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11月27日付・高知新聞朝刊

 両陣営 県都決戦へ 知事選終盤情勢

 戦後16回目の県知事選挙は、30日の投開票まであと3日と迫った。無所属で現職の橋本大二郎氏(56)、無所属新人で前高知市長の松尾徹人氏(56)=自民県連・社民推薦、公明県本部支持=の両候補は13日の告示以来、橋本県政継続の是非を最大の争点に支持拡大を訴え、大詰めの総力戦を展開している。高知新聞社は24、25の両日、新人3候補が争う県都の高知市長選挙と併せて、高知新聞企業調査部委託による電話世論調査を実施(無作為抽出の有権者1500人を対象、高知市長選分は819人対象)。調査結果に本社取材班と県内支社局・総局の現地取材を総合し、終盤情勢を探った。知事選は現職を新人が追い上げる展開で、橋本氏はかつてない厳しい戦いを強いられながらも、支援政党・団体の組織票を固め切れていない松尾氏をややリード。ただ、態度を決めていない2割弱の有権者や浮動層の多い大票田・高知市の動向、さらに組織力に優る松尾陣営の巻き返し方次第で戦況が大きく変わる余地を残している。

 知事選への関心度は選挙戦本番に入ってさらに上昇し、91・6%と平成3年知事選(91・0%)並みの高さ。これに比例して、意中の人を「決めている」も「だいたい」を含め83・0%(3年時83・9%)に達した。

 終盤情勢を総合的にみると、「改革の継続」を掲げて4選を目指す橋本氏は、草の根支持層の活発な動きを反映して支持政党なしの無党派層の過半を押さえ、自民や公明の支持層にも食い込んで半数前後の支持を得ている。民主は5割以上、実質支援の共産支持層は8割近くを固めている。

 女性や主婦、現業職などに幅広い支持を保っているが、40代や商工・サービス業、農林漁業には批判票も多い。地域別では県西部で守勢に回っており、最大の票田・高知市もやや優位な情勢ながら、多選批判などが足かせとなり、従来ほどの勢いは見られない。

 一方、自民県連、社民の推薦、公明県本部の支持を得て組織戦を展開する松尾氏は、社民支持層で橋本氏を引き離しているほかはいずれも橋本氏と票を分け合っており、支持基盤をまとめ切れていない。無党派層への浸透も3割強にとどまる。

 ただ郡部では、知名度不足を克服して現職の壁を突き崩している地域も多く、中でも県西部の支持は厚い。最大の課題は高知市での浸透度。現状では「市政投げ出し」の批判をかわせていないが、総力で追い上げを図っており、残り3日間、県都を中心にどこまで攻勢をかけられるかが明暗を分けそうだ。

 調査の方法

 知事選世論調査は選挙人名簿から無作為抽出法で20歳以上の男女1500人を対象に選び、このうち電話番号の判明した1127人に電話で調査、830人から回答を得た(有効回収率73・6%)。高知市長選世論調査も同様の方法で819人を選び、電話番号の判明した611人のうち470人から回答を得た(同76・9%)。

 終盤情勢記者座談会

お年寄りらに囲まれ、記念撮影に応じる橋本大二郎候補

高知市 しのぎ削る県都決戦

  県都・高知市の関心は95%と全地域で最も高い。全有権者の約4割に当たる約26万3000人が集中するだけに戦況に与える影響は大きい。

  橋本、松尾両陣営とも「天王山」と位置付けている。特に橋本陣営は、松尾が市長として3度の市長選を勝ち抜いているだけに、危機感はかなり強い。

 【写真】お年寄りらに囲まれ、記念撮影に応じる橋本大二郎候補

  橋本陣営は「事務所としては電話作戦はしない」と公言しているが、同市以外の県議が出身者にかけているし、橋本本人も告示前から全県的によくかけていた。

  橋本は前々回、前回とも、投票日1週間前の日曜日は中村入りしたが、今回は県都決戦を意識した日程を組んだ。23日に高知大丸前で開いたリレー演説会には、宮城県知事の浅野史郎、長野県知事の田中康夫が来高し、「改革派知事」の草分けを印象付けた。

  元自民党幹事長の野中広務も「個人的な関係」として駆け付けた。対自民党県連、対松尾を意識した演説にはインパクトがあったね。

  演説に若者が参加していたように、橋本は20代、30代で支持が高い。大学生が政策づくりにかかわったのも影響していると思うよ。

  「実質支援」の共産党の動きは?

