丸山忠久棋王に谷川浩司王位が挑戦する将棋の「第29期棋王戦5番勝負」第1局(高知新聞創刊100周年記念事業)が、8日午前9時から高知市上町2丁目の城西館で行われ、同日午後7時29分、121手までで先手の谷川王位が先勝した。持ち時間各4時間のうち残りは谷川、丸山ともに1分。
本県でのタイトル戦は平成7年の「第20期棋王戦」以来9年ぶり。午後からの公開対局には大勢の将棋ファンが詰め掛け、張り詰めた空気の中、駒を進める両者の戦いに見入っていた。
また鈴木大介八段らによる大盤解説や指導対局も行われ、約450人が将棋界の一大イベントを楽しんだ。
第2局は22日、富山県宇奈月町の「宇奈月国際会館セレネ」で指される。
【写真】終局後、感想戦をする谷川王位=左=と丸山棋王(8日午後7時半すぎ、高知市の城西館)
負けと思った
谷川浩司王位の話 歩を2枚取った辺りは少し指しやすいかと思ったが、昼食休憩前後の指し方が甘く、勝負手5四桂も届かず負けと思った。玉が逃れる筋ができ、分からなくなった。
盛り返したと思ったが
丸山忠久棋王の話 相懸かり戦法をやってこられるのも予想の一つだった。終盤は難しくなった(盛り返した)と思ったが、負けていたのかもしれない。
大熱戦にファン見入る
8日、9年ぶりに本県で開催された将棋のビッグイベント「棋王戦」。会場となった高知市の城西館には大勢の将棋ファンが訪れ、プロ棋士ならではの緊迫した戦いを真剣な表情で観戦した。
午前中に別の和室で戦った丸山忠久棋王と谷川浩司王位が午後1時、公開対局場で待っていた将棋ファンらの前に姿を現すと、会場の空気が一変。張り詰めた雰囲気の中、将棋の解説書を持った小中学生や年配のファンらが食い入るように両対局者を見つめた。
対局は、両者の間で優勢が何度も入れ替わる乱戦模様。しかし中盤あたりから形勢が谷川王位の優位に傾き始め、午後7時29分に丸山棋王が投了すると、張り詰めた糸が切れるように、会場から「ほっ」とため息に似た声が上がった。
別会場では、鈴木大介八段と島井咲緒里女流初段(南国市出身)が大盤解説。日本将棋連盟の中原誠会長や島朗八段、森けい二・九段(中村市出身)らも飛び入り参加した。
「なんでこの手を選んだんでしょう。本人じゃないと分かりませんね、後で聞いてみましょう」「次の受け手、皆さんも考えてみてください。ただし賞品はありませんけど」と、和やかな解説で会場の笑いを誘った。
鈴木八段、島井女流初段、北尾まどか女流初段のプロ棋士3人による指導対局も好評で、腕自慢のアマチュア棋士らが横並びで挑戦。棋力をほめられてうれしそうな人、時間内に勝負がつかず名残惜しそうに立ち去る人など、それぞれにプロとの交流を楽しんだ。
【写真】熱心な将棋ファンで満員となった大盤解説の会場。鈴木八段らの解説に聞き入った(高知市の城西館)
最後は1分将棋 谷川が柔らかい好手
相懸かりの出だしから、谷川は丸山の2四歩を同飛と取り、1筋で突き越した歩を生かす積極的な指し方で2歩得に成功。丸山の銀冠を阻止した。
午後は公開対局。優勢を意識したか、谷川は穏やかに指し進める。自陣をまとめきれない丸山は、守りの金を戦線に繰り出し玉頭を狙う。
谷川は好手4五歩で飛車の横利きを通す。だが5九玉の早逃げは「(谷川に)予定変更があったのでは」と立会人の島朗八段。丸山が盛り返したが、手が広く難しい中盤戦。丸山の連続長考で、持ち時間も逆転した。
8七金に対する3七桂成が丸山の勝負手。駒損覚悟で一気の寄せを狙う。しかし4八金が谷川らしい柔らかい好手で、続く5四桂辺りの数手で谷川が優勢を築いた。
最後は詰むか詰まないかの1分将棋を、谷川がぎりぎり残し、奪回に向けて1勝を挙げた。
谷川が棋王位奪回、16期ぶり返り咲き
丸山忠久棋王に谷川浩司王位が挑戦していた第29期棋王戦5番勝負の第4局は、3月20日午前9時から金沢市の「金沢ニューグランドホテル」で行われ、午後6時57分、96手で後手の谷川が勝ち、対戦成績3勝1敗で16期ぶりに棋王位を奪回、王位と併せ2冠となった。持ち時間各4時間のうち、残りは丸山1分、谷川5分。(共同)
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