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'99統一地方選    市町村長・議員選

99年4月26日(月)<夕刊>

政策の違い見えず 高知市議選の総括と展望

 史上最少タイの四十九人で四十議席を争う少数激戦となった「'99統一地方選・高知」後半戦の焦点、高知市議選は、二十五日投開票され、二十一世紀の県都をけん引する新たな顔触れが決まった。構成は公明、共産が各八、自民四、社民、民主が各三、新社会一、無所属十三。共産、民主が勢力を伸ばし、自民、社民が後退して会派再編の可能性もはらむ結果となった。一方、投票率は低落傾向に歯止めが掛からず、史上初めて五〇%を割る深刻な事態に。県都・市議選を総括し、今後を展望した。

開票作業を進める高知市職員。今回は同市議選史上初めて5割以上の有権者が棄権した(高知市の県民体育館)  深刻な低投票率

 今回の高知市議選は、昨年秋の市長選で圧勝、安定感を増した二期目の松尾市政の下で戦われたが、争点の乏しさなどから地力に勝る現職が優位に展開した。立候補した現職三十一人のうち三十人が当選。三千票を上回った上位八人を現職が占めたのも、ほぼ予想通りの結果といえる。

 こうした展開の中、投票率は、公選法改正による条件整備があったにもかかわらず、過去最低の四七・一八%にまで低落する深刻な事態となった。

 「再挑戦の新人が多く新味がなかった」との指摘もあるが、最大の要因はむしろ、「候補者の政策が分からない」との有権者の声に集約されるだろう。

 同市議会は昨年の市長選以降、共産を除く総与党態勢が確立。執行部に対する総論賛成の立場の中で、各党の政策の違いは極めて見えにくい。「相乗り」で政党の個性が埋没するのは全国的な傾向だが、市政課題は山積しながら明確な争点を欠く選挙になったこともこれと無関係ではない。

 ただ最も身近な市議選でさえ過半数が棄権した現実には、有権者側も反省すべき余地がある。地方分権に伴い、自己責任と一層の自治意識が求められる時代とあれば、なおさらだ。

 共産、民主の躍進

 党派別でみると、まず唯一の野党・共産が県議選の余勢をかって過去最多タイの八議席を獲得したのが目立つ。定数四十になって初の八議席は意味が重く、各常任委員会に二人ずつを配置できるなど議会内の発言力が増しそうだ。

 公明は現有八議席を維持。全員が中位以上で当選する手堅さをみせた。合計票も前回より微増。衆院選高知1区を考えればもう一歩の伸びが欲しかっただろうが、共産同様、低投票率の中で基礎票の固さがものをいったといえる。

 自民は現職四人が当選したが一減。大量得票した保守系の無所属勢がおり単純に比較はできないが、今回も公認が五人(前回は三人)にとどまり、政権政党として市議会内に占める位置付けとしては依然として課題を残している。

 県議選で不振だった旧社会党勢力は明暗を分けた。社民は引退議員に加え、新社会現職との地盤争いに敗れた私鉄総連系の現職を落として二減。推薦した新人が当選して実質は一減だが、またも労組勢力の退潮ぶりを反映した。

 民主は一増の三議席を獲得した。特に新人は労組の支援を受けず、政策活動の広がりを背景に当選。党基盤はまだ弱いものの、党として目指す方向性に一定の明るさを見いだした。

 無所属は保守系現職が強さを見せた一方、旧同盟系の踏ん張りが目を引いた。四電労組出身の現職とゼンセン同盟の新人がともに上位当選。県議選で旧民社の議席を失った「逆バネ」が十分に働いた格好だ。

 政治参画を目指す女性の新人候補二人は「風」を起こせなかったが、日常活動が始動したばかり。今後の活動に期待したい。

 議論の活性化を

 今後の焦点となる会派再編は、勢力を拡大した民主の動向がカギを握りそうだ。同党を取り巻く環境としては、新・民主党の結成を受け、将来の統一歩調を念頭に昨年五月、旧同盟系が「民主党県連合会」を設立した経緯がある。