  県委員会幹部はリレー演説会を見に来ていたし、県議、市議も街頭演説や個人演説会で姿が見える。前面に出ている状況ではないが、世論調査でもかなり厚めに橋本に出ているよ。

  一方の松尾陣営。共産党を除く4党や連合高知が中心となった陣立てだが、うまく機能しているのか。

  司令塔不在の感はある。もともと衆院選で激突した直後で、仕方のない面もあるが…。

  戦術的には電話作戦にかなり力を入れている。自民党、連合高知、選挙事務所の3本立てでフル回転しているよ。自治労県本部と県職労は、前回も橋本を敵に回しただけに懸命だ。

  だが、労組部隊はUIゼンセン同盟を筆頭に、民間労組の大手が自主投票になっているのが痛い。選挙疲れもあるだろうが、労組票は「橋本が厚めでは」との観測まで出ている。

  その面では自民党も農協グループも同じではないか。農協グループは組織のトップを立てた前回と比べ力が入らないのは分かるが、松尾を担ぎ出した自民党は橋本より優位にあるものの支持者を固め切れていない。

  同市では県議、市議は選挙カーに乗るのをやめ、後援会固めを徹底していると聞くが、やはり橋本人気の壁は厚いということか。

  というより、橋本陣営や共産党の戦略が奏功している。「任期途中で市政を投げ出した」「箱物行政で借金を増やした」という松尾批判の声はかなり強い。

  松尾陣営も「電話をかけても、その点を理解してもらうのにてこずる」と嘆いていたが、一方で市民の間には「橋本はもういい」という多選批判や、不祥事の責任の取り方への不満もくすぶっている。

  全県的に見て、政党の支持者の傾向は。

  自民党はほぼ二分。推薦している社民党は松尾に厚いが、「協力候補」にとどめた民主党はやはり割れている。橋本陣営のリレー演説会で同党参院議員の平野貞夫、徳島県連代表の仙谷由人がマイクを握ったのが象徴していたよ。

  しかし、それは両陣営とも織り込み済み。ポイントはやはり公明党だろう。県本部は松尾支持を決めたが、本当に松尾で固まるのか。

  松尾の選挙カーに同党衆院議員の石田祝稔が乗り、県議、市議も選対に入っている。だが、支持母体の創価学会の会員には根強い橋本支持があるようだ。橋本本人からのアプローチも強く、最後まで「綱引き」は続くのではないか。

  「綱引き」といえば団体もそうだ。前回より少ない約60団体の推薦の橋本陣営に対し、松尾陣営は約100団体の推薦を取り付けた。県都の集票には組織力は欠かせない。松尾陣営は推薦団体を対象にした1000人規模の個人演説会も開き、浸透に躍起になっている。

  橋本はやはり女性の支持が厚く、松尾陣営は女性票獲得にも懸命。ぎりぎりまで目が離せないポイントは多いが、投票率はどう見る?

  先の衆院選で高知1区は、全国の300小選挙区で唯一の50%割れ。「知事選もあまり上がらないのでは」との見方もあるが、1人でも多くの有権者に足を運んでもらいたいね。

中央部 対決色明確な町村も

  高知市周囲の市町村の動向は? まず県内・第2票田の南国市。前回知事選で、農協グループ出身の所谷孝夫を全面支援した農協は松尾支持だが。

  前回のような態勢をつくりきれていない。長岡、南国市両農協合わせて6000世帯以上になるが、個別の農家まで指示は行き届いていない。

  農協幹部には前回の“完敗”ショックが残っているようだ。

  農家に個別に尋ねると、橋本県政の批判はけっこう出てくるんだけどね…。

  それにしても女性中心の橋本の草の根支持は根強い。表立って動いているスタッフは少ないけど、これまでの選挙結果からみても相当のボリュームを維持している感じ。市街地や十市の住宅団地なども優位だろう。

