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3月29日(月)・朝刊
朝青龍が連続全勝V 大相撲春場所
大相撲春場所は28日、大阪市浪速区の大阪府立体育会館で千秋楽を行い、結びの一番で東横綱朝青龍(23)=本名ドルゴルスレン・ダグワドルジ、モンゴル出身、高砂部屋=が東大関千代大海を引き落としで退け、先場所に続く15戦全勝で6度目の優勝を果たした。2場所連続の全勝優勝は1994年の秋、九州場所の貴乃花(現貴乃花親方)以来。幕内連勝は「30」となり、平成以降では貴乃花と並ぶ1位。
【写真】大相撲春場所で2場所連続全勝優勝を果たし、パレードする横綱朝青龍。優勝旗を持つ、三賞初受賞の朝赤龍も笑顔(大阪府立体育会館前)
「荒れる」と言われる春場所だが、今場所は朝青龍のほか千代大海、魁皇の両大関が快調に白星を並べた。好調な上位陣に朝青龍の弟弟子の平幕朝赤龍が加わり、史上初めて4力士が初日から11連勝するという激しい優勝争いだった。千秋楽の結びの一番には史上最多となる32本の懸賞がかかった。
驚くほど落ち着く
朝青龍の話 前半は危ない相撲もあったが、きょうは自分でも驚くほど落ち着いていた。全勝優勝は1日1番、あまり大きなことを考えずに取った結果。このまま順調にいきたい。
大阪で祝賀会 堂々の“強い横綱”
横綱朝青龍関が2場所連続全勝優勝を決めた28日夜、高砂部屋の祝賀パーティーが、大阪市天王寺区のホテルで開かれた。これで堂々の通算30連勝。満面の笑みで大杯を傾けた“強い横綱”を、大勢のファンや関係者らが祝福した。
本場所の表彰式、優勝パレードを終えた横綱が会場に到着すると、待ち構えたファンから一斉に拍手が起こった。「ありがとうございます」。
会釈をしながら笑顔で応えた朝青龍は、記念撮影などに気軽に応じていた。
ステージで、高砂親方(元大関朝潮)、妻のタミルさん、長女のイチンホルロちゃんらに囲まれた朝青龍は、連勝記録も注目された厳しい場所を終え、くつろいだ様子。ぐっと相手をにらみつける土俵の顔とは正反対の、目を細めて大きく口を開けるいつもの笑顔を見せていた。
銀の大杯になみなみと祝い酒が注がれると、出席者全員で「かんぱーい」。横綱は、報道陣のフラッシュに驚いて泣きだしたまな娘を抱きかかえながら、朝赤龍関らと談笑。春の大阪場所で文句なしの好成績を挙げた2人に、祝賀ムードが大いに盛り上がった。
【写真】祝勝会で高砂親方(右)らと笑顔で乾杯する横綱朝青龍。左はタミル夫人(大阪市天王寺区のホテル)
千秋楽 青龍満開 際立つ力の差
横綱朝青龍が大関千代大海を引き落として2場所連続の全勝で6度目の優勝を果たした。連続全勝優勝は貴乃花以来10年ぶり。連勝はこの時の貴乃花と並ぶ「30」に伸びた。琴光喜は7勝目を挙げた。
平幕で最後まで優勝を争った朝赤龍は13勝2敗。入幕7場所目で、昨年の名古屋場所(10勝5敗)の白星を3つ上回る最高の成績を挙げ、初の三賞を殊勲賞、技能賞のダブル受賞で獲得した。
平幕土佐ノ海は5勝10敗、十両増健も3勝12敗と振るわなかった。西幕下4枚目の豊ノ島は十両寿山を下して5勝目を挙げ、夏場所の十両昇進が有力。
夏場所は5月9日から東京・両国国技館で開催される。(この項の一部と写真は共同)
○朝青龍(ひきおとし)千代大海●
千大が左のど輪攻めで押し上げようとする。わずかに下がった朝青だが、下半身は乱れない。慌てず相手の腕をつかむと力任せの引き落とし。千大はたまらず前に落ちた。
流れつかむ勘抜群 連勝街道どこまで
強い横綱には、天も味方をしてくれたのだろうか。「きょうはついてたね。自分でもびっくりするよ」と朝青龍。優勝決定戦にもつれ込むことなく、2場所連続の全勝優勝を決め、じわり喜びがあふれる表情を浮かべながら花道を引き揚げた。
