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【7】
識者「有権者にも責任ある」
「知事との対談が始まりまーす」
今月21日。徳島県鳴門市の鳴門教育大学は学園祭の最終日を迎え、キャンパスは熱気であふれていた。特設ステージに飯泉嘉門知事が登場すると、学生や親子連れらが集まり始める。ざっと100人以上が席を埋めた。
「最近の学生、みんな賢くなり過ぎてるよ。もっとばかにならないと。円周率を最後まで追ってみるとか」
知事と学生の対話という堅めの企画。なのに、飯泉知事の飾らないトークで会場は和んだ。「若い感性に接したい」と知事サイドが打診して実現したイベント。飯泉知事は細い目をいっそう細めて終始ご機嫌。学生の印象も「気さくな人」。
県民との対話を意識した県政運営に努める飯泉知事。就任後には「しゃべり場とくしま」「とくしま円卓会議」などをスタートさせ、議会運営では軸足を「全方位」に移し始めている。
昨年5月の出直し知事選では、国政の与野党ががっぷり四つ。大田正前知事を民主、共産など野党が推し、飯泉氏は自民、公明など与党の全面支援を受けた。
就任当初は、激戦直後の高ぶりからか、政党へのスタンスを「温度差を付けざるを得ない」としていた。それが徐々に変化する。
「まずは可動堰(ぜき)以外のあらゆる方法から検討することを国に要望する」
就任10カ月目、今年の県議会2月定例会。飯泉知事は自民党県議の質問を受けて、吉野川第十堰問題の打開策を切り出した。可動堰化を推進してきた自民党には根回しなし。「国と話してきとんか!」。議員席からやじが飛んだ。「脱自民」の姿勢が顕著に表れた場面だった。
財政運営、雇用対策、震災対策などなど。山積する県政課題に臨む飯泉知事の評価が定まり切らない中で、第十堰問題は徳島市の住民投票結果を受けて事実上白紙化の状態だった。
「推進派の熱が冷めてきたのを見計らった現実的な判断」「官僚出身らしいしたたかさ」。そんな論評のほかに、「政策を思い通り展開するには、特定の政党に縛られたくないと考えたんやろ」との見方が広がっている。
2つの民意
元知事の汚職、前知事の不信任を経て行き着いた今の飯泉県政。「乱」が一応収まって、静かに振り返る人がいる。政治学を専攻する徳島大学の栗栖聡助教授(49)。
「何でも反対の『敵対関係』でも、総与党化による『なれ合い』でもだめ。議会に求められるのは節制の効いた批判」「知事も議会もどっちも民意。で、対等。ぶつかれば、県民に見える形で事実関係をオープンに議論するしかない」
県民に向けて語り切れていない知事と議会、両者の対立の成り行きを見守るだけの県民。そんな構図を指摘する栗栖さんは、論をこう結んだ。
「“2つの民意”を生み出した有権者にも責任があるわけでね。求められるのは知事、議会の適度な緊張感。知事と議会の関係が異常と考えるなら、県民もチェック役として問題解決への一端を担うべきではないか」
適度な緊張感―。この物差しから見た飯泉県政の姿は「べたなぎ? いや、さざ波程度かな。議会の傍聴者は減っているけどね」。
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知事不信任の舞台となった長野、徳島の「出直し後」に触れて、高知に戻った。高知の出直しの先にある風景は…。4日後にその輪郭が決まる。
【写真説明】学園祭で学生と討論する飯泉知事=中央(徳島県鳴門市の鳴門教育大)
=おわり= (出直し県知事選取材班)
知事 昭和22年施行の新憲法によって、それまで政府が任命していた「官選知事」から住民が直接投票で選ぶ「民選知事」に変わった。県の仕事の約8割を国の機関委任事務が占めていたが、平成12年4月施行の地方分権一括法で同事務は廃止。これまで「上下・主従」だった国と地方の関係を「対等・協力」にすることを目指しており、知事には一層の役割が期待されている。
(2004年11月24日付・高知新聞朝刊)
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