|
「こんなに勝率が悪くて甲子園に行けたこと、これまでなかったんじゃないか―」。練習試合を含む39試合で19勝16敗4分け。勝率5割4分3厘は、何とセンバツ出場34校中で最下位。岡本道雄前監督によると、七八年のセンバツで1勝したチームも勝率が悪かったが、今回はかなり低い。ただ公式試合に限っては11試合で9勝2敗。「公式戦はいいので運があるチームかもしれない」と期待する。
ナインには、昨夏までの旧チームでもレギュラーだった三人や公式戦経験者が多い。その旧チームは公式戦でなかなか勝てなかった。一昨年秋の県大会2回戦で宿毛の東和政投手(横浜ベイスターズ)に3−1で敗れ、昨夏の県大会初戦は土佐の合田瑛典に2−0で完封された。中村敏彦監督は「選手のせいじゃない。一生懸命の選手が多かったが、空回りして結果が残せなかった」と振り返る。
土佐に初戦負けし、ロッカールームに半時間近くも閉じこもったナイン。夏を終えた三年生をねぎらう監督。前主将の中田裕士が後輩に向かい、「今まで公式戦で勝てなかったけど、おまえらの代は実力がある。甲子園に行ってくれ」。全員が泣いた。悔しさと経験を重ねたナインが、新チームをスタートさせた。
あえて悪条件で対戦
甲子園狙いで始めたが、昨秋の練習試合で負けが続いた。これが勝率を下げている。一因には県外の実力校まで出向いて、不利な条件で戦ったことがある。早朝に出発して、狭いバスで移動に二、三時間はかかった。あえて不利な条件の中で、自分たちの力を試した。試合に負けると、自校に帰り、反省点をチェックしながらノックを受けることも度々だった。
例えば、盈進(広島)との練習試合。足の速いチームなので、「走ってほしい」と頼んだ。バッテリーへの試練だったが、案の定、走り回られた。失敗しながら、ナインは学んだ。「秋の大会は絶対狙う。練習試合で負けても、大会で結果を出せばいい」。自分たちの短所をさらけ出し、穴を埋める努力をした。
そして、帰りのバス内ではミーティング。それまでと違い、選手同士が腹の中にある思いを率直にしゃべった。「ストライクが入らないから、守りづらい」「あそこをきちっと守っていたら、勝てた」。反省点を指摘された方はつらい。だが、お互いにはっきりと言い、本音で向かい合うよう努めた。中村監督は「欠点が分かればカバーする方法もあるのじゃないか」。帰ると各自が野球ノートにまとめて提出、意識して練習を繰り返した。
勝負の怖さ知る
センバツ出場の重要資料となる、昨秋の公式戦が始まった。県大会、高知はスクイズを含む犠打が目立った。送る時は確実に送り、相手守備にプレッシャーをかけて攻める戦法。すべての試合で先制点を奪い、勝ち上がった。
甲子園はバントが一番のカギと見る中村監督。「良い投手を常時打てるバッターばかりならいいが、甲子園に出る投手からヒットはそう続かない」。県大会から小技を絡める戦法が実を結んだ。
ところが、四国大会準決勝の小松島戦で初めて先制され、中盤に逆転するが、いつもと違う真っ向勝負。それが裏目に出て、欲しい追加点が奪えない。最終回に守りのミスもあり、土壇場で敗れてベスト4。
甲子園初さい配となる中村監督。「勝負の世界、ゲームセットまで何があるか分からないことを経験した。失敗を繰り返してはいけない」。低い勝率の中で学んできた自分たちの野球。一見地味な攻撃だが、それを積極的に武器として戦うスタイルが、少しずつ固まってきた。
=一部敬称略
【写真】失敗は二度と繰り返さない。1球1球気合を込めて、春への階段を上ってきた(高知高グラウンド)
|