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11月29日付・高知新聞朝刊

高知市長選あす投票 3陣営 支持拡大に全力

 松尾徹人前市長の辞職に伴い23日告示された戦後16回目の高知市長選挙は、29日で7日間の舌戦を終え、30日投開票される。立候補者はいずれも無所属新人で、毎日新聞社元高知支局記者の関谷徳(42)、前市産業振興部副部長の岡崎誠也(50)=民主・社民推薦、公明県本部支持=、食材卸会社社長の岡内啓明(55)の3氏(届け出順)。3陣営は選挙戦最終日も街頭演説などで支持拡大に全力を挙げ、26万余の有権者の審判を待つ。

 今回の選挙は、約9年間の松尾市政を踏まえ、3候補が示している県都の将来ビジョンに、市民がどういう判断を下すのかが最大の焦点。目指す市政運営の手法には違いもあり、有権者の選択が注目される。

 関谷氏は、草の根型の手作り選挙を展開。個人演説会は開かず、街頭演説で幅広い支持拡大に努めている。市勢発展へ「県との連携」を強調するとともに、情報公開を徹底した「隠し事のない市役所」の実現も訴えている。

 岡崎氏は、共産党を除く支援市議が選挙カーに同乗し、分厚い布陣で全市的な票の掘り起こしを狙う。行財政に通じた実績を前面に「即戦力」として浸透を図っており、財政の健全化や雇用・産業振興などに決意を示している。

 岡内氏は、支援企業や草の根グループを中心にネットワーク型の選挙戦を徹底。民間の経営感覚を取り入れた市政の実現に意欲を示し、「高知市を世界に輝く都市にする」と訴える一方、唯一の同市出身をアピールしている。

 29日まで行われる不在者投票は28日終了時で9756人と昨年10月選挙の同期比1・77倍。投票率は知事選の高知市分とほぼ連動するため、各陣営は50%台を予測している。

届いたか必死の訴え 再点検3候補の主張

候補者の訴えに、じっと耳を傾ける有権者たち。公約は浸透したか(高知市内)
 ’03高知市長選は、あっという間に舌戦最終日。短期決戦で3候補とも「まず名前を覚えてもらわねば」と知名度のアップに必死だが、連呼、連呼だけが選挙ではない。「争うべきは公約の中身」と、選挙ビラだけでなく個人演説会やつじ立ちで、練りに練った自前の政策を必死のアピール。投票日は目前。有権者の皆さん、誰がどんな訴えをしているか、ご存じですか?

 【写真】候補者の訴えに、じっと耳を傾ける有権者たち。公約は浸透したか(高知市内)

 関谷さん 市民と情報共有へ

 関谷徳さん(42)は「市民、運動員、候補者が自然体でできる選挙を」と夜間の個人演説会は一切開かず、昼間の街頭で声をからしている。

 「組織や団体が決めた候補者を選ぶのでなく、一人ひとりの意思が決めた、真の市政リーダーを」と「草の根」支援を訴えて演説が始まる。

 「約2400億円」という「市債残高」にも言及。「借金の原因は一目瞭然(りょうぜん)で、市民が求めもしない箱物が次々できているから。公共事業を頭から否定しないが、特定業者や団体に向けて血税が湯水のごとく使われている」と従来の市政を批判する。

 足を止めて聞き入る人が増えた。「市役所に取材部を設置し、皆さんの生の声を取材する職員を派遣する。“市役所新聞”を作って透明な情報を市民と共有する。改革に飛び込ませてほしい」「駐車場で眠る公用車は廃止し、タクシーを使う」「日曜市の時間延長」…。斬新な政策に時折、拍手が送られる。

 通る声で、力を込める。「お金を使わなくても、知恵を絞ってやりましょう」

 岡崎さん 雇用や産業創出を

 岡崎誠也さん(50)は、説明責任を果たす行政の形や教育改革など「八つの約束」を掲げる。昼のつじ立ち、夜の個人演説会。集まった市民を前に真っ先に訴えるのが、雇用の拡大と経済振興だ。

 「高知市に暮らす15―25歳の失業率は全国の約2倍。高齢者の再雇用の問題もある。国の制度を導入したり、場合によっては市単独の予算をつぎ込んででも改善しなければならない」

 カラオケでならしたのどは、最終盤にきてもかれていない。しっかりした声、ハキハキした口調がさえ渡る。

 「高齢者福祉を充実させることでヘルパーなどの雇用も生まれる。幾つかの視点を組み合わせて施策を進めることが重要」。コメの地産地消、産官学の連携による産業創出にも取り組む。

 また財政改革を進めるとする一方で、公共事業の重要性も強調。「市内には住宅密集地や避難路がない、火災の炎を遮る大きな道がない地域がある。安全なまちづくりを進めます」

 「無駄を削り、市民に必要なものはやる」というスタンスだ。

 岡内さん 歳出改め財政再建

 岡内啓明さん(55)の主張は明快。「市民の幸せを追求することが市政の唯一の目的。高知市を市民が誇りを持って暮らせる『輝く都市』にしよう」。この言葉に凝縮される。

 実現に向け、三つの施策を打ち出す。年間歳入の倍近い「借金」がある財政の再建。豊かな自然や郷土愛あふれる市民、世界に誇れる日曜市、よさこい祭りなどの“素材”を生かす。そして市民が主役となる、主体的にかかわる市政だ。

