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99年4月27日(火)<朝刊>
統一選後半の回顧 室戸・宿毛市議選と3首長選
<土佐山村長選> 門田氏の安定感評価 女性パワーも原動力か
十六年ぶりとなった土佐郡土佐山村長選は、前助役の門田博文氏(54)が前村議会議長の高橋英雄氏(51)を破り、新人対決を制した。バランスのとれた施策で“元気村”を内外にアピールしてきた現村政を受け継ぎ、新世紀につなぐけん引役に、村民は門田氏の豊富な行政経験に基づく安定感を評価したと言える。
早くから組織づくりに入った門田氏は、出身地区を中心に徐々に支持を拡大。村職員時代に培った県などとのパイプを生かした施策充実などを訴えたことが、結果として幅広い世代の支持につながった。ソフトな人当たりなどで特に女性層の支持は高く、予想を上回る二百七十八票差がついたことを、女性パワーの勝利と見る村民も少なくない。
一方、議員経験と行動力を訴えた高橋氏は、村内有志や県議らの支持を受けて組織づくりを進めたが、当初からやや劣勢が伝えられていた。村議六期の選挙経験を生かして地道な地域回りを続け、告示後は「互角に近づいた」との見方も出ていたが、及ばなかった。
介護保険対応や乳幼児施設充実など福祉分野のほか林業対策、農業振興など中山間地に共通する課題が山積する。今後は六年間余りの助役時代に現村長の補佐役に徹してきた門田氏が、いかに独自カラーを打ち出していくかが問われる。
まず庁内では空席になっている助役を含め、活力を生む人事政策、村民に対しては「村づくりは人づくり」の実践をどのような手法で進めていくかだ。(地方部・島崎尚彦)
<池川町長選> 三浦氏の人柄が浸透 町民納得の事業展開を
吾川郡池川町長選は、三浦敏孝氏(53)が大原儀郎氏(63)を破り、初当選を果たした。告示直前に選挙戦の決まった“短期決戦”のポイントは、技術者の覚せい剤所持事件が発覚したインターネット計画の責任と、告示六日前に出馬表明した大原氏の態度を町民がいかに判断するかだった。
早くから町長候補に名前の上がった両氏は町づくりで協議を重ね、一月には地場産業の振興策で合意。大原氏は町長選の不出馬を公言してきたが、四月十四日の事件発覚とほぼ同時に急きょ出馬表明した。
同計画の担当課長だった三浦氏に事件は逆風となったが、自身の責任を認めた上で事業の必要性を説明。企業誘致による若者定住などの具体策を提示し、結果的に誠実な人柄が浸透した。山崎節郎町長らを中心とする強力な後援会も引き締めに成功し、後半になって組織力を発揮した。
一方、大原氏は知名度に定評があっただけに、支持者から「最初から出馬表明すれば良かったのに」といぶかる声も。一連の行動を“策略”と受け止める向きもあり、票の伸びに限界が出てしまった。
三浦新町長の直面する課題は多い。インターネット計画は完全な解決を見ないまま引き継ぐことになるが、事件で計画継続への町民合意も揺らいでいる。また、箱物の建設ラッシュによる財政難の時期は目前。単なる後継候補に終わらずに、町民が納得できる事業展開を期待したい。
任期は五月一日から。(佐川支局・池 一宏)
<西土佐村長選> 農業保護政策に支持 閉そく感が交代を促す
幡多郡西土佐村長選は、三月に出馬表明した新人の宮畠耕三氏(65)が、現職で三選を目指した井上一氏(66)を三十五票差で破った。村民は「一次産業、特に農業への手厚い保護による所得向上」を訴えた宮畠氏に村政を託した。一次産業の低迷によって村民の間に広がる閉そく感が新旧交代の追い風になったと言えるだろう。
井上氏が昨年九月に出馬表明して以降、無投票がささやかれていた。しかし保守派の強力な後押しを受けた宮畠氏が「ノー」を宣言。実質的な保革連合対保守の激しい一騎打ちとなった。
