9月22日。社民党県連合の江渕征香代表は、小泉再改造内閣の顔触れを見て表情を曇らせた。「タカ派の危ない人がずらり。どんどん右旋回している…」
旧社会党の流れをくむ護憲勢力として、キャッチフレーズに「頑固に平和」を掲げる社民党。江渕代表らには、有事法制に象徴される小泉政権の安全保障政策は、「戦前回帰の危険な状況」と映る。
だが、小泉政権に対峙(たいじ)しようにも、党首討論の持ち時間の少なさにみられるように、小政党には厳しい「数」の壁が立ちはだかる。それだけに同党は、今回の衆院選で「法案提出権を持つ21議席以上」(解散前18人)を目指している。
特に四国は、小選挙区制が導入された平成8年秋の前々回選挙以降、議席ゼロ。「地域の事情に詳しい国会議員はどうしても必要だ」。四国の同党関係者にとって、比例代表での1議席獲得は悲願となっている。
その目標達成に向け、江渕代表らは小選挙区の戦いを重視。過去の国政選挙の結果から、「公認候補を立てて戦えば、比例票は確実に増える」と強調し、愛媛3人、香川2人、高知も8月に県連合副代表の田井肇氏を1区に擁立した。
しかし、連合高知などは1区で民主党前職の五島正規氏(四国比例)の当選を目指しており、旧社会党ブロックの分裂選挙による「共倒れ」を懸念。社民党支持の労組からも、「名誉ある撤退を」と擁立見送りを求める声が出た。
江渕代表はこうした情勢を踏まえながらも、「民主党は有事法制に賛成した。護憲政党としては、平和と憲法をどう守るかを考える必要がある。党員の『候補を立てるのが筋だ』との声に励まされた」と強調。
「前回は3区に公認候補を立て、民主党に協力してもらったが、共闘関係が必ずしもうまく築けなかった」「2、3区は広すぎる。党の力量からして立てるなら1区しかない」と、五島氏と競合せざるを得なかった理由を説明する。
「歴史が証明」
とはいえ、社民党を取り巻く環境は一層厳しさを増している。昨年秋には北朝鮮による拉致事件への対応のまずさで批判が噴出。今年7月には、秘書給与詐取事件で辻元清美元衆院議員が逮捕され、「ダブルショック」(江渕代表)の痛手は大きい。
さらに1区では、連合高知が田井氏の推薦を見送り、陣営の主力部隊は党員と労組OB。「民主党支持の労組からも心情的な支援があるはずだ」と期待を寄せるが、比例代表の議席獲得は、やはり平和と暮らしを守る訴えをどこまで浸透させられるかに懸かる。
衆院解散の3日後。来高した福島瑞穂幹事長と一緒に高知市内で街頭に立った田井氏は、「取り返しがつかない状況になってから、あの時に…と後悔しても遅いのは歴史が証明している」と語気を強めた。
2大政党制を促す小選挙区制の中であえぐ社民党。しかし、江渕代表は「国民が『自民党も民主党も同じではないか』と思った時に、必ず革新勢力を求める機運が高まるはずだ。それまで歯を食いしばって戦い続ける」。
護憲政党として、意地を見せる戦いに執念を燃やしている。
【写真】福島瑞穂幹事長=右=と街頭に立つ田井肇氏。平和と憲法を守り抜く決意を示した(10月13日、高知市の大橋通商店街)
(衆院選取材班)
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