左から届け出順・敬称略
松尾徹人前市長の辞職に伴う戦後16回目の高知市長選挙は23日告示され、7日間の舌戦がスタートした。立候補したのは届け出順にいずれも無所属新人で、毎日新聞社元高知支局記者の関谷徳(42)、前市産業振興部副部長の岡崎誠也(50)=民主・社民推薦、公明県本部支持=、食材卸会社社長の岡内啓明(55)の3氏。届け出は同日午後5時で締め切られ、予想された3氏による戦いが確定した。3候補は第一声で市政運営の手法の違いを鮮明にし、県都の新リーダーへ力強く名乗りを上げた。投票は県知事選と同じ30日に行われ、即日開票される。
今回の選挙は、昨年10月に3選を果たした松尾前市長が、知事選出馬で辞職したため実施される異例の「連年選挙」。
約9年間の松尾市政を踏まえ、3候補が示す県都の将来ビジョンや財政運営の手法に、市民がどう判断を下すかが最大の焦点。3候補は市勢発展に向け、「県との連携」(関谷氏)、「行政経験」(岡崎氏)、「民間の感覚」(岡内氏)をそれぞれ強調している。
立候補の受け付けは、午前8時半から市役所たかじょう庁舎6階で行われ、届け出順を決定。3候補は、街頭演説の標旗など「選挙の7つ道具」の到着を待って、選挙事務所前などで出陣式に臨んだ。
関谷候補は「今までの取材経験から、県市の間に厚い壁があると痛感した。壁に阻まれ、戸惑うのはわれわれ市民。よりよい生活のために、知事と二人三脚の市政を実現する」とアピール。
岡崎候補は「出馬に当たり、32万市民の命と幸せを守れるかを考えた。そのためには市政の停滞は許されない。人の心、市民の生活を原点に、市政をもう一度盛り上げたい」と主張。
岡内候補は「従来型の市政では暮らしはよくならない。行政と市民の間にある壁を取り払い、市民が主役の市政運営に全力を挙げる。市民の幸せの追求を使命とする市政を目指す」と訴えた。
この後、3候補は選挙カーや徒歩で街頭に繰り出し、支持を訴えた。
積極的に投票を 山岡・市選管委員長
23日に告示された高知市長選に際し、市選挙管理委員会の山岡敏明委員長は次のような談話を発表した。
厳しい社会経済情勢を反映して、高知市においても景気、雇用、市財政を取り巻く環境は深刻さを増している。このような状況の下、今後4年間の市政を託す市長選は、市民にとって特に重要な選挙だ。
有権者は候補者の政策や主義主張をよく吟味し、棄権することなく、大事な一票を積極的に投票するようお願いする。また、候補者はルールを順守し、厳正できれいな選挙運動を行うよう望む。
「小雪」に決意の第一声
冷え込んだ「小雪(しょうせつ)」の県都に響き渡る決意の言葉。松尾徹人前市長の辞職に伴う高知市長選は23日、3人の新人が予想通り名乗りを上げた。毎日新聞社元高知支局記者の関谷徳さん(42)、前市産業振興部副部長の岡崎誠也さん(50)、食材卸会社社長の岡内啓明さん(55)=届け出順。県知事選とのダブル選となったものの、「降ってわいた連年選挙」に各候補とも知名度アップが課題。短期決戦、初日からエンジン全開で選挙カーを走らせ、日曜市や繁華街などの雑踏に握手と連呼が交錯した。
紺色のスーツに身を包んだ関谷さんは午前7時40分ごろ、上町5丁目の事務所に到着。出陣式が始まるまで、訪れる支援者一人一人と笑顔で握手を交わした。
出陣式では、竹村繁恵後援会長のあいさつの後、松山市から駆け付けた兄、智さんがマイクを握り、「(父と母を亡くした)徳と私は2人だけの兄弟。皆さんの気持ちをぶつけ、弟を真の男にしてやってください」と力強い声で呼び掛けた。
登壇した関谷さんは、記者時代の取材経験を踏まえ、「県と高知市の間には想像以上の厚い壁がある」と指摘。「市と県のトップ同士の定期会談を実現したい」などと訴えた。
また「組織や政党、企業に乗っかり、お金をどんどんつぎ込んでやるのが本来の選挙だとは思わない。手作りの選挙で戦う」と“草の根”の選挙運動を強調。「市民の集合体こそが何物にも勝るもの。投票に行ったことのない方は、ぜひ投票所へ足を運んでほしい」と力を込めた。
最後は「市民に軸足を置いた市政を推進する」と力強く約束。支援者らと「エイ、エイ、オー!」と気炎を上げると、歩いて日曜市へ。道行く市民に支持を呼び掛けた。
【写真】「市民に軸足を置いた市政を」と訴えた関谷陣営の出陣式(高知市上町5丁目)
岡崎陣営は大橋通商店街の入り口で出陣式。党派を超えた国会議員や県議、高知市議、労組幹部らが顔をそろえ、「よろしく」の握手、握手。午前8時半すぎ、「届け出は『サインはV』の2番」の報告の直後、本町3丁目の事務所から岡崎さんが姿を見せると支持者らは、地鳴りのような拍手で迎えた。
まず早川紀夫後援会長が「豊かで住みやすい、安全なまちづくりに取り組みます」。県知事選に出馬している前市長の松尾さんも激励に駆け付け、「彼こそ、私が高知市政を安心して任せられる人物です」と訴えた。
岡崎さんの第一声は出馬を決めた思いから。「市政の停滞は皆さんの幸せに、障害を発生させる。激動の時代、一時の停滞も許されないという思いで引き受けました」
その上で「財政制度などいろんなことに精通していないと、市政運営は難しい。28年間の経験を生かしながら、視点を市民に置き、皆さんが厳しい暮らしの中で少しでも幸せを感じられる市政に発展させたい」と決意表明した。
最後は「団結、誠也コール」。こぶしを突き上げ、気合のこもった「セイヤー」「セイヤー」の声を受け、県都決戦に出陣した。
【写真】「市政の停滞は許されない」と気勢を上げた岡崎陣営の出陣式(高知市の大橋通商店街)
特別な必勝祈願などは行わず、静かに決起の朝を過ごした岡内さん。本町2丁目の事務所近くの出陣式会場に小走りで姿を見せると、「応援ありがとう」「頑張ります」と力強い握手を交わしながら、支持者を回った。
出陣式では西岡啓二郎後援会長が「『箱物行政』『責任を取らない』『予算消化主義』、この“三位一体”が高知市の財政を悪化させた。若い民間人の感性で高知市を変えていくことが必要だ」とエールを送った。
自民党衆院議員や経営者仲間からの電報が披露された後、壇上に立った岡内さんは「市民の皆さんの幸せを追求することが市政の唯一無二の目的だ。その実現とともに、高知市を輝く都市にしたい」と力強く決意表明。
さらに「下水道が完備されていない地域もあるのに、箱物を造る。社会資本の整備が最重要なのに順序が間違っている」と現市政を厳しく批判した上で、「財政改善のためにすべての歳出をゼロから見直すことは、しがらみのない人間でないとできない」とアピール。
「財政再建」「自然や人などの活用」「市民が主役の市政」を掲げて支持を呼び掛けると、「こじゃんとやります!」と大書した選挙カーにさっそうと乗り込んだ。
【写真】「市民の幸せを追求する市政を」と訴えた岡内陣営の出陣式(高知市本町2丁目)
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