 しかし議会内では、旧同盟系現職は保守系の「新風クラブ」に所属し、民主現職は社民、新社会と「社民・市民連合」に同居しているのが現状だ。民主には旧社会党三党の集票力が先細る中、独自の政策を鮮明にしたい意向もあるが、議員間の人間関係も絡んで、流動的な要素をはらむ。また保守系二会派も改選を機に、再編が進む可能性がある。

 いずれにせよ、共産を除く総与党態勢は不動の情勢だ。ただ深刻な低投票率をみても、課題によっては是々非々の姿勢をより鮮明にし、議会論議を活性化させていく必要がある。政策提言能力の強化も含めて議会改革に着手した同市議会だが、継続的な努力を怠れば、最も身近なはずの市政レベルで政治離れがさらに進む恐れがある。四十人の新しい議員に望んでおきたいのは、自己研さんだ。(政治部・半田裕一)

 【写真】開票作業を進める高知市職員。今回は同市議選史上初めて5割以上の有権者が棄権した(高知市の県民体育館)




99年4月26日(月)<朝刊>

新世紀へ歓喜の声 新しい力胎動も

 '99統一地方選挙・高知の後半戦の土佐山村など三町村長選、高知、室戸、宿毛の三市議選、奈半利町など十四町村議選は二十五日、一斉に投票。すべての選挙が即日開票された結果、二十一世紀へつなぐ市町村行政のかじを取る町村長、議員の顔触れが決まった。

 二期連続で無投票当選している現職に新人が挑んだ西土佐村長選は、新人の元高知はた農協専務理事の宮畠耕三氏(65)が激しい接戦を制して厚い現職の壁を破り、感激の初当選を果たした。

 新人同士の激戦となった池川町長選は、前町企画課長の三浦敏孝氏(53)が、告示直前に出馬表明した新人の追撃を振り切り、うれしい勝ち名乗りを上げた。

 十六年ぶりの投票となった土佐山村長選は、新人同士の一騎打ちを制して前助役の門田博文氏(54)が順当に初当選を決めた。

 定数四十に対し史上最少タイの四十九人が争った高知市議選は二十六日午前一時三十分までに全議席が確定。共産党が過去最多に並ぶ八議席を獲得したほか、民主党が一増、公明党は現状を維持、自民、社民両党は議席を減らした。

 今回の統一選は、既に香我美町など四町村長と鏡、大川の二村議の無投票当選が決まっており、この日は計三百十四人の候補者が有権者の審判を受けた。

 西土佐は現職破り宮畠氏 池川は三浦氏、土佐山は門田氏

 開票は午後九時から九時四十分にかけて各市町村で始まった。作業は順調に進み、午後十時十三分に、池川町長選で三浦氏が初当選を決めたのを皮切りに、新しい町村長、市町村議が次々と決まった。

 西土佐村は、新人の宮畠氏が三選を目指す現職、井上一氏(66)を選挙戦に入って猛追。開票率九五・三九%の四回目の発表(午後十時二十分)まで千四百五十票で並ぶデッドヒートが続いたが、十時半の最終発表で宮畠氏がわずか三十五票差で振り切った。宮畠氏は保守層の支持を柱に、現村政に対する批判票を広く集めたのが奏功。井上氏は、これまで無投票続きで選挙戦が初めてだったことも響いた。

 池川町も、三浦氏と元議長の大原儀郎氏(63)の新人同士が激しい競り合いを演じた。しかし山崎節郎町長の支持母体を受け継ぎ、実務経験を基に活性化策を訴えた三浦氏が、五回目の発表で半数を突破。二百四十票差で初当選を果たした。大原氏はいったん表明した不出馬を覆したことなどが響いたとみられる。

 土佐山村は豊富な行政経験を持つ前助役の門田氏と、行動力を訴えた前議長の高橋英雄氏(51)の両新人が村内を二分する選挙戦を展開したが、安定感のある門田氏が若者や女性層を中心に幅広い支持を集め、二百七十八票の大差で快勝した。

