2004年8月16日(月)<朝刊>
明徳 打倒横浜へ
甲子園の明徳義塾ナインは15日、西宮市の大阪ガスグラウンドで約2時間の練習を行った。激戦の翌日にもかかわらず内容はハード。サヨナラ勝ちの余韻(よいん)を楽しむ暇もなく、打倒横浜へ始動した。
打撃練習では早速、今大会屈指の本格派右腕涌井を想定。フリー打撃は、中央に150キロにセットしたマシン、その両脇に右上手の打撃投手を配置した。マシンも投手もマウンドの約1メートル手前。もちろん最速147キロの涌井を念頭に置いたもので、速いストレートに目を慣らした。
シート打撃も150キロマシン。これまでは走者を置き行ってきたが、この日はランナーなし。「数をこなす」(馬淵監督)ためで、レギュラー陣が8打席。少しでも速球に慣れさせる狙いだ。
さすがに最初は詰まり気味の打球が多かったが、徐々に鋭い当たりが飛ぶようになり、馬淵監督は「思ったより打てた」と明るい表情。久保田は「マシン相手だから分からないけれど、速さはそれほどでもなかった」と頼もしい言葉。
守備練習のノックは短めに約15分。しかし、捕手を含めた内野手全員がセカンド、ショート、サードに分かれて入ると、馬淵監督と重兼コーチが息つく暇を与えない。右へ左へノックの嵐で、「しっかり取らんかー!」と厳しい声も飛んだ。
最後はベースランニングで締め。全力疾走で5周を走り終えると、全員が「ゼーゼー、ハーハー」。17日の横浜戦に向けて気合を入れ直した。
【写真説明】全力疾走、5周のベースランニングで練習を締めた明徳ナイン。気合を入れながら走るのは久保田(西宮市の大阪ガスグラウンド)
すき見逃すな 横浜の2回戦、ビデオチェック
明徳義塾ナインの頭の中は練習以外でも、「横浜」でいっぱい。15日、夕食後の全体ミーティングは終わったが、ベンチ入りメンバー全員、テレビの前。横浜が延長サヨナラ勝ちした2回戦のビデオに食い入った。
先輩たちが連敗している因縁の相手とあって、画面に注がれる視線は熱い。もちろん繰り返し見たビデオだが、見るたびに新しい発見があるようで、「涌井は打てないピッチャーじゃない」「この球は狙える」「1番の佐藤が怖そう」。1人1人が意見を出し合いながら、打倒横浜に向け着々準備を進めた。
【写真説明】真剣な表情で横浜のビデオをチェックする明徳ナイン(西宮市の旅館志ぐれ)
控え捕手だけど… 大事な役割ある
控え捕手の馬越は愛媛県伯方島出身。半年のソフトボール選手の後、小学4年の秋ごろから野球を始めた。済美(愛媛)のレギュラー二塁手、野間に誘われた。それから卒業までの2年は4番、キャッチャー。明徳義塾中に入って2度の全国制覇を経験した。2度目は鶴川とバッテリーを組み、日本一捕手に輝いた。日の当たるところを歩んできた「捕手」へのこだわりは強い。
初めて甲子園ベンチに入ったのは昨夏。センバツも控え捕手だった。代走で1試合出場したが、「やっぱりキャッチャーで出たいですよ」。
センバツ後、正捕手の田辺が一塁コンバート。「代わりは自分」と思っていたら、サードの梅田がマスクをかぶった。梅田の“指南役”を任されたが、「悔しい気持ちはあった」。今でもキャッチングでは負けない自信がある。
捕手一筋の馬越が「ここに投げたら打たれる」と思うところでも、梅田は強気。白星の結果は出ているが、「怖いなあ」と思う時もある。熊本工戦。両サイドにストライクゾーンが広かったという。馬越は「広い分、そこをうまく使えたかもしれない」。ちょっと辛口。
甲子園での一番の仕事は「ピッチャーを良い状態でマウンドに送り出すこと」。中学からずっと6年間一緒の鶴川はもちろん、2年松下の球も「自分が一番多く受けている」自負がある。「こういう球の時は、ここが駄目と分かる」から、すかさずアドバイスできる。ピッチャーが肩が重そうな時は「よっしゃ、いいボールや」。165センチの体からグラウンド中に響き渡る大声で奮い立たせる。
活躍してほしいと心から思う「背番号14」のようなサポート役がいるから明徳は強い。
【写真説明】「ピッチャーを最高の状態でマウンドへ」―、控え捕手の馬越はブルペンの“主役”だ