  松尾陣営も自民党支部をはじめとした保守系市議らがよくまとまっている。個々の活動に温度差はあるが、法定ビラの配布や電話作戦に力を入れている。

  多選や不祥事の責任問題など橋本への不満も増えている。松尾陣営がそうした批判票をどこまで取り込めているか。

  伊野町は“異変”が起きているようだね。

  前回まで橋本支持だった自民党ベテラン県議、西岡寅八郎が今回は一転。松尾支持を明確に宣言して、演説でも橋本批判を展開している。

  「何かあったの?」と戸惑いの声が聞かれるほどだ。

  県議選などで常に「打倒西岡」を掲げてきた反西岡の町議グループも松尾支持。個人演説会にも合同参加した。陣形は橋本を圧倒している。

  でも、前回、得票率が7割を超えた橋本人気を逆転させるには、よほどのエネルギーと追い風を起こさないと。

  橋本陣営の世話人の1人は「選挙カーの沿道の反応は前回並み」という手応え。それほど焦った様子もない。

  知事選投票日が市町村合併の住民投票と重なった春野町の情勢は。

  合併推進派と自立派の保守系町議らが、松尾陣営に相乗りした格好になっていて、なかなか複雑な状態だ。

  住民投票が絡んで、町議も十分な動きが取れないようだ。

  橋本の個人演説会が中止になったのも、そうした町内のねじれに配慮した面もあるしね。

  終盤に入ってから、橋本の草の根メンバーが動きを活発化させているけど、両候補とも地域ごとの面的な広がりを予測するのは難しい。

  嶺北など山間部はどうだ。大豊、本山、土佐の3町は熱心な橋本支持者が根付いているが。

  自民党参院議員の田村公平の票田である大豊町の松尾陣営は、県議の西岡仁司や同党支部の町議らが結束している。告示前には独自で500人規模の決起大会を開くほどの力の入れようだ。

  本山町は自民党支部の幹部が丹念に地域を歩いて、「なぜ今、松尾なのか」を説明して回る自民党版の草の根活動が、一定の成果を挙げていると思うよ。

  土佐町は県議の式地寛肇や前・現町長らが草の根と連携して橋本を支持。松尾陣営は善戦した前回の農協票をどう維持できるかだろう。

  ただ3町とも、建設業界が松尾支持でまとまっているとは言い難いし、松尾陣営の組織攻勢が、橋本の草の根リーダーの危機感に火を付けた感じで、水面下で結束を強めている。

  大川、本川両村は、両陣営とも目立った活動はみられない。吾川村も村民レベルではあまり盛り上がっていないようだ。

  高知市との合併協議が進んでいる土佐山、鏡両村は前市長の松尾の知名度も高いし、親近感もあるのでは。

  そうとも限らないよ。特に土佐山村には、松尾が市長時代に、同村に不明金問題を合併前に解決するよう求めた発言に対する反感もある。

  鏡村と同様に、元来、自民票が強い吾北村は自民党支部を主体に、村議らが松尾支持活動を全域で展開している。反応も良く、得票率の逆転を狙う勢いだ。

  池川町では女性らの草の根による橋本支持が根強い。前回知事選で約7割が橋本を支持している。

東部 影響色濃い保守分裂

推薦団体の関係者を集め、支持を訴える松尾徹人候補   東部3県議が自民党県連から除名され、保守分裂戦となっている香美郡以東は?

  運動量では松尾陣営も引けを取らないが、女性を中心とした橋本支持は根強く、党県連の手法に反感を持つ保守層も橋本に流れている。

  農協も松尾で一本化できず、末端では橋本を前面に出して動いている地域もある。全般に橋本の優勢は動かないだろう。世論調査でも強弱ははっきり出ている。

 【写真】推薦団体の関係者を集め、支持を訴える松尾徹人候補

  市町村別に見ていこう。県議の植田壮一郎の地盤の室戸市と東洋町だが、除名されたことへの同情論が広がり、それがむしろ追い風になっているようだ。

  室戸市長の武井啓平が松尾支持に回ったことで、植田―武井の代理戦争が再燃した格好だが、街頭演説や集会への集まりを見ても橋本陣営が圧倒していた。

  何より若手の農家を中心とする植田シンパが動いている。室戸岬町以東は植田派の勢力が強く、羽根町でも動きは活発。松尾は吉良川町や大票田の旧室戸町でどこまで伸ばせるかだね。

