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起伏12年―検証・橋本県政
E旧弊  半端だった「壊し方」

11月6日付・高知新聞夕刊

 
脱・天皇杯至上主義で成功に導いたよさこい高知国体(14年10月26日の開会式演技、県立春野陸上競技場)  橋本大二郎知事が県政を担当してきたこの12年は、行政の説明責任や情報公開を求める全国的な市民意識の高まりと軌を一にする。改革を旗印にした橋本知事は職員の意識改革を求め、ひたすら旗を振り続けてきた。

 だが、果たして県庁は変わったのか。

 不祥事は今なお絶えない。就任当時44歳、全国最年少知事として登場した橋本知事の髪も、めっきり白くなった。

 「必要悪」

 組織を守ることが“美徳”。都合が悪いことは覆い隠し、発覚しても正当性を強弁する。古い公務員意識に県民と向き合う視線はない。

 県庁組織に巣食うあしき体質から生み出される不祥事に橋本知事が直面したのは、まだ清新なイメージが残っていた1期目の平成5年。須崎県税事務所に端を発するカラ出張問題だった。

 全庁に波及した問題は、官官接待に伴う食糧費の不正支出、県東京事務所のタクシーチケット不正使用など、一連の不適切な公金処理問題を誘発。橋本知事は、官官接待全廃という全国に先駆けた対応を打ち出した。

 だが一方で、県が公金支出の実態を総点検するための第三者機関の設置を発表した8年7月、知事は本紙の取材に対し、「過去の裏金」の調査について首をかしげざるを得ない発言を残す。

 「不要だと思う。既に裏金はないし、(悪い制度は)直っているからだ」「調査にかかるエネルギーを考えると、県民のためにはならない。過去のあらをほじくっても仕方がない。調査して何になるのかと聞きたい」

 本県に遅れてカラ出張の実態を露呈した北海道庁は個人の責任を問い、判明した十数億円分を管理職中心に10年がかりで返還する方針を決めた。裏金を「必要悪」的にとらえ、過去の清算を怠った本県の対応とは対照的だった。

 「丸投げ」

 組織的なウミを出し切る好機を逸した県庁は、その後も不祥事を続発させる。その極めつけが3期目に露見した闇融資事件だった。その後も知事自身が「大見えを切っていただけに、ばつが悪かった」と振り返る裏金プール問題、さらには公文書破棄問題などが次々に発覚してくる。

 この図式からは、旧習・悪弊の見直し、つまり古い体質の「壊し方」が甘かったせいで、それらが延命なり蘇生(そせい)することができたとみることも可能だ。

 職員団体の既得権はく奪で見せた牙の鋭さや飲酒運転の即刻懲戒免職処分などのケースを見れば、強い「壊し方」もあった。

 ただ、いずれにしても、別の角度から不祥事の背景に迫ると、特に2期目辺りまで知事が内政管理を副知事以下に「丸投げ」していた実態が無視できない。

 県民の側に立つといいながら、庁内の部下たちへの配慮も欠かせない。そのバランス感覚なしには、単身県庁に乗り込んだトップは立ち往生してしまう恐れがあった。旧弊の破壊が不徹底に終わる背後には、知事が置かれていた難しい立場が読み取れる。

 橋本知事の意に反して、不祥事の後始末にエネルギーを使い続ける県庁。この現状にも県民意識は、総じて知事自身に対しては寛容だ。

 先に行った本紙の県民世論調査では、不祥事が後を絶たない第一の原因に「組織の体質」(46・1%)が挙がる。これに次ぐ「職員の資質」も32・8%。これに対し「知事の組織管理方法」を問題視するのは、14・1%とぐっと少ない。

 知事は正しい、役所・役人が悪い――。この視線を浴び続ける県庁職員の胸中は、複雑に違いない。

 【写真】裏金プール問題で調査結果を報告する県幹部(14年6月・県政記者室での会見)

知事選取材班


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