立ち合い、千代大海にぶちかまされた。後手を引いたように見えたが、朝青龍はとっさに「立ち合い、止まってから」と、次の流れがひらめいたという。しかし勝負はその前についた。右手で千代大海の左肩を突くと、あっさり大関は崩れた。本割決着はあっけないほど一瞬の出来事だった。
「前半、バタバタもしたが、一番一番じっくり前に出た」。場所を通して強さは十分証明した。「一日一番」とトレードマークの言葉を口にしながらも、15日間を俯瞰(ふかん)したような落ち着きがあった。それが千秋楽の一番のように“つき”も引き付けたのではないだろうか。
「勝ちにこだわり、カチカチになることはなかった」とも言う。そんな自然体が、技と力にかみ合ったからこそ、30連勝が達成できた。
土俵外の行動が取り上げられ、土俵に集中できなかった昨年の名古屋場所のようなことは、もうない。この場所、本当に相撲に集中できていたように見えた。土俵だまりのテレビ優勝インタビューで「大阪ありがとう」と言ったのも、気分良く相撲が取れ切れた証拠だろう。
朝青龍は「またひとつの山を越えたと思います」と話した。若い横綱の、この1年には谷もあったが、それを見事肥やしに、高みに上った。今や土俵に敵なし。来場所以降どこまで連勝記録を伸ばすのか注目されるのは当然だが、大関以下の力士がよほど奮起しないと、連続優勝記録もまた、まだまだ続く。そんな“大きさ”を横綱は感じさせた。(大阪支社・土居)
最多の懸賞32本
結びの一番にかかった懸賞は、史上最多の32本。先場所14日目の同じ朝青龍―千代大海の27本を上回った。勝ち名乗りを受けた朝青龍は、手刀を切って96万円が入った分厚い祝儀袋を手にした。
今場所の朝青龍は、14日目までに182本の懸賞を獲得し、千代の富士が持つ181本の1場所最多記録を更新。この日、さらに記録を伸ばして笑顔が絶えなかった。
【県勢総評】青龍、綱1年で無敵に 赤龍、自信と欲で成長
12日目を終え全勝3人。終わりが来るのかと思わせる朝青龍の白星街道もすごいが、“頂上決戦”に平幕朝赤龍が加わったことが春場所の収穫だろう。朝青龍が2場所連続の全勝優勝を果たし、朝赤龍は殊勲、技能両賞を共に初めて受けた。琴光喜と土佐ノ海は黒星が先行して負け越した。
朝青龍の横綱初土俵は大阪。この1年で、際立つ強さを身につけた。土俵外の“騒ぎ”があったことを忘れさせられるほどの、綱の風格が漂い始めた。朝青龍時代の扉は、もう既に開いているのではないか。
速攻相撲に終始した先場所と違い、長めの相撲が多かった。朝青龍が「相撲に波がある」と言った。確かに、押し込まれた場面もあった。しかし、気持ちの上の焦りは感じさせられなかった。自ら「自然に任せた、相手を見た相撲」と表したように、流れの中で、知らぬ間に有利な体勢を築いた。
一瞬の差し身、タイミングを見計らった投げ。力の強い魁皇には速攻、意外性のある旭鷲山は動きをじっくり見て料理した。相撲の幅を広げたた上で、見事に使い分けた。
朝赤龍も1年前が新入幕。負け越したここ3場所で、実はじっくり力をためていたのではないか。朝青龍は「上位の力はある」と言い、師匠の高砂親方も「けいこ場の力を発揮できるようになった」。兄弟子のような爆発的な上昇ではなく、確実に階段を上がるタイプと見ると、今場所、間違いなくステップアップした。
苦手の押し相撲の克服に努めたのが証しだ。終盤、大関との対戦では魁皇との全勝対決を制し、千代大海に敗れたが「引き」はなかった。全く見劣りしない相撲で、一番ごとに成長した“自信と意欲”で幕内最年少力士はさらに強くなりそうだ。
琴光喜も1年ぶりの関脇だったが、中日までに6敗。場所前好調だっただけに、本人も周囲も首をかしげた。負けが込み支度部屋でも、もうひとつ元気がなかった。「負け越しての相撲は力が沸かない」と話したが、最後は7勝8敗。故障で苦しんだ昨年を見事乗り切った気持ちを忘れず、再度上を目指してほしい。