 夜の演説会。会場を埋めた有権者に岡内さんは問い掛ける。

 「下水道など生活基盤の整備が進まない中で、200億円掛けて『かるぽーと』を造り、新たに高架歩道橋も造ろうとしている。優先順位が違っていませんか? こんな市政でいいでしょうか?」「財政再建はすべての歳出をゼロから見直さないとできない。過去のしがらみを持った方に総点検ができますか?」―。  弁舌の迫力は増す一方。引き込まれるように聴衆も前のめりになる。

 「市民と市職員が英知を結集し、高知市の未来図を描こう」。熱い言葉で市政改革を訴える。


11月29日付・高知新聞夕刊

5候補ラストラン 知事選、高知市長選

舌戦もラストラン。県都・高知市では知事選、市長選の5陣営の訴えが入り乱れた(高知市内)
 ’03県知事選、高知市長選がそろって舌戦最終日を迎えた29日、同市内では朝から知事選2陣営、市長選3陣営の計5陣営の候補者カーが入り乱れ、最終、最後のお願いへ絶叫、懇願、哀願の連呼。「知事は○○!」「□□を市長に!」。5候補の名前が住宅地に交錯した。

 県知事選に立候補しているのは、無所属の現職で4選を目指す橋本大二郎さん(56)と、無所属新人で前高知市長の松尾徹人さん(56)=自民県連・社民推薦、公明県本部支持。

 高知市長選にはいずれも無所属新人で、毎日新聞社元高知支局記者の関谷徳さん(42)▽前市産業振興部副部長の岡崎誠也さん(50)=民主・社民推薦、公明県本部支持▽食材卸会社社長の岡内啓明さん(55)―の3人が立候補している。

 大票田でラストランを迎えた各陣営は「週末の午前中」を意識し、この日は住宅街などから連呼をスタート。応援の弁士や支援議員らが脇を固め、ムードを盛り上げた。

 特に、知事選に埋没しがちだった市長選の3陣営は、知名度の浸透が最後まで最大課題。候補者本人が選挙カーの中でマイクを握りしめ、時に大声、時に優しい声で支援を呼び掛けた。

 「しがらみのない行政を」「防災対策の充実を」「無駄をなくす行政を」―。選挙カーから県政、市政の課題を唱えるそれぞれの訴えが響き、「改革」「変革」の声が交錯。家の中で、軒先で、街頭で26万有権者が耳を傾けた。

 知事候補、市長候補の5人は午後からじわり、相次ぎ市街地中心部へ。陣営、支持者挙げてマイクを納め、舌戦に幕を閉じる。

 【写真】舌戦もラストラン。県都・高知市では知事選、市長選の5陣営の訴えが入り乱れた(高知市内)

投票率50−56%? 高知市長選

不在者投票をする有権者。市長選では「意中の人を決めるのに苦労した」との声も(高知市選管事務局)

 舌戦もきょう限りの高知市長選。気掛かりなのは投票率だが、新人3候補の各陣営は「ダブルで行われる県知事選挙に連動する」とみて、昨年10月の同市長選を10ポイント以上上回る50―56%を予想する。ただ一方では、「突発選挙」のため候補の政策・人柄が浸透せず、投票直前になっても「顔も名前も知らない」という声さえ漏れる。意中の人を決めかねている市民はかなり多いと見られ、3陣営とも有権者の投票行動を読みあぐねている。

 関谷陣営=55―56%、岡崎陣営=50%台前半、岡内陣営=55%。

 これが3陣営の予想する投票率。「知事選で投票しにいく人が市長選を棄権するとは考えにくい」という考えが前提になっている。知事選の両陣営が見立てる高知市の投票率も、「橋本陣営=55%」「松尾陣営=57%」とほぼ似通った線で一致する。

 もっとも3陣営は「仮に市長選が単独実施なら前回並みの40%前後では」との認識でも共通。ちなみに前回の投票率は39・23%、’98高知豪雨の直後に行われた前々回10年は40・48%といずれも低調。松尾前市長が初当選した6年市長選でも55・68%だった。

 今回は知事選という“カンフル剤”が効くとしても、市長選告示後に行った本社電話世論調査では、「投票する人をまだ決めていない」と答えた有権者が54・7%と過半数に及んでいた。

 各陣営幹部の見方は「こうした選挙で勝敗を左右するのは知名度。組織を持たない候補には厳しいのでは」「いや、逆に投票率がアップすることで組織票が埋没してしまう」とさまざま。「白票や疑問票が増えるのでは」との見方もあるが、結局は「異例の市長選。ふたを開けるまで分からない」。

 一方、13日以降に知事選と併せて不在者投票をした有権者の多くからは「市長選は突然の選挙である上に、顔も名前も知らない人ばかりで戸惑った」の声。「一時は棄権、白票も考えた」という人もいる。  判断基準は「告示前後に見た政策」「新聞を見ても決めかねていたところ、夫に勧められた」「知事選候補に対するスタンス」「支持する政党との関係」などなど…。中には知事選の不在者投票をしたものの、市長選は「後日決める」と先延ばしにしたケースも。

 当日投票組の中でも、「市長選は誰を選んでよいか分からないが、棄権はしたくない。どうしたらいいのか」と悩む声は少なくない。

 この状況に市選管は、「28日までに全戸配布した選挙公報にぜひ目を通した上で、知事選と併せて投票を」と呼び掛けているが、結果は果たして…。

 (高知市長選取材班)

 【写真】不在者投票をする有権者。市長選では「意中の人を決めるのに苦労した」との声も(高知市選管事務局)


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