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政策討論会 焦点
 第20回参議院議員選挙が24日公示(7月11日投開票)される。内政、外交に大きな転換をみせる「小泉政治」、それを支える連立与党への評価が審判の材料になる。県選挙区(改選数1)にはこれまでに、自民党現職で公明党推薦の森下博之氏(62)=1期、共産党新人の中根佐知氏(48)、無所属新人で民主党推薦の広田一氏(35)、無所属新人で社民、新社会両党推薦の松岡由美子氏(56)の4人が出馬を表明。高知新聞社とRKC高知放送は立候補予定者4人による政策討論会を開き、自衛隊のイラク派遣、三位一体改革、年金制度改革などに対する考え方を聞いた。(文中敬称略)
もりした ひろゆき
森下 博之氏
森下博之氏 都市との格差なくす
自民党公認
なかね さち
中根 佐知氏
中根佐知氏 民主的な国会つくる
共産党公認
ひろた はじめ
広田  一氏
広田一氏 次代へ新しい政治を
無所属
まつおか ゆみこ
松岡由美子氏
松岡由美子氏 平和憲法を守り抜く
無所属

決意と公約

 ――参院選公示まで1週間を切った。出馬への意気込みや政策を。

 森下 これまで参院議員として6年間、都会と地方の地域間格差や経済格差をなくすことを大きなテーマに掲げ活動してきた。今日のように都会だけが繁栄を続け、地方がますます疲弊していくことは許されない。国土の均衡ある発展を念頭に国土政策を再構築していかなければならないと考えている。これからも都会と地方の格差をなくすことを国政の場で主張していくことを誓う。

 中根 乱暴な政治の中で国民の生活破壊、不安が広がっているのを身に染みて感じる。税金の使い道を正し庶民が安心して暮らせ、希望を持ち先の見通しが持てる社会をつくりたい。なし崩しで自衛隊を多国籍軍に参加させる表明を、議論抜きに首相が約束してくる事態も異常だ。平和憲法は守る。誰が見ても民主的なルールのある丁寧な討論をする国会、命と暮らし、平和を守るための政治につくり変えたい。

 広田 自分たちの暮らしを良くするためには政治が変わっていかなければならない。現在の古いしがらみの長老政治を終わらせて世代交代を進め、自分たちの将来はもちろん、子や孫のための新しい政治をつくっていく。そのための公約は、高齢者が安心し、若い世代が信頼できる年金制度の確立。三位一体改革といった失政をやめさせること。少子化対策。女性の社会参加などを通じてこの高知から日本の政治を変えていきたい。

 松岡 戦争で祖父とその弟を亡くし平和憲法を守りたいという気持ちで今日の政治状況を見ていた時に、「平和憲法21フォーラム」から出馬要請があり、憲法を守ろうという国民が立ち上がるきっかけになればと思い、出馬を決意した。平和憲法を守り抜くことを訴え、国民の誰もが安心できる社会保障制度、とりわけ年金制度の抜本的な改革や政治を国民の手に取り戻すために具体的な政策を求めていく。

政権評価

 ――3年が過ぎた小泉内閣の改革路線への評価は。

 中根 国民に痛みを押し付ける構造改革路線の一方で、アメリカの要求を丸のみで従っていく姿勢、憲法改悪へのめり込む強硬姿勢が目立った3年間だった。国民には7兆円もの負担増を押し付け、リストラ支援や大企業の減税。弱肉強食の政治そのものだ。痛みに耐えれば明日は良くなるどころではない。農林漁業、地方の切り捨ては一層進んだ。アメリカに言われるまま自衛隊をイラクに派兵することも本来は無理のあること。憲法軽視も際立っている。暮らしと平和を守る政治に変えなければならないと思わせる政権だ。

 広田 就任当時は多くの人が小泉首相に「改革者・挑戦者」というイメージを持っていたと思うが、イラク問題や年金問題の答弁でも分かるように、おごりと言うか開き直りが、あまりにも目に付くようになった。政策的には「国から地方へ」「官から民へ」という言葉には賛成だが、やっていることは逆だ。具体的には一次産業の政策の失敗であるとか、三位一体改革の失政を見ても多くの県民が理解してくれていると思う。小泉さんの地方切り捨ての政策は「許さない」と訴えていきたい。

