「参院で自公の安定基盤を」と自民党県連の中谷元会長(衆院・高知2区)が支援を訴えれば、「連立政権の信義は大事にする」と公明党県本部の石田祝稔代表(衆院・四国比例)が呼応する。
4月11日。高知市の電車通り沿いで行われた森下博之氏の後援会事務所開きは、連立与党を組む友党間の“暗黙の了解”を演出した。
「うちも厳しい」
森下氏が初陣を飾った6年前の参院選。共産党の推薦を受けた西岡瑠璃子氏との「自共対決」で公明党・創価学会は森下氏を後押しした。そして昨年の衆院選では、県内3小選挙区の勝利を命題とする自民党と、石田氏の四国比例での返り咲きを悲願とする公明党との思惑が一致。両党の選挙協力が実現した。
自民党県連は「公明の協力なしに1区の勝利はなかった」と振り返り、森下氏の再選も公明党の支援が不可欠と判断。事務所開きから2日後には、公明党県本部に推薦願を携えた自民党県連の元木益樹幹事長(県議)と森下氏の姿があった。
だが、このとき既に同県本部には、同党内に一定の足場を築き、森下陣営が「強敵」と見なす無所属新人、広田一氏=民主党推薦=も推薦願を提出していた。
5月10日。「対公明折衝は会長、幹事長に一任」とする県連役員会の方針を踏まえ、元木幹事長は公明党側へ意向を伝えに走る。「参院選は党組織の比例候補を抱えている。県連や党員は比例で公明党を支援できないが、福井照(衆院・高知1区)、森下両氏の後援会を中心に可能な限り、党員でない支持者に働き掛ける」
公明党県本部の岡村康良代表代行(高知市議)は「比例への効果を考えると選択肢は森下氏しかいない」と内情を口にするが、県内での比例票獲得目標は、前回衆院選での得票を上回る「7万票以上」とハードルは高い。
「うちも厳しい戦い。どれだけ自民に期待できるか見極めたい」との思惑から、県本部は結論を持ち越している。
三位一体も逆風
一方で、自民党県連と森下氏自身には、挙党態勢の構築という課題が今なお重くのしかかる。
県連が橋本大二郎知事の対立候補を推して戦った昨年の知事選で、支持基盤の建設業界が複雑にねじれた上、県議や地域によっては、知事寄りの言動を見せていた森下氏への評価に厳しいものがあるためだ。
3年前の小泉旋風が逆風となりかけている情勢も陣営の懸念材料。
4月末から開始した異例の支部訪問(県内6ブロック)は、19日までに4ブロックを終えたが、どの支部でも小泉内閣が進める三位一体改革への不満が噴き出した。
唐突な地方交付税などの大幅削減に「予算が組めない。地方を見殺しにする気か」と息巻く首長や市町村議の声に、県連は近く要望書をまとめ、党本部に上申する。
党本部は高知県選挙区を「危険区」と認識。実力者の青木幹雄参院幹事長が5月下旬から6月初めに来高し、各市町村支部や首長、議長、友好団体との集会で態勢固めを図る予定だ。
その青木幹事長と橋本知事が、東京で4月末に会談。広田氏とのつながりが深い知事の「今回は中立」とする姿勢が両者間で“確認”された。これが森下陣営にどう作用するかは、投票結果を待たねばならない。
【写真】後援会の事務所開きで支援者に握手で応える森下氏(4月11日、高知市南はりまや町1丁目)
(参院選取材班)
2004年5月20日朝刊掲載
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