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12月1日付・高知新聞朝刊

高知市長に岡崎氏 堅実な行政手腕選択

 松尾徹人前市長の辞職に伴う高知市長選挙は30日、投票が行われ、即日開票の結果、無所属新人で前市産業振興部副部長の岡崎誠也氏(50)=民主・社民推薦、公明県本部支持=が約7万8000票を獲得、食材卸会社社長の岡内啓明(55)、毎日新聞社元高知支局記者の関谷徳(42)の無所属新人2氏を大差で抑え、初当選を果たした。選挙ムードは知事選に埋没気味で最後まで低調だったが、投票率は知事選にほぼ連動し、57・71%。同じ三つどもえの構図だった昨年10月の市長選を18・48ポイント大幅に上回った。戦後7人目の高知市長となる岡崎氏の任期は11月30日からとなる。

 投票は30日午前7時から午後8時まで、市内69カ所の投票所で一斉に実施。開票は午後9時半から同市桟橋通2丁目の県民体育館で始まり、同10時2分、1回目の経過発表直後に岡崎氏が早々と当確。その後、大きく票差を広げて当選を決めた。

 今回の市長選は、昨年10月に3選を果たした松尾前市長が、知事選出馬で辞職したため実施された異例の「連年選挙」。

 約9年間の松尾市政を踏まえ、3候補が示す県都の将来ビジョンに、有権者がどういう判断を下すのかが最大の焦点だった。際立った争点はなかったものの、3候補が目指す市政運営の手法には明確な違いもあり、有権者の選択が注目されていた。

 初当選した岡崎氏は、松尾前市長の事実上の後継者として出馬。約28年間の市役所勤務の経験を前面に「安定した市政の継続を」と訴えるとともに、市政の最重要課題となった財政の健全化に強い決意を示し、選挙戦に臨んだ。

 また、松尾市政下で新清掃工場など予算規模の大きいプロジェクト事業がほぼ終了している状況を受け、「視点を市民の暮らしに据える」と強調。きめ細かな雇用対策や子育て支援の拡充などを打ち出し、松尾前市長が3期目で敷いた「ソフト重視路線」を着実に推進する考えも示した。

 陣営の態勢も、無所属ながら民主、社民両党が推薦し、公明党も県本部レベルで支持。自民党も市議会の会派レベルで支援し、共産党を除く4党に連合高知も加わる分厚い支援態勢を構築。終始優位に選挙戦を進め、初陣を飾った。

 対する岡内氏は、民間の感覚を取り入れた「行政経営」を懸命にアピール。会社経営でつながりのある食品や流通業界だけにとどまらない幅広い企業から支援を取り付けたほか、女性の草の根グループが活発に動き、ネットワーク型の戦いを徹底展開した。しかし、公選法による後援会活動の制約なども影響し、大きなうねりを起こすまでには至らず、涙をのんだ。

 関谷氏も政党などに頼らない草の根型で挑戦。橋本大二郎知事を強く意識した「県市の連携強化」を政策の最重点に浸透を図ったが、出馬表明が告示の11日前と出遅れ。陣営の手勢不足もあって運動の広がりを欠き、及ばなかった。

 【写真】高知市長選で初当選を果たし、胴上げされる岡崎誠也氏(同市本町3丁目)

 「即戦力」理解された 岡崎誠也新市長の話

 短い選挙期間、知名度もなく、自分の政策が理解されるか不安だった。しかし、28年間の行政経験を前面に、「即戦力」は私しかいないという訴えが幅広い年齢層に理解していただいた結果だと思っている。

 市政は一時の停滞も許されない。財政再建を一番に、雇用対策、産業振興、福祉、防災対策など重要施策をきちっと整理していく。県政と連携してしこりを残さず、県勢浮揚につなげていく。厳しい時代だが、市民に少しでも幸せを感じてもらえる市政にまい進する。

 岡崎 誠也氏(50) 無所属・新@ (民主・社民推薦 公明県本部支持) 青山学院大経済学部卒。昭和50年高知市役所入り。平成9年から財政、企画調整、観光の各課長、産業振興部副部長兼産業政策課長を歴任し、10月17日退職。宿毛市出身。高知市朝倉南町。当選1回。

 財政健全化へ道筋を

 解説 高知市民は新たな県都のかじ取り役に、行政手腕を最大の“武器”とする岡崎誠也氏を選んだ。「即戦力」をうたう岡崎氏には、安定感を持った着実な市政運営が求められる。

