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2002年7月29日(月)<朝刊>
夏の甲子園へ明徳 5年連続9度目 高知に7−4
甲子園行きを懸けた決戦は、明徳義塾が高知の追い上げ振り切る――。第84回全国高校野球選手権県大会最終日は28日、春野球場で決勝を行い、明徳が高知を7―4で下して、5年連続9度目の夏の甲子園出場を決めた。
真夏の日差しが照りつける午後1時3分、高知市の少年野球チーム「長浜ヤンキース」の浜村弘之投手、矢野向陽捕手による始球式に続いて、明徳先攻でプレーボール。
明徳は3回、高知先発の福本から4死球と暴投、犠飛の無安打で1点を先制すると、この回、筧、田辺の連続2塁打も出て計4点をリード。5回表に明徳が2点を追加すると、それまで明徳エース田辺に抑えられていた高知もその裏、明神の中前2点打で反撃開始。
高知は7回に熊巳の1塁横を破る2塁打を足掛かりに1点、さらに、3―7で迎えた9回も1点を返したが、最後は内野ゴロ併殺に終わり、ゲームセット。2年連続の両校決勝対決は2時間40分の熱戦を明徳がまたしても制した。
明徳は参加31校の県代表として、8月8日に甲子園球場で開幕する全国大会に出場する。
【写真】最後の打者を内野ゴロ併殺に打ち取り、喜びいっぱいでマウンドに駆け寄る明徳義塾ナイン(春野球場)
次は甲子園で旋風 控え選手も喜び爆発 県大会決勝
しゃく熱の太陽にかげろうの揺らぐグラウンド。28日、春野球場で行われた全国高校野球県大会決勝戦は、夏の甲子園を争うにふさわしい絶好の野球日和となった。5年連続出場に先手、先手でリードを保つ明徳義塾高に、21年ぶり出場の執念あらわに高知高が追いすがる。
最終回、絵に描いたような併殺で甲子園出場を決めた明徳。「よし、次は甲子園」「あしたの一面記事じゃー」。応援席は総立ちで、互いに抱き合う人も。一方、高知側は「明徳の壁は厚い…」と天を仰いだ。「次は甲子園で旋風を」「この悔しさ、後輩に」。勝者、敗者それぞれに熱いエールが送られた。
明徳義塾高の応援スタンドでは約100人の控え選手や選手の父母らが黄色いメガホンを打ち鳴らしながら声援を送った。
3回表。鮮やかな先制攻撃は、無死一、三塁から不調だった山田裕貴中堅手が犠牲フライを放って勢いづいた。
「おーい、山田さーん、きのうの集会が効いたわね」。山田選手の母、扇子さん(42)=大阪市港区=を囲み、保護者の懇親会を段取った鶴川裕昭さん(45)=奈良県下市町=らが大喜び。
山田選手は2試合連続無安打で、「親子ともども落ち込んでいたけど、これでもう大丈夫」と鶴川さん。扇子さんは「やっとチームに貢献できた。監督さんが本当によく辛抱して使ってくれました」。応援ムードが一気に盛り上がった。
先発メンバー唯一の1年生、梅田大喜三塁手の父、敏夫さん(53)=名古屋市瑞穂区=は、ニューヨーク在住の長女、英実さん(27)に携帯電話で実況中継。「インターネットでスコアだけは分かるみたいで、すぐに電話がかかってくるんですわ。(大喜選手は)10年前、愛知高で甲子園に出た兄に続くつもりで頑張ってます
最終回、併殺で甲子園出場を決め、沸き立つスタンド。控え選手の輪の中で、ベンチ入りを逃した福岡力哉君(18)も興奮で顔は真っ赤。
春季四国大会には出場し、優勝メンバーに名を連ねた。満を持して目指した最後の夏。練習のグループ分けでも、ベンチ入りの感触はあった。実際、当初のメンバー登録には入っていた。が、直前の登録変更で下級生に背番号を譲った。
「悔しいけど、実力の世界ですから。このチームがこの夏の最強のメンバー。ベンチに入れなかったからには、チームが勝つよう、精いっぱい応援しました」と福岡君。
閉会式に臨むチームメートにスタンドのさく越しに握手を求め、喜びを分かち合っていた。
