
上端の皿からカワエビとキュウリの煮物、時計回りにカワエビの炭火焼き、塩いため、そうめん、みそ汁、ウナギのそうめん、ウナギの炭火焼き、カワエビの塩ゆで |
網(えびたま)と懐中電灯を手にして川に向かう。夕暮れのころには夏の暑さも和らいで、川の涼風を感じながら、カワエビを追う。
辺りが暗くなるにつれ、懐中電灯に照らされて光るカワエビの目をとらえやすくなる。カワエビの逃げる方向を予測しながら、網を水中に差し入れる――。
本県には、そんなカワエビを捕って遊ぶことのできる川がまだまだある。
今回は、四万十川のカワエビとウナギをさまざまに調理してもらう。向かった先は、四万十市の勝間地区で、旧西土佐村がすぐそばという小さな集落だ。
調理場所となった農産加工センターで迎えてくれたのは、中村地区農漁村女性グループ研究会と勝間川生活改善グループの林浩子さん(66)や西尾妙子さん(64)ら。
着くやいなや、ウナギがまな板に載せられた。地元の川漁師さんが頭部にきりのようなものを突き立てる。
「もう、はやご臨終になったねー」と周囲がはやす。
そして、もっぱらウナギ用という短い刃で背をすっと開くと、後はもうたれを付けて焼くだけという格好になる。鮮やかな手つきで次々とウナギがさばかれる。
かば焼きにするのが難しいような小さいものは、ぶつ切りにされた。これは、そうめんのだしと具になるのだという。

調理をした中村地区農漁村女性グループ研究会と勝間川生活改善グループの皆さん |
カワエビの方もたくさん用意されていた。
これはキュウリとの煮物、みそ汁、そうめん、塩いため、塩焼き、塩ゆでとさまざまに調理される。
いずれも料理方法は、素材そのものを味わうために、極めてシンプルなものだ。
煮物は、カワエビを水からゆでて、露地のたくましいキュウリとともに、砂糖としょうゆで調味して煮る。
塩焼きは、炭火を使う。焼き網に載せると、長い腕からまず赤くなってきて、やがて全体にその発色が広がる。あまり焼き過ぎないよう心掛ける。
塩いためは、フライパンで塩を加減しながらいためるというだけの簡便な調理だが、香ばしいにおいがたまらない。
一方のウナギも炭火であぶられて、食欲をそそる香りを周囲に漂わせている。たれは、ウナギをさばいた川漁師さんの家で、ずっと継ぎ足しをしながら使っているという自家製だ。

炭火でカワエビを焼き上げる |
すべての料理が手際よく仕上がり、テーブルに並べると壮観な光景となった。カワエビとウナギづくしの料理をいただく。
天然ウナギのおいしさは、食べあきることのないすっきりとしたもので、その生命力の強さをもらうような味わいにある。地元の米のうまさも相まって、食が進む。
そうめんは、ウナギとカワエビをだしにした2種類が並ぶ。ウナギだしのほうは、思ったよりもくせのない仕上がりで、よりさっぱりとしたカワエビだしとの対比が、ぜいたくである。
カワエビとキュウリの煮物は、エビのうまみを吸収してほっこりした食感のキュウリが味わい深い。
焼いたりいためたりしたカワエビをばりばり食べていると、水中できらりと光る彼らの目を思い出して、川遊びに興じていた夏の日がよみがえるようだった。
「子どもが小さいときには毎晩のようにカワエビを捕りに行きよったね。それを食べ過ぎて、うちの子はエビアレルギーになったわね」と地元の人は笑っていた。
(協力・土佐伝統食研究会)
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【メモ】
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テナガエビの別名がカワエビ。体長は9センチほどの淡水エビで、第二胸脚と呼ばれる足が十分に成長した雄では体長の1.5倍に達する。本州、四国、九州に分布する。四万十川にはミナミテナガエビとヤマトテナガエビの2種類が主に生息するという。カルシウム含有量が極めて多く、タンパク質も豊富で栄養的にも優れている。
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