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第19回参議院議員通常選挙が間近に迫った。今のところ7月12日公示、同29日投票が有力。県選挙区(改選数1)にはこれまでに、自民党現職で元建設政務次官の田村公平氏(54)=1期=、民主党新人で党県連男女共同参画局長の中村久美氏(41)、共産党新人で新日本婦人の会県本部事務局長の中根佐知氏(45)、無所属新人で前自民党県議の広田一氏(32)の4人。「聖域なき構造改革」を掲げ、80%台の驚異的な支持率を保っている小泉内閣に国民がどんな審判を下すのか。自民、公明、保守の与党3党が参院で過半数を維持できるのか。21世紀初頭の政治潮流を占う「新世紀決戦」を前に、高知新聞社とRKC高知放送は、4人の立候補予定者による政治座談会を開き、出馬の動機や小泉内閣の評価、憲法改正、経済対策などについて率直に語ってもらった。(文中敬称略)
■ 出席者 ■
田村 公平氏(54)=自民党公認
早稲田大政経学部卒。NHK勤務、父田村良平衆院議員の秘書を経て、平成7年の参院選県選挙区で初当選。1期。元参院自民党副幹事長。元建設政務次官。香美郡土佐山田町出身。高知市九反田。
中村 久美氏(41)=民主党公認(社民党、自由党推薦)
土佐女子高卒。東映俳優センター所属の俳優を経てフリーアナウンサー。昭和62年から4年間、ニューヨークで日本語放送局とアナウンサー契約。民主党県連男女共同参画局長。高知市出身。高知市北秦泉寺。
中根 佐知氏(45)=共産党公認
和光大人文学部卒。川崎市の小学校臨時教員などを経て、昭和60年から共産党県委員会勤務。平成4年から新日本婦人の会県本部事務局長。こうち女性団体ネットワーク理事。安芸市出身。高知市福井町。
広田 一氏(32)=無所属
早稲田大社会科学部卒。小渕恵三元首相の私設秘書を務めた後、コクド入社。平成7年県議に初当選。2期目途中の13年4月辞職。元自民党県連副幹事長。土佐清水市出身。土佐清水市戎町。
(上から参院勢力、現・新順)
司会 高知新聞政治部長 遠山 仁
高知放送アナウンサー 橋詰 佐織
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――選挙戦を前に今、最も気になっていることを。
田村 やはり景気、経済であり、もう一つはこれからの自民党のことだ。自民党は九年前の参院選で過半数割れを起こし、これが政治の不安定、失われた十年と言われる状況を招いた。いろんなことが起こり、時代の流れが大変速いテンポで進んだときに、やることが後手後手になった。その中で四月に発足した小泉内閣に国民が強い期待を持ち、(政治の)安定を求めている。われわれが、どう自民党の再生、改革を進めていくか真価を問われるところであると同時に、最も気になるところだ。
中村 (立候補予定者)全員が同じだと思うが、この参院選の結果が一番気になるところだ。それ以外で言うなら、田中(真紀子)外相と外務省の今の(対立している)問題だ。今まで外交の問題、外務省の中のことはとても厚いベールに包まれていて、私たちの前にこうしてさらされることがあっただろうか。改革が進んでいく中で、官僚が主導してきた政治が政治主導型に変わってきており、今その過渡期にあると思う。この問題は市民として、しっかりと見届けていきたい。
中根 いま一番気になるのは、深刻な不景気の中で弱い立場の方の暮らしがどんどん大変になっていることだ。県内を回り、皆さんの声を直接聞いてきたが、本当に胸に迫るものがあった。介護保険サービスを十分に受けることができない話。少ない年金で生活している人が「保険料を取られる」という涙ながらの訴え。商店、農家の方から「今の暮らしでぎりぎりだ」とも聞く。この声を政治の力で一日も早く解決したい。また、こんな状況の中で育つ子どもたちのことも気に掛かる。
広田 気になるのは、県政最大の問題、やみ融資のことだ。私自身も四月まで県議を務め、百条委員会の一員として審査に加わってきたが、このような長年の膿(うみ)のようなものが今、白日の下にさらされようとしている。こうした問題は高知県に限らず、他の地方、国にもあるかもしれない。やはりこれからは、情報公開と説明責任が何よりも重要だと痛感している。県民、知事、執行部、議会がこの難局を乗り越え、新しい二十一世紀の高知県をつくってほしいと願っている。
――それぞれの思いをどう県民に伝えるのか。出馬の動機、決意を。