 松尾徹人前市長が岡崎氏を“後継指名”したのは、市政全般に精通していたからだが、共産党を除く市議会の各会派が岡崎氏を推薦した理由は、財政の健全化を期待したからにほかならない。

 平成6年10月に誕生した松尾市政は、昭和26年以降、11期連続、43年半続いた革新市政に終止符を打ち、遅れていた社会資本整備を一気に進めた。しかし、その“代償”として市民から「借金を増やした」と批判を浴びた。

 9―11年度に財政課長を務めた岡崎氏は「松尾市政は箱物建設に目を奪われがちだが、高齢者福祉なども充実させた」と反論。一方で「松尾市政は大型のハード事業整備の時期と重なり、市民が市政に距離感を持ったかもしれない」と率直な本音も漏らした。

 それだけに、公約に盛り込んだ新たな財政健全化計画の策定が岡崎市政の最優先課題となる。

 「これ以上、借金は増やさない」という強い決意を示した上で、福祉や教育、環境など市民生活に密着した施策をいかに充実させるか。松尾市政は3期目にハードからソフトへかじを切っており、岡崎氏の圧勝はその路線をある程度信任した結果ともいえる。

 それにしても今回の選挙戦は、最後まで盛り上がりを欠いた。

 激戦だった知事選が影響したとはいえ、政策や人柄の浸透よりも、知名度アップが優先される戦いでは、市民の関心が高まらないのは当然。今回は「突発選挙」でやむを得ない面もあるが、これからは知事、市長のどちらかに途中辞職でもない限り、常にダブル選挙になる可能性が高い。

 岡崎氏が、政党や団体の組織力をフル活用した選挙戦を振り返れば、最初から「地力の差」で岡内啓明、関谷徳両氏を引き離していた。しかし、政策的な争点が鮮明になれば、もう少しムードは上向いていたかもしれない。政策論争なき選挙で市長が決まるのは、市政にとって大きなマイナスだ。

 県都行政には財政運営以外にも、雇用対策とも密接にかかわる産業振興や南海地震対策、さらには17年1月を目標に進んでいる市町村合併など課題が山積している。分権・自治の担い手としての市役所改革も待ったなしで、市政には一刻の停滞も許されない。

 岡崎氏は行政経験は豊富だが、政治家としての手腕は未知数。新市長に課せられた使命は重く、市民も新たな市政の始まりを自覚し、岡崎市政の動向を注意深く見守る必要がある。(政治部・浜田成和


新高知市長、岡崎さん 市政前進へ公約実行

 新人三つどもえの’03高知市長選は30日の投開票の結果、前市産業振興部副部長の岡崎誠也さん(50)が初当選を果たした。前市長の県知事選出馬に伴う“突発選挙”。訴えを十分浸透させるには厳しい短期決戦だったが、ふたを開ければ、豊富な行政経験を前面に押し出した岡崎さんが他候補を大きく引き離し歓喜のゴール。県都の夜空に「セイヤー」の勝ちどきをとどろかせた。

 開票が始まって早々に当確の報が流れると、本町3丁目の岡崎さんの事務所は大きな拍手で沸いた。「圧勝じゃあ」。党派を超えた多くの市議らが集結した「大連合艦隊」の面目躍如の結果に、喝さいが起きた。

 直後、事務所近くの大橋通商店街に妻の美智子さん、一人娘の史奈乃さんと姿を現した岡崎さん。「これほどの応援、ありがとうございます」と両手を振った。

 悩み抜いた末の出馬だった。松尾徹人前市長からの4度目の要請で吹っ切れた。「それほど自分は求められているのか」―。「これと決めたら真っすぐ突き進む」性格。10月17日付で辞表を提出すると、最初から全速で走り始めた。

 問題は知名度だった。「岡崎誠也を覚えてください」。舌戦突入後、選挙カーに手を振る人が日増しに多くなっている、と手応えを感じた。

 「(市役所勤務28年の)即戦力に広い支持を頂いた。明日からきっちり、市政前進へ公約を仕上げていきます」。32万市民の新リーダーは、自分に言い聞かせるように決意を語った。

 岡内さん 残念だが悔いなし

 「民間の感性を市政に生かそう」と変革を叫び続けた7日間。だが、岡内啓明さん(55)の熱い訴えは届かなかった。

 岡崎さんの「当確」が流れた後、岡内さんは本町2丁目の事務所に。約60人の支持者を前に、さばさばした表情で「皆さんの熱いお心、お力にエネルギーを頂いた。力及ばず、残念な結果になったが、悔いはありません」と敗戦の弁。