土佐ノ海は「前半はちょっと疲れていた」。ベテランと呼ばれる存在になった。本場所に体調を合わせたけいこがさらに重要になるだろう。あと4勝で幕内通算400勝だが、まだまだ記録を伸ばしてほしい。(大阪支社・土居)
3月28日(日)・朝刊
14日目 青龍29連勝単独トップ
横綱朝青龍が単独トップに立った。朝青龍は大関武双山を退けて全勝を守り、千代大海は魁皇との大関対決に敗れて初黒星を喫した。
先場所からの連勝を「29」に伸ばした朝青龍は、千秋楽の千代大海戦に勝てば先場所に続く全勝で6度目の優勝。千代大海が勝てば14勝1敗で優勝決定戦となる。千代大海が勝ち、平幕朝赤龍も1敗を守ると、優勝決定戦はともえ戦になる。
朝赤龍は雅山を左上手出し投げで破り、13勝目。関脇琴光喜は平幕土佐ノ海を下して6勝目を挙げた。土佐ノ海は連勝が3で止まり、先場所に続く2けた黒星となった。
十両増健は11敗目を数え、幕下以下の県関係はこの日取組がなかった。
○朝青龍(おしだし)武双山●
互いに頭から当たると朝青が引き、武双が前のめりにバランスを崩した。朝青はすかさず低い体勢で相手を押し上げ、そのまま腰の伸びた武双を押し出した。
武双山に速攻で完勝 完全Vへ強い意志
千秋楽を取る朝青龍と千代大海、1敗しても直接対決で取り戻せれば、優勝決定戦がある。計算上はそうでも、そこは意地もメンツもある。
朝青龍は危なげなかった。頭で当たり、少し引いた。だが、左のど輪で起こすと武双山は戦意喪失状態。あっさり押し出した。結び前、千代大海に初黒星がついた。その大関に見せつけるような14連勝だった。
この日の両雄は、同じ東の支度部屋。出番前の朝青龍は奥で背中を向け、テレビ中継を見ていた。そのすぐ前で千代大海は、「しゃー」と声を出し、付け人の胸にぶつかる。千代大海の気迫を、朝青龍は平然と受け流していた。
これで1人全勝だが、「きょうの相手だけ考えていたんで、意識してないね」と朝青龍。全勝優勝については、「当然、頑張るよ。何でここまで来ているのかを意識して―」。自然体を強調しながらも、強い意志をのぞかせた。
自らセンバツ高校野球の話題を切り出し、「テレビを見てなかったけど、明徳が10―0。全勝じゃないか」。周囲を笑わせた。明徳高在学中に甲子園に応援に行ったこと。バックスクリーンに映る学校紹介で相撲部が紹介され、ダグワドルジ(朝青龍)、ダシニャム(朝赤龍)が一緒に“出演”したエピソードまで披露した上で、「(明徳の2回戦は)時間があれば行きたいな」と、懐かしそうに顔をほころばせた。
しかし、勝負師。くるっと気持ちを切り替え、「あと一番あるからね。しっかりやりたい」ときりり表情を引き締めた。それは本割で千代大海を破って、完全優勝を誓うまなざしのように見えた。(大阪支社・土居)
3月27日(土)・朝刊
13日目 朝青龍28連勝
全勝は横綱朝青龍と大関千代大海の2人となった。朝青龍は大関魁皇を右小手投げで下して13連勝。千代大海は激闘となった平幕朝赤龍との全勝対決を押し出しで制した。朝青龍は先場所からの連勝を「28」に伸ばした。1敗は朝赤龍1人。
関脇琴光喜は5勝目を挙げた。土佐ノ海は貴ノ浪を寄り切り3連勝で4勝目。十両増健も一の谷を下し連敗を10で止め3勝目を挙げた。西幕下6枚目の琴奨菊は雷光を寄り切りうれしい勝ち越し。
○朝青龍(こてなげ)魁皇●
立ってすぐに左四つ。朝青が間髪入れずに小手投げを放つと魁皇はあっけなく土俵に落ちた。
全勝に胸を張る朝青龍
朝青龍は魁皇を退けて全勝を守り、2場所連続優勝にまた一歩近づいた。最も警戒していた大関を左四つからの素早い小手投げで下し「相手は力が強いからスピードを出さないとね。あと2番、精いっぱい頑張りたい」と胸を張った。