中村 私たちは長い間、(政治の)外野で「あれもいや、これもいや」と言うだけのお任せ民主主義で、あきらめてしまってきた。これでは政治は絶対変わらない。市民の代表がどんどん政治に参加しなければならない。少子、高齢化、環境の問題はもう待ったなし。子どもがすくすくと育つことができず、女性が子どもを産まなくなったら…。この日本、地球を子どもたちにきちんと手渡すことができるのか。心配だ。私は四十一歳。先輩やお年寄りの古き良き時代を辛うじて知っている。仕事だけではなく、遊びも生活も楽しみたいという今の若者とお年寄りたちをつないでいけるかなめの年代。その私たちが政治に参加することで日本が変わっていくと思う。
中根 三年前の参院選では、(共産党推薦、無所属で立候補した)西岡瑠璃子さんを国会に送ろうと、無党派の方々と県内を駆け巡って頑張った。結果は残念だったが、私がそんなみんなの思いを引き継いで国政に持っていきたいと考えている。大企業優先の政治を国民の暮らし優先の政治に切り替えたい。深刻な不況をその中で解決したい。社会保障を充実させて、お年寄りが安心して暮らせるようにしたい。子どもたちの問題も手放せない。女性の力が正当に評価される男女平等が貫けるような社会にしていきたい。二十一世紀は「環境の時代」と言われる。食料自給率の問題も重要。農林漁業の発展に力を尽くしたい。金権腐敗の政治をみんなのきれいな政治に変えていきたい。
広田 今回の参院選は二十一世紀最初の選挙。日本が大きく変わる中での選挙であり、大きく二つのことが問われている。一つは、改革をだれに託すのか。既得権益を守ろうとする方々に私たちの改革を託すのか、それともしがらみのない新しい人間に託すのか。もう一つは、これまでの政治は痛みを恐れて、私たち若い世代や子や孫につけを回してきた。そういった恐れを断ち切り、痛みを伴うかもしれないが、未来に責任を持った政治を行えるかどうかが問われている。情報公開と説明責任を徹底し、政治への信頼を取り戻す。そのことによって地方の改革、財政、経済構造の改革を進めていくことが求められている。若い世代の代表としてその先頭に立っていく決意だ。
田村 六年前の参院選は無所属で戦わざるを得なかった。そしてこの六年間、自民党を変えようと言い続けてきた。自民党は高知から変わりつつある。六年前の当選インタビューで「役に立たなければぶちこかしてくれ」と言った。この六年間、それまでだれもが成し得なかった激甚災害指定基準の緩和に取り組んだ。あの阪神淡路大震災ですら激甚災害のA基準にならなかった基準を変えた。そして災害が起きないようにするにはどうすればいいのかを、災害常襲県の高知に生まれ育った私は国会で訴え続けた。その結果、この四月から施行された土砂災害防止法も作った。今回の選挙は私の六年間の実績、評価が問われる選挙だと思っている。
――無所属の広田さんは政党の支援を受けるつもりはないのか。
広田 政党に対して推薦をお願いするつもりはない。
――四月の発足以来、小泉内閣は80%台の驚異的な支持率を保っている。内閣の評価について伺いたい。
中根 問題は内閣の中身。小泉さんは痛みを伴う改革をやるというが、国民は今でも十分に痛みを感じている。これから先の医療費の問題でも、高齢者の負担は二割になり、働いている人は三割負担になると言っている。これ以上の痛みを伴わせてどうするのか。許すことはできない。また平和憲法の九条を変えるとしながら、KSD疑惑や機密費の問題はあまり追及しようとせず、まともな対応はしていない。国民に痛みを背負わせ、日本を戦争に導くような内閣になるのではないかと、危ぐしている。小泉内閣の改革は自民党の枠内の改革であり、私たちが望んでいる改革とは違うものになるのではないか。
広田 支持率の高さはこれまでの派閥、談合、密室政治を打ち破ってくれるだろうという国民の期待とともに、森前総理の不人気の反動という面も多分にあるのではないか。その中で小泉総理は「聖域なき構造改革」を打ち出している。考えなければいけないのは、高知県民にどのような影響を与えるかということだ。もしそれが、地方交付税の底の浅い改革につながるとすれば断固反対する。地方に一方的に犠牲を強いる改革はどうしても阻止し、都市と地方が共存できるようにしなければならない。
田村 小泉内閣が発足してまだ二カ月目。今まさにその改革がスタートするところだ。私自身、高知県の自民党を、腐り切った自民党を変えようとやってきた。党員投票の結果、小泉さんが一番になった。私は良心に照らし自信を持って小泉さんに投票した。これは高知県からの改革の始まりで、同じことが全国でも起きた。私も小泉さんと似たような性格だから本音でしゃべる。改革は自らが実行しなければだめだ。「地方交付税の改革は浅い」と言うが、国会議員になろうとする者は仮定論ではなく、識見を持ち国民に広く話をする時代に入っていると思う。
