
手前が窪川町特産「ときめき豆腐」。時計回りに、サバと合わせたショウガ煮、五目ずし、甘酢漬け、つくだ煮(写真はいずれも高岡郡窪川町のJA四万十会館) |
「食の大地」高岡郡窪川町から、今年もショウガの便りが届いた。冬場は熱々の湯豆腐の薬味によし、魚と煮てよし、酢に漬けてもよし。野菜と香辛料の両面を併せ持つ、土佐の食卓に欠かせぬ“万能野菜”だ。
ショウガ王国・高知にあって、作付面積、生産量とも県内一を誇る窪川町。収穫の合間を縫って絶品のショウガ料理を用意してくれたのは、町内の農業に関心のある女性でつくる「ヤングスマイルクラブ」の鬼頭美鈴さん(52)=黒石=と武市由美さん(48)=本堂。
鬼頭さんは自宅でショウガとコメ、武市さんはハウスでショウガをはじめ、さまざまな無農薬野菜を作っている。材料のショウガも鬼頭さんが提供してくれた。
会場のJA四万十会館の調理室からは、薄切りや千切りにされたショウガの清涼感ある香気が立ち上り、われわれの胃袋と嗅覚(きゅうかく)を刺激する。
「本県のショウガは品質とともに、香気成分も優れているとの定評があるんです」と土佐伝統食研究会の松崎淳子代表。
さらに「最近は、発がん防止効果がニンニクとともに最も高いということでクローズアップされている」といい、地元としても大いに食卓に取り入れたいところだ。

自家製のショウガを提供、腕を振るってくれた鬼頭美鈴さん(右)と武市由美さん(写真はいずれも高岡郡窪川町のJA四万十会館) |
今回の料理は「ショウガ煮」「つくだ煮」「甘酢漬け」「五目ずし」と、豆腐の薬味としての5品。
まず、定番のショウガ煮だが、露地もののショウガを薄切りにし、水に半日さらして、サバやボラなどこの時季脂の乗った魚と煮る。今回はサバ。味付けは砂糖としょうゆと酒で、水を加えず2時間ほど火にかけるとあめ色に。ショウガは魚の臭みも取ってくれる。
つくだ煮は、露地もののショウガを薄く切り、1日水にさらして、かちり、黒砂糖、同量のしょうゆと酒で味付けする。
保存食になる甘酢漬けは、ハウスの新ショウガを使用(「作り方」参照)。甘酢は市販のラッキョウ酢で手軽に仕上げることもできる。
「五目ずし」にはニンジンやゴボウ、シイタケなどとともにショウガのみじん切りも。さらにほんのり色づいた曙ショウガを載せる。
薬味としてのショウガと、シンプルにして最高の取り合わせとなるのが豆腐。しかも、今回は窪川産大豆を使った町の特産「ときめき豆腐」で、というぜいたくさだ。
ショウガ尽くしのメニューと聞いて、正直、食傷気味になるのではと心配したが、杞憂(きゆう)だった。
同じ煮物でも、ショウガ煮はショウガのすみずみにサバのうま味が染み込み、ごはんのおかずとしても、酒のさかなとしても申し分ない。
一方、つくだ煮ははし休めにぴったりの味。ショウガのくせが消え、まろやかな甘みが前面に。ショウガが苦手な子どもにも受けそうだ。
民間療法として、ショウガは風邪のひき始めなどに、すり下ろしてお湯に溶き、はちみつや砂糖を加えたり、甘酒に入れたりして利用されているが、鬼頭さんと武市さんのお宅では、ショウガのはちみつ漬けを愛用しているという(「作り方」参照)。
「体が温まるし、のどにもいい。子どもにもよく飲ませています」と武市さん。
「ショウガは丸ごと買ってもなかなか使い切ることができない」という人も多いが、メモの保存法を参考に、甘酢漬けやショウガのはちみつ漬けあたりから挑戦してみてはいかがだろう。(協力・土佐伝統食研究会)
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【作り方】
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【甘酢漬け】 新ショウガ1キロを薄切りにし、40グラムの塩(4%)で8時間漬けておく。ざるにあけ、手でぎゅっと絞る。ビニール袋に絞ったショウガを入れ、上から砂糖150グラム前後、酢0・7―1カップ(好みで)を入れる。3、4日したら食べられる。味のバランスが崩れるため混ぜずに、上から順に食べる。冷蔵庫で保存を。
【はちみつ漬け】 好みの厚さにスライスしたひねショウガ130―150グラムを、カップ1のはちみつで漬ける。2日ほどでショウガの成分がはちみつに溶け出るので、サイダーや湯で割って飲む。
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ショウガは料理に合わせてすり下ろしや千切り、薄切りに。さわやかな香気が立ち上ってくる |
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【メモ】
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保存法 新ショウガは冷蔵庫で保存するが、ひねショウガは冷蔵庫に入れると、庫内の温度が低過ぎるので「“風邪”をひいてしまいます」と鬼頭さんと武市さん。
長持ちさせるには、ぬらした新聞紙でショウガを包み、ビニールに入れ、さらに発泡スチロールまたは紙の箱に入れて、台所の隅で保管するとよい。
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