのシード漏れとなった。昨秋、今春といずれも2回戦でそれぞれ明徳、高知に敗退。ポイントを伸ばせなかったのが響いた。

 高知商は夏の甲子園に過去二十一度出場。二年前に藤川球児投手(現阪神)らを擁して夏の代表となってからは、春夏とも甲子園から遠ざかっている。

 “屈辱”のノーシードだが、組み合わせが決まった後は「一戦一戦力を付けて頑張りたい」と正木監督もそれほど気にしていない様子。乾主将も「“受けて立つ”という気持ちがなくなる分、こっち(ノーシード)の方がよかった」と、“屈辱”をばねに頂点を目指す。

 【写真】史上最多の33チームが参加して対戦相手を決めた第81回全国高校野球選手権県大会の組み合わせ抽選会(岡豊高)


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