 松岡 まったく評価できない。小泉首相は国会論戦でも反対意見は見解の相違で片付け、説明責任を果たしていない。勤務実態のない会社の厚生年金に加入していたことも無責任。構造改革ではリストラによる雇用への不安、医療費の3割負担、高齢者医療・年金制度の改悪、地方財政の切り捨てなど国民をないがしろにしている。アメリカの言いなりにイラク戦争に加担し、憲法違反の靖国神社参拝や有事法制など憲法改悪路線をひた走る極めて危険な指導者だ。これ以上表面的なパフォーマンスに惑わされてはいけない。

 森下 小泉内閣には評価すべき点と正直、不満な点がある。終始「聖域なき構造改革」を進めることによって、わが国経済が好転の兆しを見せている点は評価できる。また、国交のなかった北朝鮮との対話の扉をこじ開けた点もそうだ。拉致問題にも一定の進展を見たわけであり、評価できる。しかし、地方の実情を無視した国と地方の三位一体改革は極めて不満だし、小泉首相と意見を異にする。

自衛隊派遣

 ――混迷を続けるイラクでの自衛隊駐留は、小泉外交の焦点の一つ。参院選での論議は避けられない。

 広田 日本が国際社会の一員として世界から信頼されるためには、国連中心主義を貫いて平和を創造する国に向けて、もっと積極的で主体的な外交を繰り広げなければならない。多くの国民は今の日本の外交がアメリカ追随、正確に言えばブッシュ政権追随ではないかと考えている。イラク戦争の大義名分であった大量破壊兵器はまだ見つからず、フセイン政権が打倒され大統領が捕まっても、イラク国民の反抗はとどまることを知らない。イラクへの自衛隊派遣は根拠がないことだ。

 松岡 もちろん反対だ。もともと自衛隊派兵自体が、憲法違反のイラク復興支援特別措置法によって行われた。ましてや今のサマワが戦闘地域であることは明らかで、ただちに撤退すべきだ。にもかかわらず小泉首相は多国籍軍への参加まで表明しており、明らかに憲法違反だ。イラク人捕虜への残虐行為、ファルージャでの大量の民間人殺りくなど許されないことも行われている。アラブ諸国の信頼を回復するためにも、直ちに自衛隊を撤退すべきだ。日本国憲法の平和主義は国際的にも評価されている。平和憲法を踏みにじるアメリカ言いなりの外交はただちに改め、憲法を中心に協調の外交を進めるべきだ。

 森下 イラクへの自衛隊派遣はイラク特措置法に基づいて行われた。イラクでの自衛隊員の懸命の支援活動に頭が下がる思いだ。国際社会からは、日本は経済協力しかしない国との批判を受け続けてきた。自衛隊派遣は、国際社会の一員としてその責任を果たしたという点では高い評価をしている。もとより自衛隊が戦闘や治安活動に参加しているわけではない。これから日本が国際社会で名誉ある地位を得るためにも、自衛隊派遣は一定評価できると考えている。

 中根 アメリカが国際法を無視して無法に仕掛けたイラク戦争と、その後の占領に協力する自衛隊派兵は明らかに間違いであり、即時撤退を求める。(日本が)無批判にアメリカに追随することで世界の多数の国々、特にアジアの国々から孤立してしまうことに危ぐを抱いている。日本の進むべき道は、国連憲章の平和のルールに沿って国際秩序を築くこと、安保条約を破棄して自主平和の外交に変えること、アジアの一員として平和・護憲の立場で積極的な役割を果たすことだ。唯一の被爆国として、核兵器廃絶へのイニシアチブを発揮しなければならない。平和外交でこそできることが山ほどある。