  東洋町は町長、議長が橋本。自民党支部の若手も精力的に動いている。甲浦はフェリー運航を視野に商工関係も含め橋本の色合いが強い。松尾は武井派がてこ入れをしている野根で踏ん張れるかだ。

  中芸の2村は橋本だろう。馬路村は農協が固まり、今の県と村の良好な関係を崩したくないという意識がある。北川村は「モネの庭」などで現職を評価する傾向が強く、松尾陣営も「2村は厳しい」との見方だよ。

  海岸沿いの3町は、松尾陣営が五分以上の戦いを展望している。

  田野町は事務所を置き、自民党支部や農協を中心に組織力を生かした動きを展開。橋本を支えてきた草の根の支持者が今回は松尾に回ったケースもあり、橋本陣営も危機感を強めている。

  県議の浜田英宏の地元の奈半利町は、元町長ら自民党の大物が松尾派。ただ4、50代の実動部隊は橋本支持で、街筋での人気も根強い。

  園芸が盛んな安田町は保守系町議が松尾色。東島、中山、唐浜で感触の良さを強調している。橋本陣営は地域に影響力を持つ酒造会社が主力だが、「反浜田」の勢力が最も強い地域だけに警戒しているよ。

  ただ中芸全体では松尾が橋本を上回る勢いがあるとは言い難いね。

  安芸市は前市長の井津哲彦と元県議の長野泰啓を支援してきたグループが松尾、市長の松本憲治と県議の樋口秀洋グループが橋本の色分け。

  松尾陣営は中心部に事務所を構え、支援市議らを中心に活発な動き。これに県のOBが後押しをし、運動量では橋本陣営を上回っている。

  それがどこまで票につながるかだ。女性層の熱狂的な橋本支持者は健在だ。樋口への批判を口にしていた自民党支部の幹部らが終盤、橋本で動きだすという戦況の変化も見られる。

  穴内、井ノ口などでは松尾が健闘しているが、東川などの山間部、伊尾木は橋本が厚めのようだ。園芸関係は地区ごとに濃淡があり、最後は大票田の市街地の勝負となるが、橋本陣営が浮動票を取り込む素地があるだけにやや有利か。

  芸西村は村議の大半は松尾派だが、動きが鈍く、農協を母体とする橋本派の村議が対抗している。園芸農家の票の出方次第だよ。

  香美郡に移ろう。

  3年の知事選の選挙資金疑惑を指摘した県議の依光隆夫が大票田の土佐山田、香北両町と物部村で巻き返しを図っているが、松尾本人が香美郡内に入るのが26日以降にずれ込んだことが最大の懸念材料だ。

  香北町と物部村は県議の黒岩直良の地盤で橋本支持で票を固めているし、土佐山田町は革新勢力が強く、一部に依光への批判も聞こえる中、松尾陣営が五分以上の戦いに持ち込めるかだ。

  野市町などの香南5町村は県議の森雅宣と支援町村議らが公明党票の取り込みも視野に動いているが、新興住宅地へのアプローチや知名度の浸透が課題だ。

  赤岡町、吉川村では一定の松尾票が見込めるが、衆院議員の中谷元の影響力がある香我美町は園芸農家が割れ、夜須町は草の根と黒岩後援会にどう対抗するか。

  いずれにしても先行する橋本に、松尾が最終盤でどこまで迫れるかが勝負だね。

中西部 各地で激しい局地戦

  中西部では前哨戦から自民党県議の結城健輔、武石利彦が松尾支持でよく動いた。地盤の佐川、窪川両町は特にムードがいいね。

  支援町議らの活動に濃淡はあるが、農家や女性票などを満遍なく取り込んでいるよ。両県議の影響力は東津野村や大野見村など周辺にも波及しているね。

  それに高吾北、高幡の両建設協会が松尾推薦を決めた。地域の大手業者は橋本支援だが、中小業者が小回りを利かせて松尾の支持拡大に貢献しているよ。

  佐川に支持者の多い県議の田村輝雄は態度を明らかにしないが、系列の町議は橋本側だ。分裂状態に陥っていた草の根グループも橋本の佐川入りで火が付き、終盤の勢いは松尾側を追い越した感もある。