 「支えてくださってありがとう」。涙ぐみ、うつむく支持者を励ますように一人ひとりと握手を交わし労をねぎらった。
 【写真】支持者一人ひとりと握手して労をねぎらう岡内さん(高知市本町2丁目)

 関谷さん 問題提起は十分できた

 新聞記者を休職し、独自の「草の根」選挙を展開した関谷徳さん(42)。健闘したものの、「取材実行型市政」の実現はならなかった。

 上町5丁目の事務所で関谷さんは「組織選挙に一石を投じ、市民への問題提起は十分できたと思う。本当にありがとうございました」とあいさつ。厳しい戦いを「手作り」で支え続けた運動員らに深々と頭を下げた。


高知市長選 投票率知事選に連動57.71%

 30日行われた高知市長選の投票率は、ダブルで行われた知事選(高知市分58・25%)にほぼ連動し、57・71%(男54・14%、女60・72%)。過去2番目の低率を記録した前回14年の市長選(39・23%)からは18・48ポイントと大幅に上昇したが、無効票が7155票にも上り、投票総数の4・75%を占めた。

 態度を決めかねた有権者の多くが、棄権は避けたものの無効票で意思表示した格好で、無効票の数は知事選(1004票)の実に7・13倍。前回市長選での比率(0・66%)も大きく上回った。

 11月9日に衆院選が行われたほか、前市長辞職に伴う突発のダブル選挙となったため、新人3候補の知名度は十分浸透せずじまい。こうした特殊事情から知事選投票率との落差が懸念されていたが、投票率の下落自体は0・54ポイントにとどまった。

 無効票の内訳は、白票が4703、雑事記載が928、記号・符号記載が908、候補者以外の氏名記載が563、その他53。

 投票事務に携わった市職員によると、投票を終えた後で「市長選では誰に投票していいか分からなかった」と話す人も多かったという。

 当日有権者数は26万1104人(男11万9253人、女14万1851人)。うち投票者総数は15万690人(男6万4564人、女8万6126人)。


12月1日付・高知新聞夕刊

「市政前進に全力」 岡崎・高知市長が初登庁

 11月30日投開票の高知市長選挙で初当選した岡崎誠也市長(50)が1日朝、早速、初登庁。1カ月半前まで市産業振興部副部長を務め、新たに市役所に舞い戻った新市長を職員らが盛大な拍手で出迎えた。

 岡崎市長は午前8時20分すぎ、黒っぽいスーツにピンクのネクタイ姿で市役所玄関前に到着。待ち受けた市職員らから受け取った花束を両手で高く掲げ、晴れやかな表情で「ただいま帰ってまいりました。ありがとうございます」と力強くあいさつした。

 握手攻めに合いながら3階の市長室に入ると、「このいすに座るとは、2カ月前まで思ってもみなかった。人生、分からないものです」。

 この後、市役所たかじょう庁舎の会議室で課長以上の職員約140人を前に訓示。「今から『岡崎市政』が始まる。皆さんの経験と知恵を結集し、市民の暮らしにもう一度視点を置いて、市政前進のために全力で働く」と決意を述べ、午前中には「お堀」を渡って吉良史子副知事らへあいさつに出向いた。

 【写真】花束を高々と掲げて初登庁する岡崎誠也新市長(高知市役所)


県市協調し県都発展へ 岡崎高知市長の抱負

 30日投開票された高知市長選で、新人の岡崎誠也氏(50)が初当選した。松尾市政を継承し、これまで培った行政手腕を振るうことになるが、厳しい財政や雇用対策、中心街の活性化、予想される南海地震への備えといった諸課題にどう取り組み、県都の将来ビジョンをどう描いていくのか。当選直後の30日夜、岡崎氏に宮田速雄・本社編集局次長兼報道センター長がインタビューした。

 【写真】初陣を飾り、市政への抱負を語る岡崎誠也氏(本社応接室)

 ―おめでとうございます。一市職員からいきなりトップになられたわけですが。

 本当に、2カ月前までは3300人の中の一人の職員だったのですが。人生、自分だけの考えでは決められない重要なことが起きます。大きな決断でした。

 ―1週間という非常に短い選挙期間でしたが、有権者の思いをどう受け止められましたか。

 少しでも生活を、景気を、よくしてもらいたいという切実な声を聞き、雇用対策、産業振興を重点的に訴えさせていただきました。

 ―松尾前市長から市政を託された形ですが、選挙期間中、松尾市政の見直すべきところは見直すと言われていました。

 市政は継続性、安定性が基本的に求められますから、今、取り組んでいる最中の重点施策はきちんと仕上げるのが使命だと思っています。ただ、私が後継に指名され、多くの市民の皆さんに支援されたのは、一つには財政の健全化が大きな要因だと思います。私が財政課長をやっていた当時よりも、今は税収がかなり落ち込み、財政を逼迫(ひっぱく)させています。9年間松尾市政を支えてきて、見直すべきだと感じた点を、私なりの視点で、組み立て直したいと考えています。

 ―具体的には?