【写真】「よっしゃー」。3回の先制攻撃に沸く明徳義塾高側スタンド(春野球場)
「この悔しさ、後輩に」 来年に夢託す高知
「チャンスつくれ!」「これからやぞー」――。21年ぶりの夏の甲子園出場に向け、高知ナインは最後まで健闘した。敗れはしたものの、2年生トリオが決勝の舞台を経験。来年に夢を託す形になった
南部幸男一塁手、三石智也捕手、溝渕大志遊撃手の2年生トリオは旭東小学校時代からのチームメート。溝渕選手の母、道子さん(41)は「サインを決めず、目を合わすだけでけん制ができます」とコンビネーションの良さを話す。
三石選手の母、紀美子さん(44)は「私自身が高校野球ファンで、昔から記事のスクラップなどをしていました。今は息子の記事がスクラップできて幸せです。2年生なので来年もありますが、今年決めてほしい」。
応援席は横綱・明徳相手に気後れなし。「打撃戦になるだろうが、打撃なら高知が上」「センバツは逃したけんど、夏は高知じゃ」とあちこちで力強い声が飛ぶ。
しかし、福本直投手の立ち上がりを父、健夫さん(53)は「ちょっと力んでいる。いつもの緩急が使えていない」と心配そう。悪い予感は的中し、3回表に一挙四失点を許した。追加点を取られながらも懸命に反撃。4点差で迎えた9回裏。
熊巳拓二塁手が粘って1点を返す。「よっしゃー粘り勝ちや」「行ける、行ける。これからやー」――。しかし反撃もここまで。無念のゲームセットとなった。
最後に一矢報いた熊巳選手の父、泰昌さん(37)は「毎年ちょっとずつ明徳に追いついている。来年もいいチームになる。次こそ甲子園に行ってほしい」と無念そうに話していた。
【写真】無念の敗北に悔しがる高知高の応援席
【総評】光る明徳の充実ぶり 有力県立校も戦力アップ
明徳はセンバツから帰り、公式戦、練習試合とも負け知らずで大会に臨んだ。その前評判通りの強さを見せたが、準々決勝の岡豊はあと一本で黒星を付けるがけっぷちまで攻めた。技術だけでなく、球児のひたむきさが生む、高校野球の面白さを感じさせてもらった。苦しんで4強に進出した明徳は、精神的な強さをさらに加え、準決勝は室戸のエース細松を攻略して9―0、決勝は第2シード高知を7―4と下し県代表の座についた。
新戦力も加え、明徳の充実ぶりが抜きんでる。しかし、岡豊のあと一歩の活躍は、一昨年の秋季県予選で高知東が明徳を破った戦いをほうふつさせた。室戸は1回戦、エース細松が大月打線を無安打無得点とすると、2回戦、準々決勝と快勝し、昨年と同じ4強。岡豊などとともに、近年続く有力県立校の戦力の高まりを示した。
高知は福本、森田の左右両投手が投げ、打線も活発で準々決勝までコールド勝ち。決勝も安打数は高知9、明徳8と勝ったが、守備のミスや明徳田辺を要所で打ち崩せず涙をのんだ。2年連続ノーシードの高知商は、1回戦でシード校高知東を破ると、準決勝まで進出。しかし、ミスから崩れ高知に完封負け。2年エースも残り、来季の奮起を期待する。
高岡は慢性的な部員不足に悩みながらも、夏初勝利を飾った。大方商のように序盤の大差にもあきらめず、コールドをしのぎ九回まで粘るチームもあった。
「旧3強」が競り合ったころ。甲子園1回戦で敗れると、華々しく帰高できなかった。明徳の県代表は5年連続。他校の壁として、立ちはだかるが、これを乗り越える力がないと、甲子園はなかなか勝ち抜けない。他校は身近にいる“全国レベル”を研究し、挑戦する力を蓄えてほしい。
また、今回の主会場、春野球場は両翼100メートルまで広がった。1回戦でランニングホーマー、準々決勝の高知商―小津戦では9本の三塁打が出た。外野手を抜ければ三塁打の可能性が広がる。外野の守備位置や連係プレーなど、来季に向けての課題の一つだ。(土居)
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