  窪川に橋本が入るのは28日。地元の橋本支持者に立ち遅れの焦りもあるが、県議の佐竹紀夫らは演説会に大量動員を掛けて巻き返す構えだ。

  津野山地区で目を引くのは梼原町だね。町長の中越武義は自民党の町支部に離党届を提出。支部長預かりで取り扱いは保留されているが、橋本支援への強い思いは町民に伝わっている。

  松尾側は一部の町議や女性グループの熱心な支援もあり、街頭演説の反応は上々だったが、五分に持ち込むのは簡単じゃないよ。

  葉山村の局地戦も熱いね。

  前村長で副知事の吉良史子は橋本の演説会に顔を出し、村民から“握手攻め”にされていた。橋本の圧倒的優位は動かないんじゃないか。

  いや、村内では吉良批判もある。橋本の誘いで任期途中に村長を辞めている。松尾も高知市長辞職に批判があるが、「知事も同じだ」とする村民が少なくない。

  中土佐町は久礼の商店街などで根強い橋本人気があり、町長も支持を明確にしている。一方で松尾側も上ノ加江や矢井賀など周辺部に食い込んでおり、演説会も盛況だった。

  高吾北地区は仁淀村、日高村、越知町の各首長が橋本支持だ。

  仁淀は村議の大半が松尾側で激戦になるだろう。ただ、本年度に巨額の地滑り対策事業が採用され、橋本への恩義を感じる者もいる。現職の強みだね。

  日高は10年揺れ続けた産廃問題の影響で、反対運動を展開した共産党が橋本を支持できない状態だ。産廃推進派の村議らも分裂しており、かなりねじれている。

  越知はリコール運動をはね返した町長の吉岡珍正側が橋本、約700票差で落選した対立陣営が松尾の構図だ。知事選も似たような票差になるとの見方が強いよ。

  越知町だけでなく葉山村や大野見村などでも、市町村合併で二分された民意が「橋本か松尾か」の色分けに影響している。知事選で合併問題が争点になっているわけじゃないのにね。

  郡部に比べ、市部の盛り上がりはいまひとつのようだが、まず須崎市はどうだ?

  大半の市議が松尾寄りで手数はそろっているが、動きがいいとは言えない。4月の県議選で長年守り続けた自民党の議席を落とし、求心力を失ったのが大きい。

  漁業や商工会関係者は「県政を変えてほしい」と松尾に期待するが、受け皿となるべき自民党が機能してない。衆院議員の山本有二の5選の余勢も見えないね。

  むしろ橋本側が組織的かもしれない。県議の朝比奈利広、谷本敏明を中心に、自民、公明、共産など幅広く支持を広げているよ。

  土佐市は県議の森田英二と製紙業者などが松尾陣営の中心。橋本陣営は、県議の中内桂郎や元県議らの混成部隊だ。

  両陣営とも地元に事務所を構えているが動きはどうかな。

  松尾側は自民党色が強い。民主、社民系の市議らがほとんど出入りしておらず、27日にやっと初めての選対会議を開くそうだ。最終盤で組織力を発揮できるかどうかが鍵だ。

  同様に、橋本側は事務所の共産色が強いと言われ、保守系支持者との不協和音が目立つ。“船頭”が多すぎて連帯感がないわけだが、半面、支持の呼び掛けは全方位型だ。結果的に松尾側よりも勢いが出ているよ。