これで先場所からの連勝を28に伸ばしたが、快進撃を続けていた弟弟子の朝赤龍には土がついた。土俵下で見ていて力が入ったそうで「声を掛けてあげたかった」と残念そうだった。
3月26日(金)・朝刊
12日目 若の里を上手出し投げで破り全勝守る
横綱朝青龍、大関千代大海、平幕朝赤龍の3人が全勝を守った。朝青龍は関脇若の里を左上手出し投げで下し、千代大海は関脇琴光喜を一方的に突き出した。朝赤龍は大関魁皇との全勝対決を引き落としで制した。
12日目を終えて全勝3人は、15日制が定着した1949年以降初めて。朝青龍の連勝は「27」に伸びた。
琴光喜は負け越した。土佐ノ海は旭鷲山を押し出し、今場所初の連勝、十両増健は10連敗となった。幕下琴奨菊は白星で3勝3敗。
○朝青龍(うわてだしなげ)若の里●
目まぐるしい差し手争いから朝青が左上手を引いて頭をつける。若里は両まわしが引けず、攻め手がない。朝青は寄りで脅かした後、引きずるような上手出し投げを連発して若里をねじ伏せた。
弟弟子気にする朝青龍
朝赤龍から力水を受けた朝青龍は、若の里を下して先場所からの連勝を27に伸ばした。
だが、そんな記録より弟弟子の快進撃がうれしいようで「朝赤龍が勝ったから、一番緊張した」と自身の相撲を振り返った。13日目からの大関勢との対戦については「何回もやってるから焦る必要はない」。朝赤龍とがっちり握手を交わすと、2人連れ添って支度部屋を後にした。
【写真】ともに初日から12連勝、笑顔で支度部屋から引き揚げる朝青龍(左)と朝赤龍(大阪府立体育館)
3月25日(木)・朝刊
11日目 朝青龍危なげなし 垣添を渡し込みで破る
史上初めて4人が初日から土つかずの11連勝をマークした。横綱朝青龍は小結垣添を渡し込みで破り、大関千代大海は関脇若の里を押し出した。大関魁皇は栃乃洋を右外掛けで退け、平幕朝赤龍は琴龍を寄り切った。魁皇と朝赤龍は12日目に対戦する。朝青龍の連勝は「26」に伸びた。
関脇琴光喜は出島を退けて4勝目を挙げ、若の里は黒星が先行。土佐ノ海は安美錦を押し倒し7日ぶりの白星で2勝9敗。十両増健は浜錦の下手投げに屈して9敗目。幕下西4枚目の豊ノ島は大翔大を肩すかしで破ってうれしい勝ち越し。十両昇進に一歩近づいた。(この項の一部は共同)
○朝青龍(わたしこみ)垣添●
朝青が突き、押しで出ると、垣添も攻め返した。朝青は右上手を引くと再び出て、もろ差しで必死にこらえる垣添を左で渡し込んだ。
今日はよかった
朝青龍と千代大海は、ともに万全の相撲で全勝を守った。
朝青龍は垣添の挑戦を退けて先場所からの連勝を26とし「今場所は相撲に波があるが、今日はよかった」と満足そう。千代大海も回転のいい突き、押しで若の里に完勝。初日からの連勝を自己最多の11に伸ばした。
4人が全勝で並ぶ大接戦について、横綱は「しかし全員強いね。面白いんじゃない」と不敵に笑い、千代大海は「その中に自分もいることが一番の収穫。でも大関としては当然でしょ」と余裕たっぷりに答えた。
3月24日(水)・朝刊
10日目 土佐ノ海を網打ちで下し25連勝
横綱朝青龍は平幕土佐ノ海を逆転の網打ちで下し、初日からの連勝を10に伸ばした。先場所からの連勝は平成以降では貴乃花の30連勝に次ぐ単独2位の「25」となった。
魁皇が関脇琴光喜を寄り切ってともに10連勝。琴光喜は7敗目。平幕の朝赤龍も北勝力を鮮やかな上手出し投げ、初日からの連勝を2けたに乗せた。
土佐ノ海は6連敗で9敗目、十両増健も8連敗で負け越した。
幕内の全勝は依然として4人。(この項の一部と写真は共同)
○朝青龍(あみうち)土佐ノ海●
朝青は土佐の出足に引いてしまい後退。危なかったが、土俵際で土佐の右腕を両手でつかみ、逆転の網打ちを決めた。
「これからが大事」
