公示を2日後に控えた6月22日。高知市の市文化プラザ「かるぽーと」で森下博之氏の総決起大会が開かれていた。
応援弁士は自民党の安倍晋三幹事長。小泉純一郎首相に次ぐ党の顔だが、数百席しかない1階席が埋まらず、聴衆の熱気も感じられない。同党の動員力からすれば、目を疑う光景だった。
学会は自主投票
「かるぽーとショック」―。同党県連はこの出来事をそう呼び、「嫌な予感」を引きずりながら選挙戦になだれ込む。
年金制度改革、イラク多国籍軍への自衛隊参加問題、地方財政に打撃を与える三位一体改革、そして小泉内閣の支持率低下。これらの逆風に加え「森下氏はこの6年間で全県に根を張る後援会組織をほとんどつくっていない。支援してくれるはずの首長や議員も反応が鈍い」(県連幹部)。
じりじりするような焦りを覚える中で、選対を仕切る県連の元木益樹幹事長(県議)は「現職の再選は県連の組織力と公明党の協力で活路を開くしかない」と、比例候補を抱える業界団体との連携、公明党との選挙協力を推し進めた。
個人演説会や街頭集会では、公明党県本部の石田祝稔代表(衆院議員)や同党の県議、市議らがマイクを握り、「比例は公明、選挙区は森下氏」と、連立与党の候補者を支援。自公による安定政権を訴えた。
自民党の公明党に対する配慮もあからさまで、陣営内は「公明の力がなければ」との空気に染まった。
しかし、肝心の公明党の支持母体・創価学会は「党の決定を参考にはするが自主投票」のスタンス。対立候補の広田一氏を支援する局地的な動きが消えることはなく、森下氏に完全に一本化することはなかった。
“体力”は13万票
選挙戦中は小泉首相が2度も来高し、青木幹雄参院幹事長も業界団体へてこ入れ。党本部からの来援攻勢と「民主上昇」の予測報道による危機感をばねに、最終盤は「風向きは変わった」との見方が陣営内に広がる。
陣営は勝敗ラインを13万票、投票率を上限53%台と読み、「14、15万票を出す“体力”はないが、13万票には何とか届く」と見た。実際に森下氏の得票もその線に沿ったが、広田氏はそれを大きく上回る16万票近くを集めた。
昨秋の衆院選で自公両党はかつてない協力関係を築き、県内の3小選挙区で自民候補がたたき出した得票は合計20万票を超えていた。その自公協力の威力も「小泉政治」に危機感を抱く有権者の審判の前になすすべもなく半減した。
選挙後、公明党の石田代表は「比例は表で選挙区は裏。ただ党としてやるだけのことはやった。複雑な心境だ」と漏らし、選挙中に「県連会長の職責を懸ける」と言明した県連の中谷元会長(衆院議員)は「力が及ばなかった」。元木幹事長も「組織が不完全燃焼だった」と敗戦の弁を語った。
衆参の県内選挙区で独占してきた5議席の一角を明け渡した自民党はあす16日、県連の執行役員会を開き参院選を総括する。
【写真】森下氏の応援に公明党県本部の石田代表は欠かせなかったが…(6月30日、高知市の中央公園)
(参院選取材班)
2004年7月15日朝刊掲載
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