 これから着手予定の事業の中で、優先順位を組み替えたり、場合によっては中止をすることもあり得るということです。ただ、今やりかけの重点施策を途中でやめるということはありません。

 ―景気、雇用対策についてはどうですか。

 高知市の失業率を全国平均と比べると、15歳から25歳の青年層が約2倍です。国の制度も導入しながら、場合によっては市単独の予算もつぎ込んで改善を図っていくべきと考えています。

 ―高知西武の跡地やシネコン問題も含め、深刻な中心商店街の地盤沈下については?  大橋通から帯屋町を抜け、播磨屋橋、そして菜園場に至るまで、それによく飲みに行く柳町。そこには回遊性があり、いろんな人の出会いがあります。この街を、全国にない、高知の顔だと私は認識しています。課題は幾つかありますが、一つには、非常に増えている空き店舗対策を、もう少しきめ細かくやる必要があります。そして、高知西武の跡地問題。これは県市が協調して、早急に、商業施設という形で営業再開できるように手を打たねばと考えています。

 ―県市協調という言葉が出ました。橋本県政とはどういうスタンスで臨まれますか。

 この9年間、高知駅周辺の区画整理事業など、県市が分担し合いながら街づくりを進めてきました。今回の知事選は激烈な戦いになりましたが、そのしこりを残してはいけないと高知市長の立場から強く思います。当然、私は県都の発展を通じて県勢の浮揚を図るのが使命ですから、県と手を携えていく考えです。

 ―南海地震対策も含め、防災にはどう取り組まれますか。

 地震から市民の皆さんの命、財産を守るための施策にこれからの4年間で着手することが非常に大事と思っています。具体的には、第一に避難場所となる学校などの公共施設の耐震化。次に、市内には東西に幾つかの橋が架かっていますが、この橋が落ちると、後の救援活動やライフラインが断たれますので、その橋を含めた耐震化を考えています。さらに、耐震性が弱いとされる昭和56年以前の住宅が密集している地域、例えば旭、旧下知地区などの安全性を高めていくことが緊急の課題だと考えています。

 ―最後に合併問題について。春野町の住民投票で合併推進派が6対4で勝利しました。この結果をどう受け止めますか。

 土佐山村、鏡村との17年の合併に向けたスケジュールも非常にきつい中で進んでいますので、その中に春野町を組み込めるかという問題がまずあります。ただ、住民投票が終わったばかりなので、もう少し、春野町の具体的な考え方をお聞きしたいと思っています。


 公約は絶対実行を 橋本知事、岡崎新高知市長に望む

 県知事選と、これに連動して行われた高知市長選。11月30日の投開票で県の顔に4たび橋本大二郎さん、県都のリーダーに新たに岡崎誠也さんが選ばれた。選挙結果や両氏に寄せる期待など、県民、高知市民の声を拾った。

 注目を集めた県知事選に比べ、高知市長選は「印象が薄い」「誰に入れるか投票に困った」「(候補者のことを)よく知らない。公約も分からんかった」という反応が目立った。

 「(岡崎さんには)あまり期待していない。彼は市役所出身。無難にやるだろうが、ガツンと面白いことはしないと思う」という同市の男性会社員(24)。

 3年前に東京からUターンし、家業を継いだ同市中心商店街の商店主(39)は「新市長は松尾市政の踏襲が明らかで、変革を起こす期待感は薄い」としつつ、「市としては動きにくいだろうが、高知西武の跡地問題の方向性を示してほしい。小さくても光る特化した経済施策を」と求めた。

 高知市の女性会社員(25)は「集客力を狙った若者に受ける街だと私たちはうれしい。同時にバリアフリー化を進めるなど弱者に優しい、ゆったりとした街にもしてほしい」と期待を込めた。


 高知市長選 担当記者座談会

 岡崎氏、組織力で圧倒

  高知市長選は約7万8000票を獲得した岡崎が、岡内、関谷を圧倒して初当選を果たした。得票率は岡崎54・09%、岡内29・62%、関谷16・29%。この結果をどう見る?