朝青龍は幕内では2001年夏場所で旭鷲山が土佐ノ海に決めて以来となる網打ちで土佐ノ海に逆転勝ちし、全勝を守った。
土佐ノ海の攻めに一瞬ひやりとしたが、本人は「本当は横から攻めたかったが、右足が少し滑った。攻め込まれた? それは流れ。相撲がよく見えてるし、最後は勝負勘」と落ち着いていたことを強調した。
魁皇と千代大海が調子を上げているため「これからが大事。内容は先場所より良くないが、勝ち続けることが大事」と終盤戦を見据えていた。(共同)
3月23日(火)・朝刊
9日目 安美錦を退け土つかずの9連勝
横綱朝青龍は安美錦を左下手投げで退け、土つかずの9連勝。魁皇、千代大海の両大関と平幕朝赤龍も白星を重ねて4人が全勝で並走、1敗力士はなくなった。土佐ノ海は千代大海にはたき込まれ、5連敗で早々と負け越しが決まった。朝赤龍は黒海を右内掛けで倒した。琴光喜は旭鷲山を突き出し3勝目を挙げた。
十両増健は寿山に寄り倒され7連敗で2勝7敗。幕下上位で十両昇進をうかがう豊ノ島は3勝目を挙げたが、琴奨菊は敗れ2勝3敗となった。(この項の一部は共同)
○朝青龍(したてなげ)安美錦●
朝青が突き起こそうとするが、安美はしぶとく食い下がる。朝青は相手の左腕を抱えて強引に土俵際まで運ぶ。右で上手を引いた安美と、左下手の朝青との投げの打ち合いは際どく横綱が制した。
投げ合い制す 24連勝に自信の顔つき
朝青龍が先場所からの連勝を平成以降では2位となる「24」に伸ばした一番は、土俵際の見応えある攻防で館内を沸かせた。ひやりとした内容にも横綱は「俵が見えていた。負ける気はしない」と余裕があったことを強調した。
安美錦は頭をつけ、右で上手を引いた。やや体勢の苦しい横綱は左腕を抱えて強引に出る。土俵際で安美錦は右上手投げを打ち、対する朝青龍は左下手投げ。先に落ちたのは挑戦者の方だった。
「(投げで)止まってる状態で声を出した。何をやってくるか分からなかった。あんまりいい相撲じゃないけどね」。そう言いながらも横綱は上機嫌だった。
大魚を逃した安美錦は、投げの打ち合いで敗れた理由を「横綱が(下から)戻ってきた」と独特の言い回しで表現。引き揚げる時には思い出したように「師匠の記録に並ばれたくなかった」と語った。24連勝は安美錦の師匠、安治川親方(元旭富士)が1990年にマークしている。
「荒れる」と言われる春場所だが、4人が初日から9連勝。言うまでもなく賜杯へ最短距離にいる朝青龍は「ばたばたするよりは上位が引っ張っていく方がいい」と自信の顔つきだ。レベルの高い優勝争いと連勝記録。終盤はさらに盛り上がりが期待できそうだ。(共同)
3月22日(月)・朝刊
8日目 玉乃島を落ち着いて押し出し全勝ターン
横綱朝青龍は玉乃島を落ち着いて押し出し、全勝を守って勝ち越した。
土佐ノ海は大関魁皇に寄り切られ、7敗目で後がなくなった。関脇琴光喜は武双山を寄り切り2勝目を挙げた。朝赤龍はよう司を下し8連勝。ストレートでの中日勝ち越しは十両時代も含め初めて。先場所14日目からの連勝も「10」の2けたとなり、昨年名古屋場所9日目から翌秋場所2日目までの9連勝を上回った。十両増健は6連敗で苦しい土俵が続いている。
全勝は朝青龍、千代大海、魁皇と平幕朝赤龍の4人。1敗は平幕黒海1人になった。(この項の一部と写真は共同)
○朝青龍(おしだし)玉乃島●
朝青は右のど輪で起こして左下手を狙い、相手の上体が起きると押しの追撃で勝負をつけた。
勝ち越しに表情変えず 視線は別次元
中日勝ち越しにも、「全然変わりはない」と言い切った。先場所、全勝優勝を果たして、ここまで23の白星を連ねた朝青龍だが、“目指すものが違うんだ”と言わんばかりに、全く表情を変えなかった。
