「小泉政治」の信を問う第20回参院選の審判が下った。結果は、民主党の躍進で二大政党化への傾斜がいっそう深まり、自民党が後退する一方で公明党は連立与党内での相対的な比重を増した。
こうした参院勢力図をつくり出した有権者は、小泉内閣の改革路線や首相の政治手法を3年前の「旋風」による反動や痛手と受け止めるかのように、自民の対抗軸である民主の増勢へとつなげたことになる。
小泉政権に自制を促す吹き返しの「風」は県選挙区でも起こった。
上限値6割?
「高ければ広田、低ければ森下。勝敗は投票率の高低で決まる」
県選挙区で激しく競り合った無所属新人で民主党の推薦を受ける広田一、自民党現職で公明党が推薦する森下博之両氏の陣営は、こういう読みでほぼ一致。投票率予想も「県平均50%台前半、高知市45―46%」と似通っていた。
しかし、有権者は両陣営の予測を外してみせた。投票率57・30%は、小泉旋風で沸いた13年参院選の58・39%に匹敵する水準だ。
無党派層が時に政権党への脅威となるのは過去の選挙で立証済みだが、今回の事前の関心度は決して高くはなかった。無党派層は「破壊力」とともに「瞬発力」を備えたようでもある。
「今後の政治は、何があっても投票しない有権者が4割はいるということを前提に考えないといけない」
作家の高村薫さんは、昨年11月の衆院選の低投票率を踏まえ、こんな警句を発している。それに従えば、投票率の上限値は60%。参院選県選挙区では5回連続で60%割れを記録したが、今回は物言う有権者の大半が「物を言った」とみることも可能だ。
風の原動力は
年金制度改革関連法が参院本会議で成立した6月5日。
徹夜国会で法案採決に至ったその日の午前中、高知市の高知会館で、県内町村長や町村議会議長らを前にした森下氏ら本県関係の衆参議員や代理の秘書たちが、神妙な顔つきで座っていた。
「われわれは集票マシンではない」「このままでは支援する気にもなれん」。国の一方的な三位一体改革にあえぐ自治体リーダーたちからは、遠慮ない怒声が浴びせかけられた。
今回の参院選で与党は、年金問題で一般市民層を、三位一体改革などで自治体関係者まで敵に回した構図がある。
首相退陣に発展した平成元年、同10年の参院選がそうだったように、小泉政権を今回苦しめた吹き返しの風の原動力は、まさに「痛み」にほかならない。
国会議員に物を言った町村長の一人は選挙結果を受けてこう口にした。
「私たちは真に必要な痛みなら拒みようがない。逆に、理不尽な痛みなら拒む。しかし、今の政権や与党からは満足な説明すらない」
【写真】小泉首相の応援演説に集まった聴衆は3年前に比べ格段に減っていた(6月30日、高知市の中央公園)
(参院選取材班)
2004年7月13日朝刊掲載
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