  草の根型の岡内、関谷に対し、岡崎は徹底した組織戦を展開。共産党を除く市議会各会派と労組が支援した「連合艦隊」型の割に、得票率は低いのではないか。

  しかし、得票自体は陣営の“基礎体力”を超えている。岡崎自身、「松尾票だけでは勝てない」と自ら建設業界にもアプローチ。活発に動いた部落解放同盟をはじめ、団体推薦は岡内を大きく引き離していた。

  松尾との距離感も絶妙だったね。「全面継承ではなく、見直すべき点は見直す」と訴え、社共が混在する市職労の実質支援も取り付けた。

  でも、戦い自体は分厚い陣立てだっただけに、楽観ムードとは言わないまでも、危機感は感じられなかったね。知事選終盤は松尾の追い上げムードが高まり、岡崎に力が入らない市議もいたよ。

  組織力の勝利には違いないが、岡崎本人の市民に対するアピール度はどうだったのか。

  演説は徐々にうまくなっていたと思う。でも、行政手腕を強調するあまり、「民間人では市政が停滞する」という趣旨の発言をしていた。これはどうかな。行政に対する批判は根強いだけに、違和感を感じた市民もいた。

  松尾と同じ枠組みのみこしに乗った岡崎は、議会運営に関しても心配してないだろうが、政治家としての力量は未知数。自ら「即戦力」をアピールする以上、早速、12月議会や来年度の予算編成で手腕が問われる。

  課題は何といっても財政の健全化だ。岡内、関谷ともやり玉に挙げた「2400億円の借金」を抱えながら、どう市民の暮らしを豊かにするのか。今回の選挙であらためて財政問題にスポットが当たっただけに、市民も関心を持ち続けてほしいね。

  岡内は企業経営者を中心に浸透を図ったが、及ばなかった。

  岡崎を意識し、「行政手腕か、経営感覚か」と挑む構図は分かりやすかった。個人演説会の動員力も岡崎に負けていなかったし、堂々とした演説も聞かせたよ。

  しかし、結果的に支援企業への浸透が不十分だったんだろう。「選挙にかかわるのは初めて」というスタッフが多く、仕方のない面もある。

  何より想定外だったのは、関谷の出馬だ。岡内は当初、橋本色を鮮明にしていなかったが、橋本に近い経済人が出馬を促した経緯から、橋本―岡内、松尾―岡崎ラインで見られていたからね。だから、橋本支持を明確に打ち出した関谷の出馬に戸惑った。

  途中から岡内も橋本の個人演説会などに顔を出し、“接近”を試みたが、最後まで距離感は中途半端だったね。いま考えると、最初から橋本色を出して戦ってもよかったかもしれない。

  ただ、政党や大きな団体の支援がない限りは、どうしても草の根型の戦いになる。岡内を支援する女性の草の根グループもあったが、大きなうねりを起こすには期間も短かったし、岡内の知名度も足りなかった。

  関谷はスタッフも少なく、手作りの選挙だったが。

  政策の中心は「県市の連携」。「知事は橋本、市長は関谷」を掲げて橋本色を前面に出して戦った。「住民力」といったキーワードなど、橋本をまねた政策も目立っっていた。

  やり過ぎの感があるよ。舌戦最終日には、橋本の街頭パレードの後ろを歩いた。橋本は関谷支持を打ち出しているわけでもなく、あそこまでセットを強調されるのは迷惑だったんじゃないか。

  でも、陣営の態勢から考えると、2万3000票以上の得票は、やはり“大二郎効果”かな。

  いや、積極的に握手をしてスキンシップを図るなど、足で稼ぐスタイルも一定奏功したのだろう。

  投票率だが、知事選とのダブル効果で前回を18・48ポイントも上回る57・71%。

  投票率は上がったが、7155票という無効票の多さは前代未聞だよ。投票所に足を運んだものの、意中の人を決めかねた有権者の苦渋の選択だ。無効票を差し引いた実質の投票率は55%程度だろう。

  今回は前市長の知事選出馬に伴う「突発選挙」。3人とも新人だったし、わずか2カ月足らずでは政策や人柄の浸透はそもそも無理だよ。

  さらに衆院選、知事選と続く選挙ラッシュで、市長選が埋没してしまった。何より公職選挙法の縛りで後援会活動が十分にできず、各陣営とももどかしさを感じていた。

  県都の新しいリーダーを決める選挙なのに、じっくり候補者を見極める時間がないまま投票日を迎えたのは、有権者にとっても不幸だった。3陣営とも事前には「単独選挙なら、前回並みの40%前後では」と想定していたよ。

  投票率対策は制度的な要素も考えないといけないな。


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