中村 政治に関心がなかった人が、国会中継を見て「今、政治は面白い」という。今までの国会は、官僚がつくったものをそのまま読んでいた。ところが小泉さんは自分の言葉で語っている。「通訳」がなくても生で見られるようになった。だから注目が集まっている。国民が政治に興味を持つようになったのは素晴らしいこと。そのドアをもっと開いてもらいたい。小泉さんは今何をしようとしているのか、改革が終わった後に日本はどんな形になっているのか、「聖域なき構造改革」に反対する勢力はどこにあるのか、国民の皆さんに見届けてもらいたいと考えている。
――個々に反論したいことがあれば討論を。
広田 小泉内閣は改革の一つに地方交付税の削減を打ち出しているが、まずこれまでの地方交付税が、従来の役割を果たしてきたのか疑問がある。例えば地方交付税特別会計借入金の問題や、十三年度から始まった赤字地方債の発行を地方に強いることから見ても、その質が大変悪化している。これを放置してきた国会議員は一体何をやってきたのか、地方議員をしながら私自身そう思っていた。単に地方交付税を削減することが改革になるのか。小泉さんは何をしているのか。田村さんからもご意見があれば聞かせていただきたい。
田村 内閣は行政府であり、法律を変えなくては駄目だ。それを議論していくのが国会だ。あなたも県議会議員だったから分かるでしょう。地方が切り捨てられたら困る。痛みを伴うのであれば、どの程度の痛みなのか、いろんな意見がある。国税を地方に配分する地方交付税が制度疲労を起こしているから、より良きものに見直していく、そこからまず議論をする。われわれはこれを真剣にやっていこうとしている。その真価が問われるのが今回の参院選だ。
――小泉首相の登場で憲法論議が一段と活発化している。論点は首相公選制や九条の問題、環境権など幅広くなっているが、それぞれの立場から考えを。
広田 現行憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という三原則は二十一世紀も大切な理念だ。さらに高め、具体化するのは大切な仕事。しかし二十一世紀を迎え、一字一句改正するのは許さない考え方でいいのかと疑問もある。九条についてだが、国家の最大の責務の一つは国民の生命・財産を守ること。前文にも国民の平和的生存権を保障する責務があり、そういう意味の防衛戦力を保持することは大切だ。つまり現在の自衛隊は合憲と考える。しかし集団的自衛権の行使は現憲法をどう読んでも認めておらず、行使することにはならない。いずれにしても改正の論点は環境、地方自治などさまざまあるので、タブーなき憲法論議をしていくべきだ。
田村 憲法改正は自民党内でずっと大変な議論をしてきた。だが国会の場で改正を言う、閣僚が国会外で改正に触れるとそれだけで罷免されるという時代が続いてきた。やっと衆参両院で野党の合意のもとに憲法調査会が設置された。憲法について大いに考え、議論しようとなったことは時代の変革であり進歩だ。これから大いにやるべきだ。
中村 私は前文ならびに九条の改正は反対だ。小泉首相は集団的自衛権の行使を確保したいから、九条を変えたいのではないかという気がする。ところが国民に調査をすると八割が前文、九条に関して改正するのは反対の意見だ。だからこの切り口では憲法を変えられない。それなら首相公選制の形で論議をし、改正手続きを簡素化して、九条も改正しやすいようにと考えているのではないかと大変心配している。世界に誇れる平和憲法だし、私たちは唯一の被爆国として世界に戦争の愚かさを伝えていかなければならない。時代の流れの中で憲法について語り合うのは大変大事だ。だが早急に改正するのではなく、法律や制度で十分補足が可能ではないか。
中根 憲法は絶対に守り抜きたい。平和、民主主義、生活と権利、素晴らしい内容がある。戦争への深い反省からという生まれ方、また憲法があったからこそ五十六年間、私たちは戦火にまみれることなく暮らしてきた。今は丁寧ではない議論がとても多い。時代遅れというのは逆で、国際的な流れを先取りしている。国連の会議などで九条の戦争放棄の条項は、それぞれの憲法に入れようという話もされており、時代にマッチしている。
――首相公選制への期待が高まっているが。
田村 期待の声があるのと、具体的に憲法改正をするのは全然違う。現憲法に基づいて衆参両院があり、議会政治をやっており、改正となると公選制だけに触れるわけにはいかない。地方分権など全部にリンケージする。議論することはいいが、今の状態で公選制が期待が高いからイコール改正と短絡的に考えるから、また変な期待が出る。九条の問題などを憲法調査会できっちり議論し整理する。そして衆参両院で合意できれば、公選制もやるのかやらないのか真剣に議論するときだ。イコール改正というのはマスコミが悪い。憲法をよく読んでほしい。憲法を改正するのはどれだけの手続きがいるか。
