モデル世帯の50%給付は受給開始直後のこと。受給20年後には40・5%まで低下する。国民年金の保険料も、賃金上昇率に連動するため、政府の経済見通しで試算すると13年後には月額2万5000円台、上限を上回って今の2倍近くになる――。こんな重要な内容が「後出し」で説明されてきた。
さらに、年金計算にも影響する合計特殊出生率が政府見通しを下回っているデータが公表されたのは法の成立後。「情報隠し」としか見えない姑息(こそく)な政府与党の姿勢は、無知・無関心を浮き彫りにした国会議員の未納問題よりも罪深い。
■またも先送り
年金制度は5年ごとに給付と負担を見直してきたが、そのつど与野党の対立や安易な妥協で財源対策などの難題を先送り。抜本改革が求められた今国会も、国民年金の空洞化対策や年金一元化の論議は不十分なまま終えた。自公民の3党合意は「3年後をめどに年金一元化を含む社会保障制度の一体的見直しを行う」。またも先送りだ。
「与党の無責任な言動は安定政権のおごり。有効な対案を打ち出せない野党にも失望している」(高知市、70歳以上の男性)「強行可決や牛歩戦術にうんざり。国会議員は国民のことを考えていない」(高知市、40代女性)
制度改革の方向だけでなく、本県でも11億円余の赤字を積み残して閉鎖したグリーンピアなど年金資金を使った事業の失敗、社会保険庁の保険料無駄遣い、優遇された議員年金への批判など、県民の不満不信は年金全体に及んでいる。参院選でこれらの問題に、各党各候補者たちはどこまで責任ある公約を示せるのだろうか。
社会保障を担当する県幹部はこう指摘する。
「少子高齢化で高負担なしの高給付が成り立たないのは明白。なのに、選挙が近づくと政治家はそんな説明を避けて人気取りに走る。介護保険や医療保険もそうだが、超党派の責任ある論議で国民の理解を得るしか残された道はない」
【写真】与党が強行採決で通した年金制度改革関連法案。政治の貧困さを象徴するシーンと映る(3日、参院厚生労働委)
(参院選取材班)
(6月19日付・高知新聞朝刊掲載)
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