2年前に世界を震かんさせた米中枢同時テロ。13年の「9・11」以降、「世界は変わった」と評される。
「対テロ」の名目で行われたアフガニスタン攻撃、米英主導のイラク戦争、そして日本とも密接にかかわる北朝鮮の核問題。国際情勢の激変に、日本の平和外交・防衛政策の輪郭も揺らいでいる。
反対5割超
象徴的なのは、「ショー・ザ・フラッグ」(旗を見せろ)という米国の強い要請を受けて成立させたテロ対策特措法。PKO活動以外で初めて、日本は自衛隊の海外派遣に踏み切った。
その後も小泉内閣の下で有事関連法、イラク復興支援特措法と、戦後日本の安全保障の原則を根底から揺るがす法律が相次いで成立した。
国際貢献論は「専守防衛」から「集団的自衛」への“うねり”を見せるが、県民世論は自衛隊による人的な国際貢献に否定的だ。「賛成」はわずか5・2%。「やむを得ない」が33・4%、反対派は過半数の52・7%に上った。
意見欄に反対意見を書き込んだのは、護憲をうたう共産、社民両党の支持者ばかりではない。イラクの不安定な治安情勢を危ぐする自民党支持者は、「米国は自国に戦死者が増えたので、自衛隊に行ってくれと言っている。自衛隊にも必ず戦死者が出るだろう。絶対に派遣すべきではない」(高知市、60歳以上の女性)。
「暴力には暴力、の最悪の論理だ」(高知市、40代女性)とブッシュ米政権を批判する意見も目立ち、それに追従する小泉政権に厳しい目を向ける県民世論が浮かぶ。
県中西部の60歳以上の女性は「日本は先の大戦の反省に立ち、話し合いによる世界平和を構築すべきだ」と、外交の軸足を国連中心に移すよう求めている。
加速する論議
対米基軸の安保・国際貢献を憂慮する県民の声は、今の政治が教育基本法や憲法の改正に突き進むのではないかとする懸念とも連動する。
憲法をめぐっては、自民、民主両党とも改正に向けて動きだしており、小泉首相は2年後の自民党結党50周年に合わせ、改正草案をまとめるよう指示。民主党もマニフェスト(政権公約)で「論憲」から「創憲」に踏み込んだ。
憲法に関する県民世論は、「議論はいいが結論を急ぐべきではない」が56・7%と圧倒的。戦後も半世紀以上が経過する中で、県民は時代の変化に応じた議論の必要性は認めている。だが、自衛隊の海外派遣などと重ね、「戦争ができる国にしようとしている」(高知市、30代女性)といった反対も根強い。
一方で憲法も「不磨の大典」ではないとする意識がじわりと広がっているのも確か。その意味で今回の総選挙は、後世から「国の針路の分岐点」と位置付けられる可能性を持つ。
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緊急世論調査では、景気回復や社会保障制度など日々の生活に不安を抱え、治安を含めた平和にも敏感になっている県民意識が浮き彫りになった。あらゆる意味で「岐路」「曲がり角」に立つ国を政治はどこへどう導くのか。かじを取る政権の形を決める審判の日まであと6日――。
【写真】インド洋へ向け横須賀港を出航するイージス艦(14年12月16日、共同)
(衆院選取材班)
=おわり=
2003年11月3日朝刊掲載
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