年金改革法の強行採決、国会論議抜きの自衛隊の多国籍軍参加表明など、小泉政権のおごりが目立った公示前。
「これで小泉旋風は吹きやんだ。年金未納をめぐる内部のごたごたで民主党も色あせている」。共産党県委員会は、二大政党に対して「第三極」をアピールする好機ととらえていた。
足場固めたが…
同委員会は比例代表を“主戦場”と位置付けて県内7万票を目標に設定。県選挙区には、3年前の参院選や高知市長選出馬で知名度を高めた中根佐知氏を立て、相乗効果を狙った。
さらに、これまでの選挙で進めてきた「無党派との共同」から「党組織の足場を固める戦い」に方針を転換。市町村議や地域の党員らが有権者と対話を進め、「自ら風を起こす」構想を描いた。
しかし、思惑は外れる。「ビッグネーム」を相次ぎ送り込んでくる自民、民主両党。有権者の目は二大政党の争いに奪われ、政権批判の風は民主党の推す広田一氏に収れんされる格好になった。「序盤の反応は良かったが…。現状では二大政党の壁を打ち破るのは難しい」。佐竹峰雄・党県委員長はため息をつく。
中根氏は高知市などで健闘して5万2000票を集めたが、比例票は4万5000票。目標に遠く及ばなかった。全国の党勢退潮はさらに深刻で、改選15議席のうち11議席を失った。
スパイラル
「改憲」の自民と「論憲」の民主による憲法改正の流れにくさびを打つため、元郵便局員の松岡由美子氏を推薦した社民党と新社会党。こちらも「第三極」の浮沈をかけた戦いだった。
「護憲は旧社会党時代からの大命題。やせても枯れてもこれだけは譲れない」。新社会党県本部の浜田嘉彦副委員長(県議)らは、4月に出馬表明した松岡氏の出遅れをはね返そうと、連日の街頭演説で平和への願いを訴えた。
しかし、旧社会党支持者や労組の多くが民主党に傾斜する中、支持の広がりは見いだせなかった。社民党高知市議らの動きも鈍く、同党県連合の江渕征香代表(県議)は「昨年の衆院選で大敗したショックもあって党が一丸になれなかった」とうなだれる。
結果は供託金が没収となる2万3000票余り。出口調査では、社民党支持者の4割が広田氏に投票したと回答。「負けを重ねることで票が“勝ち馬”に流れ、護憲勢力の存在感がさらに薄れる」。現状を“デフレスパイラル”に例える支持者の嘆きは、二大政党化のあおりを受ける既成政党の思いを代弁している。
◇
今回の参院選は、政権交代の素地をさらに膨らませつつ、自民・公明の連立与党に組織や協力関係の再点検、民主に風頼みの体質克服、共産・社民には根本からの戦略見直しを迫って終わった。
持続可能な社会保障制度、新たな国と地方の関係、国際貢献の在り方、そして憲法改正…。どれ一つとっても国民の信任なしに前進はあり得ない。小泉政権の足元に吹き付けた「風」は、国政課題の所在もあらためて浮き彫りにしている。
【写真】「第三極」をアピールした中根佐知氏=右=と松岡由美子氏。二大政党の壁は越えられなかった
(参院選取材班) =おわり=
2004年7月16日朝刊掲載
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