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・坂井 保之 四国IL開幕に思う
石毛よ 君の奮闘に乾杯!

 「あきらめきれない夢がある」。その夢を求める男たちが結集した。

 総勢130人余。大将は石毛宏典(48)。野球を愛し、野球を求める若者を愛する情熱の男。その無垢(むく)のエネルギーが不可能を可能にした。

 「野球をやりたい若者に野球をやる場を与えたい」

 選手生活を引退してすぐとび込んだ大リーグ・ドジャースへのコーチ留学時代から温めていた夢――。オリックス・ブルーウェーブでの短すぎた(かつ不本意な)監督経験が、さらにこの夢の実現をかきたてた。

 当初からすると、ほぼ8年の歳月だった。助走は十分。となると、この男のためらいは無用――。

 一昨年の秋だったと記憶する。鎌倉に住む私を、石毛君が訪ねて来た。

 「四国4県を足場にして四国独立リーグをつくりたいのです」

 この男と私とは西武ライオンズ時代、球団代表と主力選手として、ある種固い信頼関係を共有していた。

 構想を語る彼の眼(め)は燃えていた。球界の現状にひどく不安定なものを感じていた私は、球界のOBとして、また評論家として、選手人口の拡大を唱え続けている。この石毛構想の壮大かつ高邁(こうまい)な理念には胸を打たれた。二つ返事で大賛成したのは言うまでもない。

 とはいえ前途に横たわる課題の数々――。資金はどうする? 選手の確保は? 球場を手当てできるか? スタッフは? それに4県の各自治体や既存のアマ、プロ球界との調整は?…。言い出しっぺの石毛君本人にとってはさぞや苦難の日々だったと想像する。

 折しもプロ野球界は1リーグ化をめぐる騒動で、組織の存続をかけた混乱に陥っていた。こうした騒ぎをよそに、新リーグの誕生劇は堅実、かつ周到に進められていった。その過程は、折々の連絡で承知してはいた。しかしついに晴れのリーグ開幕を迎える日になろうとは、とても通常の称賛の言葉でこの驚きと感動を語り尽くせるものではない。

 今、私の手元には新生「四国アイランドリーグ2005公式戦」の特別招待券が2枚ある。石毛君から届けられたものだ。私はそのチケットのデザインを飽かず眺めている。心地よい感激が胸を揺するのに身をまかせている。まさに偉大な一歩だとしみじみ思う。

 一方で、「これからが大変だ。問題は山ほどある」という認識もある。誰もがそう思っている。なあに、ここまで乗り越えて来たのだ。問題課題は起きた時なんとか工夫すればいい、という心の用意も十分にあるにはある。

 しかしやはり気懸かりは各チームの選手数の少なさだ(1チームマックス25人)。この人数で90ゲームをこなすのはかなり辛(つら)い。怪我(けが)人は必ず出る。猛暑もある。適切な補充策を考えておいてほしいところだ。

 海のものとも、山のものとも分からない、このリーグに、スポンサーを申し出てくださった企業には感謝の言葉もない。その他関係者、ファンの皆さんにも、どうぞ根気よく応援し続けてくださいとお願いするばかりだ。

 (元西武ライオンズ代表、プロ野球経営評論家

 さかい・やすゆき 1970年にロッテ(現千葉ロッテ)球団の渉外部長になり、72年には39歳の若さで太平洋クラブ(現西武)の球団代表に就任した。その後、太平洋の身売り先のクラウンライター球団を経て、78年から球団代表を務めた西武では黄金時代を築いた。手腕を買われて89年にダイエー球団入りするなど、プロ野球のフロント幹部として活躍した。現在は本紙掲載の「異論正論」などを執筆するプロ野球経営評論家。山口県出身。神奈川県鎌倉市在住。71歳。



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