 高知市議選 現職勢が強み発揮 投票率 初の50%割れ

 高知市議選は二十五日、同市桟橋通の県民体育館で、午後九時半から開票を開始。優位な戦いが伝えられた現職勢が同十時三十五分、早々と当確を決めたのを皮切りに、有力視されていた新人らも続々と当選圏入りし、二十一世紀の県都をけん引する市議会の議席が次々と確定した。政党別では公明が現有議席を維持し、自民が一減となり、民主は一増。社民は一人を落とし、引退一人と合わせ現有勢力より二減。共産は県議選の勢いに乗り過去最多タイの八議席を獲得した。

 焦点の投票率の動向は、公選法改正による投票時間の延長、不在者投票の要件緩和がありながら、前回を三・三七ポイント下回る四七・一八%にとどまり、史上初めて五〇%を割り込む深刻な事態となった。

 同市議選は、昨年秋の市長選で圧勝した松尾徹人市長の安定感や、争点の乏しさなどから、地力に勝る現職勢が優位に展開。当落線上は無所属を中心とする新人らの混戦になり、改選後の会派再編の観点から、どの候補者が抜け出すかが注目された。

 開票作業は順調に進み、午後十時三十五分の二回目の開票速報で、前回トップ当選の田中健、同じく三位の藤沢朋洋の無所属現職二氏が抜け出て早々と当確を決めた。

 この後、現職や新人が続々と当選圏内入りを果たし、最後の一議席は一千九百票をめぐって自民現職の島崎利幸氏と無所属新人の上田貢太郎氏がデッドヒートを展開。二十六日午前一時三十分、島崎氏がわずか十五票差で競り勝った。

 改選の結果、党派別では八人を擁立した公明は手堅く全員が当選し、現状を維持。ベテランが引退した自民は新人を落として一減となった。民主は新人一人を加えて勢力を拡大し、新社会は一議席を死守。社民は引退一人に加えてベテランを落とし、現有議席より二減と勢力を後退させた。県議選の余勢をかった共産は、平成三年の改選(定数四十四)と並ぶ過去最多の八議席を回復した。

 無所属候補は現職勢が強みをみせ、続々上位で当選。県議会の議席を失った旧民社系では現職の西村和也氏に加え、新人の岡崎豊氏も支援労組が踏ん張りをみせ、かつての二議席を回復した。

 新人では前回に続いての再挑戦となる保守系の戸田二郎氏、同じく社民党の推薦を受けた浜田拓氏らが念願の議席を獲得した。

 女性の政治参画などを掲げた無所属の女性新人二人は届かなかった。

 二期目の松尾高知市政は、共産党を除く総与党態勢で推移。改選後もその大枠は不動ながら、分裂状態の保守系二会派、旧社会党勢力が同居する社民・市民連合を軸に一定の会派再編が促されるとみられる。

 宿毛市議選 新人6人当選

 二十三人が立候補した宿毛市議選(定数二十)は、午後九時半から宿毛小体育館で開票が行われた。三人落ちの激戦を反映して投票率は八七・一三%と、過去最低だった前回(八三・七六%)を三・三七ポイント上回った。

 午後十一時半の発表で、六人が五百票を突破したのを皮切りに次々と当確を決め、二十六日午前一時十分、全議席が決まった。

 当選者の内訳は現職十三人、元職一人、新人六人。政党別では自民六人、共産、社民、公明が各一人。共産は一議席減らした。無所属は十一人。

 女性候補は過去最多の三人が立候補したが、当選は新人一人にとどまり、現職と新人が涙をのんだ。

 室戸市議選 現職3人落選

 室戸市議選(定数二十)は現職十七人、元職一人、新人五人による争い。有力新人が多かったことや、定数が二削減されたことから現職三人が落選する結果となった。

 開票は午後九時半、市役所二階の会議室でスタート。一階には大型スクリーンが設置され、二十分ごとに速報が発表された。

 午後十一時四十分、一気に六百票に届いた林竹松氏や田口数敏氏が当選確実に。注目された沢山保太郎氏らも続き、結局現職十四人、元職一人、新人五人が当選した。開票終了は二十六日午前二時十分と高知市議選よりも遅くなった。

 投票率は前回(八〇・四三%)を〇・四七ポイント下回る七九・九六%だった。


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