素早い取り口と違い、今場所はここまで速さを抑えた感じがした。余裕を持たせながらの慎重な取組が目についた。ところが中日は違った。玉乃島に対し、立ち合いもろ手突きから鋭く出ると、横に回り切るすきを与えず一気に攻め立てた。
左腕のテーピングは前日の琴光喜との熱戦の影響だ。「力は入るんだけど、気になる。しびれるんで、きつく巻いている」と横綱。そう言った後、「きょうは何となく体はいい」。気にするそぶりを見せない。自分の攻めを確認するような口ぶりで、「いい相撲じゃないかな。前に出て行けたし、速いし」と続けた。
横綱の顔をほころばせたのは、弟弟子のストレート給金に話題が移ったとき。「朝赤龍の方が(自分のことより)もっと気になるんだよ。最近、勝ち越してないんで、2けた(白星を)目指してほしいね」
23連勝の手応えが余裕を生む。そしてその余裕がまた、土俵に好影響をもたらしている。どこまで連勝を伸ばすのか―。ほかの力士と、ある意味、次元の違う高みを見据えている横綱の後半戦が楽しみになってきた。(大阪支社・土居)
3月21日(日)・朝刊
7日目 琴光喜ねじ伏せる 負けなしの7連勝
横綱朝青龍は関脇琴光喜に苦戦しながらも左下手投げで下し、負けなしの7連勝とした。土佐ノ海はかど番の武双山に巻き落としで敗れた。琴光喜と土佐ノ海は6敗目。朝赤龍は海鵬をはたき込み、初日からの連勝を7まで伸ばした。十両増健は5連敗となった。幕下以下の県関係は、幕下上位の豊ノ島、琴奨菊が2勝目を挙げて星を五分に戻し、序二段の龍河洞は4連勝で早くも勝ち越した。
全勝は朝青龍、千代大海、魁皇に平幕朝赤龍の4人で、武双山ら3人が1敗で追う。(この項の一部と写真は共同)
○朝青龍(したてなげ)琴光喜●
琴喜が左四つから上手を引いて出た。朝青は寄りを2度残すとつりで逆襲。右四つからもろ差しとなり、左半身の体勢から左下手投げを連発し、琴喜を仕留めた。
「内容は負け」朝青龍
全勝を守った朝青龍は「しかし長い相撲だったね」と切り出した。先場所、豪快なつり落としで退けた琴光喜を、この日は1分18秒を超える力相撲の末に下した。今場所は調子の上がっていない相手に苦戦したとあって「立ち合いで見ていったのが失敗。勝ったけど相撲内容は負けてるよ」と珍しく反省の弁が続いた。
先場所からの連勝は「22」に伸び、平成以降では武蔵丸と並んで3位となった。「疲れた。腕がぱんぱんだよ。あしたからもっと引き締めていかないと」と、気合を入れ直していた。
一方、善戦した琴光喜は「必死だった。つり落としだけはもう食らいたくなかった」と話していた。
3月20日(土)・朝刊
6日目 反撃にも余裕 土つかず6連勝
横綱朝青龍は、栃乃洋を押し出して土つかずの6連勝とした。琴光喜は雅山に押し出され5連敗。小結垣添は土佐ノ海を変化技で下し2勝目。土佐ノ海は1勝5敗。勝ちっ放しの朝赤龍は上手ひねりで武雄山を下し連勝を6に伸ばした。十両増健は鳥羽山に寄り切られ2勝4敗。
全勝は朝青龍、千代大海、魁皇と平幕朝赤龍の4人となった。(この項の一部と写真は共同)
○朝青龍(おしだし)栃乃洋●
左差しを狙う栃洋に対し、朝青は突っ張って攻め込む。追い込まれた栃洋が突き、押しで対抗、場内が沸く。後退した朝青だが、慌てず左に回り込んで体を入れ替え、今度は激しく押し出した。
朝青龍「焦ってない」
朝青龍は栃乃洋に反撃されたものの全勝を守り、先場所からの連勝は21に伸びた。下がった場面を「焦ってない。流れでいって無理なら次のことを考えている」と余裕の表情で振り返った。前日まで左ひじにあったサポーターが、この日はなかった。状態も良くなっているようだ。
厳しい表情が崩れたのは弟弟子の朝赤龍が全勝を守った話題になった時。「うれしいねえ」と笑顔で話していた。
3月19日(金)・朝刊
5日目 天鵬ねじ伏せ5連勝
横綱朝青龍は旭天鵬を左下手投げで退けて5連勝。先場所からの連勝を「20」に伸ばした。
