橋本大二郎知事を「小泉純一郎首相と似たタイプ」と評する声がある。
県政と国政、無党派と政党人などの違いはあるが、口にするのは同じ「改革」の二文字。政治基盤は弱いのに県民国民の人気は高い。何より改革を阻む「抵抗勢力」をつくり出すところなどは確かに似た図式だ。
議席半減
「抵抗勢力」のレッテルを張られて歯がみする勢力としては、旧来の県政の枠組みにどっかりと腰を下ろしてきた県議会の自民党が筆頭に挙げられるだろう。現に、橋本知事に「おとしめられた」とさえ言う自民党県議もいる。
30、25、23――。減り続ける数字は過去3回の知事選当時に自民党会派が得ていた議席。今年4月の県議選では過半数割れの18となり、その上に11月の知事選対応をめぐって3県議が会派を離脱。現在は41議席中15議席、今や12年前の半分にまで減退している。
自民党は3年知事選で公認候補が大敗した後、知事の兄・橋本龍太郎元首相の仲立ちで橋本県政の「与党」に落ち着いた。だが、事前の調整を嫌い、何事も理詰めで押し通そうとする橋本知事と折り合いがつかないケースが目立っていく。
2期目の「非核港湾」条例化を機に、不満は一気に表面化。11年知事選では再び対立候補を推薦して戦ったが、結果は「分裂選挙」の末にダブルスコアの敗北。橋本知事から「けじめもつけようとしない」と痛烈なしっぺ返しを食らった。
三期目には闇融資事件などで知事の責任を厳しく追及したが、県民の理解を引き寄せられないまま、会派内の勢力は親知事と反知事に分極。一方で、橋本知事自らが選挙応援を買って出た無所属の親知事派県議がじわり台頭している。
ある自民党県議は「議会と執行部は車の両輪。県民代表のわれわれを抵抗勢力に仕立てる知事のやり方が県政のためになるはずがない」と語気を強めた。
「75点」
知事と対立する自民党と対照的な姿勢を見せたのが共産党だ。「非核港湾」「君が代発言」など、橋本知事のスタンスが「自民党県政の復活を許さない」とする党の方向性と一致。11年知事選以降は、橋本県政野党から「実質支援」へとかじを切った。
橋本県政の改革姿勢を評価して「100点満点の75点」と採点。他会派は「党勢拡大のための与党化だ」と見立てるが、今年の9月定例会で噴出した3年知事選の選挙資金調達疑惑をめぐっても共産党は、「不正は追及するが、いわれのない攻撃から知事を守る」と防衛線を張っている。
橋本知事にすれば、与野党の構図の変容などはおよそ関心事ではないだろう。過去の県政でまかり通っていた議会への根回しをやめ、「本会議での緊張関係ができず、県民をばかにしている」として職員による質問の代筆も禁止。それらは、議会の意識改革と議論のレベルアップを望む方途ととらえねばならない。
しかし、知事の思いはしばしば直情的に過ぎ、親知事派県議ですら「議会軽視」を問題視する。過去最低の投票率(54・62%)だった今年の県議選に「どれだけ県民の声が(県議会に)反映されるのか」とコメントするなど、挑発的ととられる言動は数多い。
「私の性格のなせるところもあるが、なぜもっと円滑にいかないのか…」。橋本知事が議会との“対立史”を振り返って言うのは、無党派知事のスタンスというより「懐の深さ」にかかわるものかもしれない。
【写真】2度目の百条委設置。橋本県政の対議会史は対自民党史の色彩が濃い(15年10月10日、県議会本会議場)
(知事選取材班)
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