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起伏12年―検証・橋本県政
C管理術  信頼を理に置き換え

11月4日付・高知新聞夕刊

 
 県は15年度の人事異動で、各部局内を細分化し、大幅に課室数を増設。若手幹部を積極登用するなど、かつてない大胆な人事異動・機構改革に踏み切った。

 直筆メモ

 橋本知事にとって3期12年の集大成ともいえる人事。その考え方を知事は、直筆のメモにして人事当局に指示していた。

 「年功序列の悪弊を排し、若手を育てる」「県民の評価、時代の要請を組織の中に入れる」「組合型悪平等主義からの決別」…。

 率直な思いで書きつづられた、県庁改革への意欲や思い。新設の課室名まで細かく記されたそのメモは、過去の反省に立ち、そこから得られた教訓を凝縮したものと言えなくもない。「過去」は「当時の副知事らに『過度の信頼』を寄せて権力の二重構造に陥った闇融資事件」、「教訓」は「客観基準に則することが人事の眼目」と言い換えられる。

 教訓を踏まえ、橋本知事の人事管理術は変化を見せた。「絶対評価の基準を設けて、仕事をする人・しない人、できる人・できない人を評価ではっきり分けていく。それが本来の適材適所だ」

 県民を顧客とみなす視点で業務を採点する「行政経営品質向上システム」導入(11年度)、能力を一律基準で評点する「コンピテンシー型研修制度」実施(13年度)などがその軌跡だ。

 基準には能力・成果主義を据える。民間ではむしろ当たり前の手法だが、庁内には「企画力や発言力のある人材だけで組織が動いているのではない。書類づくりなど地味な仕事をしっかりこなしている職員の役割も評価されるべきだ」とする抵抗感も強い。

 さらには「職員個々の性格や人望を細かに見極める目がなければ、求心力のある組織づくりはできない」といった声も根強い。

 橋本知事はそうした指摘をよそに、過去の轍(てつ)は踏むまいと、「過度の信頼」を自ら打ち立てた「理」に置き換えて実践に移してきた。だが、その意に反して、配置ミスとしか言いようのない幹部の“短命人事”も目立つ。15年度の人事にしても、異動内示と同時に「どうして?」「えいかよ、それで」という声が庁内のあちこちから漏れていた。

 「目利きの悪さ」は県議会でも追及され、これには橋本知事も「適材適所の難しさを痛感している」と答えざるを得なかった。

 異常事態

 橋本県政では特に2期目以降、副知事が3代続いて途中交代するという、前代未聞の異常事態が続いた。

 「職員を指導する立場の副知事ら幹部がころころ変わる組織がまとまるはずがない」。県庁の内外ではこうした手厳しい声が聞かれる。

 知事の専権中の専権である副知事以下の部局長人事がふらつき、とりわけ3期目は朝令暮改さながら。落ち着かない橋本県政の人事管理に不安を覚え、公然と反発の声を上げる職員や県庁OBは少なくない。

 全幅の信頼を寄せていたかつての副知事が今、法廷で“裁量権逸脱”の裁きを受けるという事態は、橋本知事にとって痛恨の極みだろう。

 橋本知事は、外から身一つで県庁に乗り込んできた。12年の試行錯誤の上に知事は今、「誰が知事になっても県民本位で動く県政」を目指す。

 だが、橋本県政が内政管理に落とす影は、県庁という巨大組織に克服しがたいハードルが存在することを教えている。

 【写真】橋本知事の新年の訓示も12回を数えた(15年1月6日、県庁正庁ホール)

知事選取材班


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