小結霜鳥は関脇琴光喜を寄り切って2勝目。小結垣添は栃乃洋に敗れ、琴光喜とともに4敗目。
土佐ノ海は出島に押し出され連勝はならず4敗目。朝赤龍は春日錦の寄りを際どく残しての逆転勝ちで5連勝。十両増健は3連敗で、ついに黒星が先行した。
全勝は朝青龍、千代大海、魁皇と平幕の黒海、朝赤龍の5人。(この項の一部と写真は共同)
○朝青龍(したてなげ)旭天鵬●
朝青は左を差し、右もねじ込み頭をつけた。両下手を引いてのつりは残されたが、強引な左下手投げで勝負をつけた。
1人横綱連勝どこまで 「意識ない」と笑い
先場所からの連勝を20に伸ばした朝青龍は、連勝の意識を問われると「ないね。そのうち止まるから。いっぱいいっぱいだよ」と豪快に笑い飛ばした。
旭天鵬には昨年の春場所3日目に、強引に寄って逆転負けし、横綱になって初の金星を与えている。嫌な相手に深く左を差してのもろ差しから頭をつける。「去年の大阪で負けてるから、それを思い出した。慎重にね」。土俵中央でつり上げた場面は「持ち上げて相手の胸の下に入るつもりだった。腰を落とさないと」と説明。最後は左下手投げで土俵にはわせた。
平成以降で20連勝をしたのは千代の富士、旭富士、北勝海、貴乃花、武蔵丸に次いで6人目。先輩横綱に肩を並べた。53連勝を誇り、朝青龍が今もあこがれる九重親方(元横綱千代の富士)は「この調子じゃあ、ずっと続くんじゃないの」と話し、北の湖理事長(元横綱北の湖)は「通過点。今場所も全勝する気で頑張ってほしい」と期待する。
危なげない5日間にも「先場所と比べて何か相撲がぴりっとしないんだよな」と朝青龍。ただ勝つだけでなく、内容も意識するのは、第一人者としての自覚だろう。千代大海、魁皇の両大関も全勝とはいえ、1人横綱の連勝がどこまで続くかにすべての注目は集まる。
3月18日(木)・朝刊
4日目 出島を豪快な下手投げで退け4連勝
横綱、大関陣は安泰。横綱朝青龍は出島を豪快な左下手投げで退けて4連勝とした。関脇琴光喜は元気なく3敗目を喫した。土佐ノ海は岩木山を押し出し、ようやく初日を出した。朝赤龍も豊桜を押し出し、入幕後初の初日から4連勝となった。十両増健は2連敗で五分の星に戻った。勝ちっ放しは朝青龍ら7人。(この項の一部と写真は共同)
○朝青龍(したてなげ)出島●
朝青は立ち合いですぐに左前まわしを引くと、左上手出し投げで出島を後ろ向きにさせる。こらえる出島を左四つに組み止め、豪快な左下手投げで転がした。
朝青龍4連勝 出島気遣う余裕
朝青龍は出島を下して4連勝。投げた後に相手が左腕を痛がる様子を見せたため、支度部屋に戻るなり「大丈夫だった? 心配したよ」と気遣いを見せた。
会場に到着してから古傷の左ひじに痛みが走ったため、この日は念のためサポーターをして土俵に上がった。
「ちょっとしびれがある。前にもあったし、何ともないよ」と話し、心配はなさそうだ。
出島は左ひじを痛めたが、腕を動かしながら「大丈夫です」と話した。
3月17日(水)・朝刊
3日目 旭鷲山を突き出し3連勝
横綱朝青龍は平幕旭鷲山を危なげなく突き出して3戦全勝とした。琴光喜は新小結の垣添に敗れて2敗目を喫した。土佐ノ海はこの日も前に落ちて初日が出ず、朝赤龍は新入幕の普天王を破り3連勝。十両増健は土がついた。(この項の一部は共同)
○朝青龍(つきだし)旭鷲山●
朝青は旭鷲のもろ手突きからの押しを余裕を持って残すと、動きを警戒しながら前進。そのままあっさりと旭鷲を突き出した。
自信たっぷりの横綱
朝青龍は、落ち着いた取り口で旭鷲山を退けて3連勝。報道陣の「相手がよく見えてますね」との声に「そうだね」と自信たっぷりに答えた。
モンゴルの先輩、旭鷲山には昨年2場所連続で不覚を取った。だが充実感漂う横綱は、いたって冷静だった。これで先場所から18連勝。旭鷲山も「やっぱり強いよ。横綱になりたてのころとは全然違う」と舌を巻くばかりだった。