中根 マスコミが悪いと言うが、小泉首相は「首相公選制にすればいい。憲法を変えればいい」という話を国会でもしていた。私は議会制民主主義の在り方、日本の議会制度がどういうものかが国民に根付いていないと思う。丁寧な話をする場を、憲法調査会だけでなく日常の中でつくらなければならない。集団的自衛権は攻められたときにどう守るかの話と勘違いするが、ベトナム戦争やアフガニスタン侵攻のような戦争に、絶対に日本は加担しないという憲法をもっと大事にし、中身を知らせていかなければいけない。
――景気は一進一退。国と地方を通じた借金は六百兆円を超え、日本の財政は危機的状況だ。経済対策、財政再建をどう考えるか。
田村 小泉内閣が掲げる財政構造改革の中に道路特定財源の見直しがある。この財源は完全な受益者負担の原理原則に基づいた目的税で、自動車重量税や、ガソリンを入れた際の一定額を道路整備に使う。問題は都市の整備が終わり、高知のような地方にやっと回ってくると思ったところで見直しが持ち上がった点だ。見直しには痛みを伴うが、国民的関心の高い小泉内閣だからこそ、国民を巻き込んだ議論ができる。大きな改革の一歩だ。
中村 個人消費は経済の60%を占めている。みんな不景気が一番気になりながら、将来の年金や医療、介護が心配だから財布のひもを締め、貯蓄に回してしまう。それが市場に回れば経済は回復する。まず、老後も安心して暮らせるという将来のビジョンを示すことが先だ。民主党と小泉内閣が掲げる財政構造改革に大きな違いはないが、一番いい方向に向かう改革を考え、同じような答えが出るのは当たり前だ。ただ、民主党の方が目線が低い。
中根 消費税率を5%に引き上げ、社会保障をどんどん切り捨て、労働者の大量解雇を強行してきたあたりに、今の不況の大きな原因がある。景気を回復させるならその裏返しで、消費税率を3%に下げ、介護保険や医療費の改悪をやめ、未来に展望を持てる社会保障をつくらなければならない。中小企業への援助や農産物のセーフガードの強化など、経営と雇用を守る政策を立てない限り駄目だ。政府は不良債権の処理を景気対策の目玉にしているが、新たな失業者や中小企業の倒産を生み出すだけだ。やってはならない。
広田 政府の緊急経済対策に盛り込まれた金融制度、不良債権処理は避けて通れないが、そういった治療的な対策より、より重要なのは民の力をいかに引き出すかだ。具体的には産学官の一層の連携を推進すべきだ。優れた特許を多く生み出し、ベンチャー企業や若い起業家を応援する対策が求められている。財政構造改革では、借金を子どもたちにつけ回さないという決意が必要だ。国の責任を総括した上で、量的なスリム化はもちろん、事業評価システムによる質の転換を図ることが大事だ。
――小泉首相が掲げる改革には、地方に向けていた投資を都市部へシフトしようとする意図も見え、地方には気掛かりな点もある。
中村 地方と都市の論理がぶつかっている。国が幹事役となり、地方や都市から会費を集めて懇親会をしているが、幹事の仕切りが悪い状態だ。この際、幹事にはお引き取り願い、地方には一括交付金のような形で配分し、地方は自分たちで優先順位を決める。自立の視点で税の関係も考えなくてはならないが、都市も地方も互いに認め合う関係が必要だ。心豊かに生きる上で、高知には海も山も川もある。自然いっぱいのところで仕事をしたい人は多いし、IT(情報技術)革命で可能になる時代だ。
田村 地方と都市が対立しているとは思わない。税財源の分け方をどうするかに尽きる。IT革命の話もあったが、パソコンの中にあるものは手でつかめないから、最終的には物流の問題になる。最低限のインフラ整備がない限り、また格差がある限り、うまく回らない。そこを大いに議論して工夫しないといけない。
広田 都市対地方の対立概念でとらえるのは間違いだ。例えば、県が検討している水源税。森林に携わる人だけでなく、県民全体で森を支える考え方だが、これを国会議員の立場で情報発信し、国全体の取り組みにするなど、具体的に共存を図ることが大切だ。
中根 地域の均衡が取れる発展が大事だ。過疎や過密を防ぎ、国民生活を物心両面で安定させるような政策がどうしてもいる。地方分権は、地方に権限を譲るだけでなく、財政面でもどうフォローするかという議論がとても必要になる。
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