憲法改正

  ――国際貢献の在り方をきっかけに、憲法改正論議が活発化している。参院選後は、改憲が大きな政治テーマとの見方もある。それぞれの立場で考えを。

 松岡 憲法改悪の政治日程は各政党の改正案策定などを経て、一気に進んでいくと心配する。自民党などは平和主義を尊重すると言っているが、狙いが憲法9条改正にあることは明らかだ。軍隊としての自衛隊を当たり前に海外派兵する「戦争のできる国」へ方向転換しようとしている。基本的人権の尊重や福祉、教育の充実、自由な経済活動、民主主義はすべて平和な社会の上でこそ可能だ。平和な社会は子を持つ母親の願い。平和憲法による国づくりを国民と実現したい。

 森下 私は憲法全体に流れる理念や精神を考え、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重の条項に手を加える必要はないと思う。しかし、憲法制定時から多くの歳月が流れ、日本を取り巻く国際情勢、国内の社会経済に大きな変化があった。国民の議論を踏まえて憲法全体を考えていく時期だ。一番大事な問題は、一国の自衛権を担保する自衛隊を憲法上、明確に位置付けることだ。憲法といえども永久法ではない。日本の将来のため大いに議論すべきだ。

 中根 憲法改定の狙いが一体どこにあるのか。「戦争はしない」「軍隊を持たない」と決めた憲法9条を変えることだ。歯止めをなくし、日本をアメリカと一緒に海外で戦闘行為ができる国にしようとしている。9条は第2次大戦の悲惨な歴史から、国民が「二度と戦争を繰り返さない」という決意を刻み込んだものだ。いくら60年近い時間がたっても、世界に誇る宝だ。憲法改悪に断固として反対する。21世紀の国づくりには平和憲法をしっかりと生かさねばならない。

 広田 現行憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という3原則は21世紀も大切な理念で、さらに発展させねばならない。特に論点の一つである憲法9条は、その精神をしっかり守っていく。その上で、価値感が多様化し、変化が激しい現代では論憲を積極的に進めるべきだ。政治家は言葉において、タブーを設けるべきではない。具体的には国連中心主義、地球環境を見据えた環境権、地方のことは地方で決める地方主権などの明文化に取り組んでいく。

三位一体

 ――国・地方財政の三位一体改革は交付税削減が先行し、地方に大打撃を与えている。「骨太の方針第4弾」に3兆円の税源移譲が盛り込まれたが、今後の道筋はまだ不透明だ。今後、改革をどう進めるべきか。

 森下 現状は地方の補助金、交付税カットだけが先行しており、極めて不満だ。地方への権限や税源移譲がセットになった三位一体のはずだが、本県のような自主財源が乏しい地方には、その効果は全く期待できない。政府は3兆円の税源移譲とともに、財政力の弱い地方自治体については交付税で必ず処置し、改革の全体像も今秋までに示すと約束した。政権与党の一員として、政府の提案がきちっと実行されるかどうか、厳しく監視したい。

 中根 当初は地方分権の推進が目的だと言われていたが、実際は地方の切り捨て。国の財政赤字を地方に押し付けるやり方に、怒りの声が上がるのは当然だ。地方は国土、環境、食糧という掛け替えのない役割を担っている。地方を痛め付けると、国自身が後でとんでもない痛手を受けるだろう。住民サービスの維持や自治体運営を脅かす交付税と補助金の削減・縮減には反対していく。税源移譲は所得や資産にかかわる税を中心に行い、都市と農山村の格差是正のため、交付税制度の財源保障、調整機能の拡充を一体で進める。強引な市町村合併にも反対だ。

 広田 三位一体と称しながら、補助金削減と交付税減額のマイナスに見合うだけの税源移譲という地方のプラスはほとんどない。国の財政再建を優先した地方いじめ、地方切り捨てだ。地方は今、厳しい不況にあえいでおり、税収が大幅に低下している。このままでは行政サービスを維持できないばかりか、地域経済への影響も避けられない。例えば、森林率や投票率といった新しい算定基準を導入した地方に有利な交付税制度が必要ではないか。国のひも付き補助金も廃止し、それに変わって使い道を地方自らが決める新しい制度を提案したい。