地区ごとに支持がはっきり分かれたのが今回の特徴。現職が圧倒的に有利と伝えられた地区もあった。しかし、宮畠氏は厚い保守票と現職への批判票を取り込み千五百二十四票で逃げ切った。
新村長の最初の壁となりそうなのは、し尿処理場の建設問題。厚生省が海洋投棄全廃を打ち出している二〇〇二年度まで秒読みに入っている。公約に掲げた農産物の価格補給金の増額についても、基金の果実で賄っている補給金は低金利によって多くを望めず、制度自体の見直しも迫られている。
アロエ栽培事業の経営不振、一次産業の後継者不足など課題は山積。一方で、井上村政が残した積極的な福祉施策や四万十楽舎などをどう引き継ぎ、発展させていくかも問われよう。新風を求める村民の期待にどこまでこたえられるか、厳しい挑戦が待ち受けている。(幡多支社・松木 潤)
<室戸市議選> 新人 予想通りの強さ
現職十七人、元職一人、新人五人で争われた室戸市議選は新人全員が当選を果たす一方、現職三人が涙をのんだ。明確な争点もなかったことから投票率は前回(八〇・四三%)を〇・四七ポイント下回る七九・九六%にとどまった。
定数が二減となり、上位の得票が八百票を超して当選ラインが上昇した中で、谷口耕一氏や公明党の堺喜久美氏ら新人が予想通りの強さを見せた。出馬表明の遅れた桜井寅善氏も海洋深層水取水管敷設工事が進む高岡地区で漁業関係者の支持を獲得した。
新人では市民オンブズマン活動を展開してきた沢山保太郎氏も六百票を超す得票で当選。市政・議会への批判の根強さを印象付けた。
昨秋の市長選の戦いの構図も微妙に影響した。武井啓平市長の支援に回った現職の田口数敏氏や谷口氏が上位、中位で当選。出遅れが指摘されていた浅津憲三氏も二十番目に滑り込んだ。与党会派結成に向けた動きが本格化しそうだ。
地域別では、激戦とみられた室戸岬町で全員が当選したものの、佐喜浜町で一人が落選。羽根町や室津・浮津でも当選は堅いとみられた現職二人が落選した。票田の重なる候補が得票を大幅に伸ばしたあおりといえる。
組織議会は五月十三日の予定。武井市長に対しては、新議員の大半が「是々非々で」と話しており、今後の関心は議会運営に移る。(室戸支局・日比野健吾)
<宿毛市議選> 世代交代一気に進む
二十三人が激戦を繰り広げた宿毛市議選(定数二十)は、現職十三人、元職一人、新人六人が当選を決めた。有力新人の多い三人落ちの構図や、過去最多の女性三人の立候補も影響して、投票率は過去最低だった前回(八三・七六%)を三・三七ポイント上回った。
政党別では自民六人、公明、共産、社民各一人、無所属十一人。自民、社民はいずれも現職の当選で前回議席を確保。公明は引退した現職の地盤を引き継ぐ新人が議席を維持した。二議席だった共産は、推薦候補が予想外の得票を記録した昨年十一月の市長選挙ほどには票が伸びず、一議席減らした。
今回は新人の健闘が目立った。七人のうち六人までが当選し、世代交代が一気に進んだ。中でも浦尻和伸氏が千六十二票でトップ当選したのをはじめ、六人全員が十五位以上で当選し、若さや未知の魅力への期待の高さをうかがわせた。
一方、現職は有田千寿氏が前回同様に一千票台を維持したほか、山本幸雄氏、西村六男氏、田村剛基氏のベテラン組が上位当選。元職の岡崎求氏も三位で返り咲くなど底力を見せたが全体では守りの立場から新人の勢いに押された感が強い。
六期目を迎えた林遉市政に対し、世代交代が進んだ議会がどういった勢力構図をつくるかが注目される。現職、新人とも行政のチェック機関や市民の代弁者として、これまで以上に活発な議会運営を期待したい。
組織議会は五月十日の予定。(宿毛支局・小林 司)
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