3月16日(火)・朝刊
2日目 雅山を下し連勝
横綱朝青龍は、元大関の雅山を左上手投げで下して2連勝。
関脇琴光喜は旭天鵬の左上手出し投げに敗れて、早くも土がついた。平幕の土佐ノ海は2連敗、朝赤龍は2連勝。十両増健も白星を重ねた。
○朝青龍(うわてなげ)雅山●
朝青が両前まわしを狙うが、雅山は嫌って激しく突っ張る。頭が上がりかけた朝青だが、良くこらえて前に出ながら右を差し、左前まわしも引く。寄りで攻めながら最後は左上手投げで雅山を仕留めた。(この項の一部は共同)
3月15日(月)・朝刊
初日 霜鳥を力強くつり出し白星スタート
先場所、初の全勝優勝を果たした横綱朝青龍は、新小結霜鳥の寄りに後退したが、もろ差しとなると力強くつり出し、白星スタートを切った。
琴光喜は栃乃洋を押し出した。土佐ノ海は時津海の引き落としに屈したが、朝赤龍は休場明けの琴ノ若を寄り切りで下した。十両増健は大真鶴を寄り切った。(この項の一部と写真は共同)
○朝青龍(つりだし)霜鳥●
霜鳥が立ってすぐ左上手を引き、前に出た。だが、朝青は落ち着いて左を巻き替えてもろ差しになると、両下手を引いて力強くつり出した。
新小結寄せつけず 自らの独走に物足りなさも
誰もが硬くなる初日。新小結で張り切る霜鳥が得意の左上手を引いて前に出ると、波乱を期待して館内がどっと沸いた。だが、朝青龍本人は十分に余裕があったようだ。取組後の支度部屋で「危なかったという気持ちは?」と聞かれると「ないですね」。涼しい顔であっさりと答えた。
その言葉通り、下がりながら左を巻き替えてもろ差しになると、体重が10キロも重い相手を簡単につり出した。初日の緊張感を問う声にも「まあ初日はね、少しは考えたね。でもそんなに緊張とかはないし、特別な意識もない。慣れだよ」と笑みを見せるだけだ。
2場所連続の全勝に向け、上々の滑り出し。「先場所のことは先場所で終わっている。今場所は今場所でいきますよ」と話す表情には自信がみなぎる。
場所前のある日。「ライバルはいるか?」との質問に、朝青龍は真剣な目つきで「こう言っちゃ何だけど、今の幕内にはいないかも。2人か3人、強い力士が早く上がってきてほしいな。そうすれば相撲も盛り上がるじゃない」と話した。自らが独走する展開に物足りなさすら感じているようだ。新横綱として登場したのが、ちょうど1年前の春場所。ほかの力士とは、それほどにまで差が開いてしまったのだろう。(共同)
3月3日(水)・朝刊
朝青龍、余裕たっぷり 各部屋でけいこ始まる
大相撲春場所(3月14日初日・大阪府立体育会館)の番付発表から一夜明けた2日、大阪市内や近郊の各相撲部屋宿舎では力士たちのけいこが一斉に始まった。
中央区中寺の高砂部屋では連覇を狙う横綱朝青龍が幕下以下の若手に20番胸を出した。初場所で全勝優勝を果たした後、韓国公演やモンゴルへの里帰りなどで「けいこしてなかった」そうで、関取との申し合いはしなかったが、時折笑みがこぼれるなど余裕たっぷりの滑り出しだった。
【写真】余裕の表情でけいこを始めた横綱朝青龍(2日、大阪市中央区の高砂部屋宿舎)
連続優勝宣言
「初場所の千秋楽で連続優勝を約束したから、それを忘れず頑張る」。各部屋で一斉にけいこが始まった2日、横綱朝青龍が連続Vを宣言した。
この日は関取衆との申し合いは行わず、若手に20番胸を出しただけの軽い内容。「あと2週間あるし、これから調子を上げて場所に入りたい」とじっくり構えた。
初場所の全勝優勝を受けて、連勝記録にも期待がかかる。「自分で目標もあるし、それを超えたいね。目標? フッフッフ」。含み笑いではぐらかしたが自信たっぷりの口ぶりだった。
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