幡多 双方譲らぬ激戦展開

  幡多地域は世論調査でも大接戦だ。市部から見ていこう。

  最大の票田、中村市は告示前から松尾陣営の動きが活発で、橋本陣営には相当危機感がある。

  自民党県議団会長の土森正典が相当力を入れている。中村地区建設協会も松尾を推薦。影響力のある商工会議所の有力者も松尾支持に回ったよ。

  市長の沢田五十六は「静観したい」。だが、市長の女性後援会長らは松尾後援会に入っている。市長支持者は来年の市長選をにらんでいる節もある。

  自民、社民系と公明の15人前後の市議が松尾支援だが、連携はスムーズだ。課題は農村部への浸透度になるだろう。

  「幡多・大二郎の会」を中心にした橋本陣営は、青年会議所OBらがよく動いている。危機感を強めた女性支持者は、告示後に女性部会を立ち上げた。

  共産県議の田頭文吾郎は前に出過ぎないよう気を使っており、「別動隊」の役割を果たしている。後川筋など農村部での個人人気は根強いからね。

  橋本は地元に入った26日以降、どれだけ盛り上げられるか。橋本、松尾陣営とも「最終盤のムードが勝負」と見ている。

  宿毛市は市長選とのダブル選挙。市長選が激戦模様のため、知事選の観測が難しいが。

  市長選の両陣営とも橋本、松尾双方の支持層が混在。単純なセット戦術は成り立たないようだ。

  橋本陣営は、地元出身で県農協連会長だった所谷孝夫が出馬した前回よりは動けている。しかし26日の個人演説会は、市長選のミニ集会などに人手を取られるため見送った。

  松尾陣営にしても、市議の大半が支援する陣形だが、市長選に手を取られている。20日の個人演説会はよく人を集めたが、顔を出した市議は少なく、知事選に関しては水面下の活動という印象が強い。

  農協、建設協会とも今回は対応を明確にしていない。建設業界は松尾に厚めという観測だが、「社長は松尾、社長夫人は橋本」という話も聞かされたよ。

  橋本対所谷は8000百票対6400票。双方とも「今回はそれほど差はつかない」という分析だ。

  土佐清水市は。

  市長の西村伸一郎は中立だ。しかし、市長選に立候補経験のある実兄は橋本を支持。労組勢力を除く旧来の「西村派」は、橋本支持が厚めのようだ。

  元県議で2年前の参院選に出馬した広田一は橋本に近く、その地元後援会も全面支援している。

  松尾陣営は、自民党と社民党、保革の無所属市議の多くが連携したかつてない布陣だ。告示後、衆院選で山本有二を支援した公明市議もスムーズに陣営入りした。

  県議の森祥一は橋本支持だが、後援会の有力幹部が松尾支援に回って動きづらいようだ。

  中盤までの運動量は松尾陣営が圧倒。前回知事選での橋本の7400票余りを「今度は松尾に出す」と豪語する幹部もいる。

  どうかな。「それほどのうねりは感じない」とみる選挙通もいる。橋本陣営は、候補が地元に入る最終盤に運動の照準を定めていた感もあるからね。

  町村部に移ろう。

  幡東地域は熱心な橋本支持者が健在。大方町では県連合婦人会の女性や漁村部にもシンパが多い。佐賀町も商工会青年部OBらが熱心だが「今回は強い相手。前回票より一定目減りしそう」と話していた。

  佐賀町は自民県議の山本広明の地盤で、懸命に松尾支持を拡大している。大方町でも建設業界などを中心にどこまで浸透するか。松尾の選挙カーへの反応は両町とも良かった。

  大正町は自民参院議員の田村公平に近い建設業者の影響力が強く、松尾が運動量で圧倒。橋本陣営も厳しさをこぼしていた。

  逆に十和村は村長が橋本支持者。女性支持者も熱心だ。松尾が党支部や業界団体をてこにどこまで迫るか。

  西土佐村は前回、所谷が橋本を上回った。橋本陣営は横の連携が弱いが、今回は影響力のある元村長が橋本を支援。前回、所谷を勝たせた農協勢力などは松尾にシフト。その燃え方が集票を左右しそうだ。

  同じく所谷が勝った三原村も、今回は建設業界の縛りが弱く、橋本支持者がやや動きやすくなったようだ。

  大月町は、町長が橋本シンパの筆頭格。自ら電話攻勢をかけている。松尾は反町長派を中心に対抗している。

  ともかく、幡多地域は双方譲らぬ激戦区だ。橋本は最終盤に地元に入ってどれだけ「草の根」を呼び覚ますか、松尾は充実した支援組織や農村部の隅々まで浸透できるかが課題だ。


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