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11月17日付・高知新聞朝刊

“漂流”する建設業界 「自粛」よそに思惑交錯

 今回の知事選で無所属新人の前高知市長、松尾徹人氏を推薦した自民党県連(会長=中谷元衆院議員)の最大支援勢力、建設業界。12年前の橋本大二郎氏の陣営の選挙資金調達疑惑が浮上し、建設業者の関与や談合が指摘されていることから、県建設業協会(井上和水会長)は知事選対応を組織としては「自粛」し、支援活動は「各社の自主判断」と決めた。しかし実態は、大手企業と中小零細業者、各地域間でさまざまな思惑が交錯し、ねじれやあつれきが噴出。きしむ構図の中に公共事業縮減のつめ跡をのぞかせている。

 【写真】大手建設会社からの動員が目立った橋本氏の出陣式=右上=と、建設会社の作業服姿がほとんど見られなかった松尾氏の出陣式=右下。「どっちが自民党推薦?」の声が漏れた

 どっちが自民党?

 「まるでこっちが『自民党推薦』みたいだ」。告示日の13日朝、高知市の中央公園で行われた橋本氏の出陣式。県内の“特A級”の大手建設会社の役員や社名入りの作業服姿がずらり。支援県議がそう漏らしてもおかしくない光景だった。

 県議会9月定例会で自民党県議が追及した選挙資金疑惑は、百条委員会設置にまで発展。県建設業協会は業界不信を懸念し、10月9日の理事会でどの候補にも推薦を出さない「自粛」方針を決め、県内各地区の協会にも同調を求めた。

 これを受けて高知市内・周辺の有力大手14社で構成する団体は、「自粛」の方向で協議。ところが、橋本県政の土木行政に批判を強める最大手の1社が松尾氏への団体支援を提案。反発した他の13社が、結果的に“団結”する形で橋本氏支持へ回っている。

 松尾氏支持を決めた最大手企業の役員は、公共事業の縮減で厳しさが増す業界事情を訴え、低入札価格調査制度など県が見直しを進める入札・契約制度を「『安ければ良い』という考え方では、業界はもたない」と激しく批判。

 一方、橋本氏支持に回った会社役員の1人は「松尾市政でも入札制度の見直しはあった。橋本氏は公約で制度の再検討を打ち出しており、4期目に適正な入札制度づくりを期待する。知事が変わったからといって、工事発注量が増える状況ではない」と説明する。

 集団離党も口に

 一方、郡部の中小業者からは、大手主導の選挙対応へ不満などが噴出。高幡地区建設業協会(窪川町、大正町、十和村)などは、松尾氏推薦を組織決定した。

 同地区のある業者は「大手には国の発注事業があるが、県や市町村に頼っている郡部のわれわれはもうぎりぎりの状態だ。我慢もしてきたが、橋本県政にはもう期待できない」と訴え、県東部の業者は「大手みたいに“ふたまた”を掛ける余裕はない」とも。

 浮かび上がってくるのは「橋本氏=大手企業」「松尾氏=中小零細業者」という緩やかな支持の色分けだ。

 前回知事選でも業界は分裂戦を強いられた。県建設業協会の橋本氏推薦決定後に出馬を決めた対立候補を自民党県連が推薦したためだが、今回は同県連の強硬路線が前回とは違ったあつれきを生んでもいる。

 同協会の「自粛」決定後に松尾氏推薦を決めた同県連は、造反者を処分対象とする「党議拘束」をかけて現職支持派県議を除名。これに離党県議が出たばかりか、橋本派の業者も「集団離党」を口にし始めた。

 同県連の元木益樹幹事長は「今回は県連の存亡を懸けた戦い。有力支持団体といえども、造反行為には厳正に対処する方針だ」と厳しい姿勢を崩さないが、かつて保守陣営の選挙で一枚岩を誇った「集票マシーン」も今は基軸を失い、“票流”している。

(知事選取材班)


11月17日付・高知新聞夕刊

 選挙公報など市町村へ配送 県選管

 県知事選挙の30日投票に向けて、県選挙管理委員会(中越豊喜委員長)は17日、候補者の公約や政策を掲載した選挙公報など、選挙に使う2次物資を市町村選挙管理委員会に配送した。

 2次物資は各世帯に配る選挙公報約37万8000部のほか、投票結果報告書など市町村選管が投開票事務に使う9種類の関連書類。県選管の職員ら約10人がトラックに積み込み、県内を5ルートに分けて午前9時前に県庁を出発した。

 物資は既に届けている高知市を除き、17日中に各市町村の役場に到着予定。選挙公報は28日までに各世帯に配布される。


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