【評】高知は初回にいきなりの5得点。岡豊のちょっとしたほころびを逃さない打者一巡の攻めで主導権を握り、コールド勝ちに結びつけた。
この回、失策出塁の1番中谷を国沢が送った後、山本幸ヒット、勝賀瀬死球の一死満塁から5番中川の左前打でまず1点。富永が押し出し四球を選んだ後に下司がタイムリーを放ったが、これはズバリ右狙い。高知は長短13安打で9点を重ねるのだが、外角球を逆方向におっつけるバッティングが9安打を数えた。
岡豊は六回、チーム初安打になる足達の左前打を足場に、横山の内野安打、岡林利の押し出しを含む2四球で、高知に今大会初失点を記録させたが、反撃はそこまで。立ち上がりの大量失点で崩れた態勢を立て直せず終わった。(土橋)
【写真説明】【高知―岡豊】3回表高知2死一、三塁、山本幸が左前適時打を放ち7―0とリードを広げる。背中は三塁走者中谷(春野球場)
初回20分の守勢
「もっと振り回してくれると思ったが、ああいうバッティングをされると苦しい」。コールド負けを喫した岡豊の山中監督はため息。準々決勝で高知商に快勝して挑んだ第2シード高知の壁は厚かった。
初回いきなりの5失点が痛かった。ピッチャー優位のカウントにしても、しっかりたたかれた4安打に四死球、失策が絡んだ打者一巡の20分間だったが、守備側タイムのタイミングはどうだったか。
押し出し四球で2点目を許してなお一死満塁、7番打者ワンボールで伝令を出した。既に流れは高知に傾いており、この後タイムリー2本で3点を追加された。足達捕手は「もっと間を取って落ち着かせてあげたかった」。思い通りの投球ができず二回途中降板となった先発岡林勝をかばった。
高知 マイペース崩さず圧倒
プレーボールの数分前、岡豊の選手全員がダッグアウト前に出て、大声でイチ、ニイ、サン…と10回ジャンプ。その間高知はというと、ベンチに座ってゆったりと岡豊ナインの動きを眺めていた。岡豊が“儀式”を終えてベンチ前に一列に並び、今にも飛び出さんとダッシュの構えをとったころ、高知ナインが一人ずつゆっくりとベンチ前に現れた。
「相手に合わせる必要はないんです。無理して早く出て行くことはないし、こっちのペースでやるんです」と主将中谷。この日の試合運びはまさにその言葉通りだった。
初めから相手をのんでかかっていた。初回、いきなり打者一巡の5点だが、各打者とも気持ち良くバットを振り抜いた。難しい球に体勢を崩されながらもスイング軌道はぶれない。チャンスにも気負った様子はまったくない。
エース二神は六回まで2安打1失点。五回までノーヒットの完ぺきな内容だったが、捕手とサインを交換しているのかと疑問に思えるほどのハイテンポ投球。初回の援護もあったが、打者に考える余裕も与えない間合いで球を投げ込んだ。
そして、投手が1球投げるたび、打者がバットを振るたびに大きな声がダッグアウトから聞こえた。島田監督の甲高い声が一番大きい気もしたが、ベンチの選手もそれぞれがグラウンドの選手を盛り上げた。五回、一死から初走者をエラーで許したが、雰囲気は悪くならないどころか、むしろ逆に引き締まった。島田監督も「とにかく伸び伸びやっているし、ちょっとミスが出ても連鎖反応がない。自分たちでゲームができるようになっている」。
これで4試合連続コールド勝ちの決勝進出。得点35の失点1は、ちょっとうまくいき過ぎの感もあるが、チームが乗りに乗っていることは間違いない。24年ぶり夏の甲子園の懸かる明徳との決戦も自分たちのペースで臨む。(井上) |