 松岡 改革の趣旨は一定理解するが、本当の意味で自治体の自立が保障される改革でないといけない。もっと自治体や国民の声を聞き、手法を見直すべきではないか。憲法に定めた国の義務として、教育関連費や生活保護費に関する補助金は現在の形を守るべきだ。政策誘導型の補助金は、地方の声を聞いて一般財源化し、財源の移譲とセットにして自由度を高めるべきだろう。税源については、地域格差を放置したままでは困る。3兆円の税源移譲より多くの補助金や交付税を減額すれば、自治体は成り立たない。交付税の財源保障、調整機能をきちんと確保し、住民ニーズに合った財源を保障すべきだ。

年金制度

 ――年金改革をめぐる国会審議は混乱。首相を筆頭に多くの未納議員が出て、本質的な議論が置き去りにされた。強行採決の手段を取った与党としてどうみるか。

 森下 私の判断としては、衆議院で40時間、参議院も30時間を超える審議をした。予算委員会でも取り上げられ、審議は一定尽くされたと思う。ただ、率直な感想として、政府案と民主党案は一長一短ある。自分の案は良い、他党の案は悪いと言い合って、議論がかみ合わなかった気がする。

 ――民主党も混乱続きで国会を終えた。

 広田 国民が今国会の審議で一番期待したのは、制度の論議を深めることで将来への不安が解消できるかどうかだった。特に国民年金は約40%が保険料を納めていない。こうした現状に対し、政府案は負担は上げる、給付は下げるという内容。40%の未納が解消できるかという議論はなされていなかった。それに対して、国民の70%は今国会での成立は見送るべきだという率直な意見が出た。

 ――“年金国会”にどんな感想を持ったか。

 松岡 多くの国民の反対を押し切って強行採決したのは良くなかった。スウェーデンでは超党派で8年かけて、国民が老後も安心して暮らせる制度を議論した。今国会で無理やり通すのでなく、もっと多くの議論で国民が安心して暮らせる制度にするべきだ。

 ――共産党は本会議の採決に参加して審議に加わった。

 中根 森下氏は十分な議論を尽くしたと言うが、参議院に回ってきた段階で、政府案の数字が違うことが明らかになった。その後、何が違うのか十分に議論し尽くされず、公聴会も開かずに、厚生労働委員会でも共産党と社民党、無所属の審議が断ち切られた。こういうやり方では議論をし尽くしたことにはならない。年金法案そのものも問題だが、ああいう国会の醜態は許せない。共産党は国民の立場で最後まで議論を尽くすために反対討論にも立ったが、やはりルールは大事だ。

 ――与党は年金改革を「100年安心プラン」とアピールしているが、「とても安心できない」という圧倒的な不安・批判がある。

 森下 今回の法改正には、このままでは年金財政が破たんしかねないという背景がある。政府案にしろ民主党案にしろ長短がある。多くの解決すべき問題も浮き彫りになった。3党合意もあり、引き続き与野党で協議を重ね、より良い年金制度をつくることに私も力を尽くしていきたい。

 ――年金未納者の増加による空洞化が深刻だが、信頼される制度をどう構築すべきか。共産党の考えは。

 中根 今回の改革では本来、制度の土台をしっかり立て直すのが一番大事だったと思うが、実際には無年金と低年金で苦しんでいる人たちの問題が大きい。憲法25条の生存権を暮らしに生かす立場で、最低月額5万円を保証する年金制度をつくりたい。消費税に頼るような財源対策では、弱い立場の人が痛手を被る。税金と年金の積立金の使い方を正す中で制度をつくっていきたい。

 ――年金の一元化論議が抜本改革につながるかどうか。

 広田 「公平で分かりやすく」が一元化の目的の一つだ。今は勤労者と自営業者、公務員と民間、正社員とパートでばらばらで、不公平感を生む原因になっている。もう一つは、人の人生は、あるときはフリーター、会社勤め、ベンチャー企業立ち上げなど、さまざまに変わっていく。一元化によって、自分の所得に合った保険料を納めていく意義は大きい。

 ――厚生労働省が発表した人口動態統計で一層の少子化の実態が明らかになった。年金再構築をどう考えるか。

 松岡 女性が子供を産みにくい世の中になっており、ますます少子化は進むと思う。今の年金制度は世帯単位で女性にとって不平等。個人単位にあらためていかなければならない。年金法案は破たんしており、一度廃案にして抜本的に改革議論をすべきだ。

 
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